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#現代詩

接点 #みんなでポエム書いてみた



海辺の朝
誰もいないカフェで聴いた
不思議な旋律

旅先の夜
コンビニの前に繋がれていた
痩せた老犬の目

風にざわめく 木々の梢
水面を照らす 光の欠片

いつもと何ら変わらない 
日常の中で

なぜか こだましている音
なぜか 焼き付いている光景

理由はわからないけれど 
今もそこにある
無意識の彫刻刀で彫り出された
記憶のモニュメント

それらを時々
ぼんやりと眺めながら
わたしは待っ

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『きみには雨が似合うねなんて』 フォトポエム

『きみには雨が似合うねなんて』 フォトポエム



きみには雨が似合うねなんて 決めつけてほしくなかった
日陰にひっそり佇むその姿こそなんて 誉められてもうれしくなかった
ねえ 知っていますか
さわわと乾いた葉を揺らす 日陰の風の頼りなさを
ねえ あなたは知っていますか
初夏の雨も 夜は冷たいんだっていうこと
きみには雨が似合うからなんて、わたしは
あなたに決めつけてほしくはなかった

夜通し降りつづいた雨が上がり 光がかわりにその身体を、

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小さな後押し #みんなでポエム書いてみた



風の行方にすべてを託し
今日まで生きて 来ましたの

お天道様に見守られ
道々 虫と戯れて

出自に不平はありません
存在意義など問いません

わたし等 しがないタンポポは
自我などとうに 捨てました

風の行方にすべてを託し
綿毛が飛んだら さようなら……

立ち止まっていた わたしの足元から
そんな声が聞こえてきた

その生き様は
清々しいほど 単純で
憎らしいほど 堂々としていた
 

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わすれもの #みんなでポエム書いてみた



昨日 現実となった予定も
明日 無効となった予定も
整然と 混在している

あなたが置いていった 
その手帳の中に

不確実な未来
不本意な過去
現在だけを除いて
ただ同じ温度で

朝目覚めたら 昨日までの日常が
いとも簡単に 消え去っている
そんな世界

たった今 思い浮かんだイメージが
もう 過去に連れ去られてゆく
そんな世界

わたしたちが生きている世界には
現在なんて存在しないのかもし

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