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ネコノミと考える現代の環境問題と生き方

こんにちは。日本とタンザニアの空調サブスク事業を行うスタートアップで働く27歳です。
今回のタンザニア出張でネコノミという虫に体を100箇所近く刺されながら、「これって、今の時代の環境問題に通じるものがあるな〜」と思ったお話。

気候変動や、自然環境や、海外での暮らしに興味がある方にも、ぜひよんでもらえたらなぁと思います。

タンザニアに着きました


タンザニアに着いて2週間経ちました。日本を出発したのは11月半ば。外出にはコートが手放せなくなるほどの寒さだったところから、半袖半ズボンでも体がじっとりと汗ばむ30度前後のタンザニアの気候。毎週末はテニスやビーチ運動会やワールドカップ観戦と、新旧の友人とワイワイしながら、平日は仕事の新しいプロジェクトの戦略作りや目の前の課題を一つ一つ片付けていくのにてんてこ舞いで、充実した日々を過ごしています。

ジュリエス・ニエレレ国際空港(ダルエスサラーム)



そんな中ですが、実はひっそり足・体中を100箇所くらい虫に刺され、大量の発疹と強い痒みと戦っていました。”100箇所”もですよ!!


原因は、おそらくネコノミ。
今泊まってる宿泊先はAirBnBで家の一室。オーナー達と一緒に住んでるのですが、しょっちゅう、この家の飼い猫と飼い犬が、遊んで〜とくっついて来ていたり、猫が私のベッドに乗って来たりしていたので、彼らに付いていたネコノミが私の寝床周りに住みつき、耐性の少なく、か弱いアジア人という格好のエサを見つけたようです。
(『お前、か弱くないやろ』、と突っ込んだ人は、ゆっくり後で話しましょうね?)


荷解きした次の日、夜中痒くて目が覚めると、膝下に数十箇所赤い水脹れのような斑点あり、蚊に刺されたのとは異なる感覚の強い痒み。ベッドを見渡すと黒い1mmほどの点がピョンと10cmほど飛び上がり移動する。

絶対こいつだ!!!!

と、ティッシュで摘んで捨てるも、翌夜も虫刺されの数は太ももやお腹にも増え、その度にピョンと飛ぶこの”ピョン吉”を摘んでトイレに流すため2-3時間おきに起きていました。寝不足だぞ、ピョン吉ぃぃぃ。


個室のキングサイズべベッドとステロイド薬

こいつは何者やねん!と調べてみると、、
ネコノミ。一般的なノミの一種。日本でもよくいる草むらなどにいる虫で、服についたり、ペットの体についたりするそう。ペット用ワクチンやノミの駆除剤が普及しているため、適度に掃除機をかけたりお風呂に入れたりしていれば、一般の家庭は大丈夫かと思います。
”猫のみ”に付くわけではなく、犬などにも付くんですって。笑


叩いて殺さず摘んでトイレに流していたのは、もし潰すと卵を持っている雌の場合、数千個も卵を放出して撒き散らすことになるそうで、、。
(ひえぇぇぇ〜〜〜〜)

ノミの対処方法は駆除剤?だけ?


ネットで「ネコノミ 部屋 駆除方法」と調べると対処方法として、駆除剤を数日〜数週間使いながら、掃除する方法が一般的と書いていました。
タンザニアでも駆除剤は手に入りますが、個人的にサスティナビリティや気候変動に関心があり、何だか違和感を感じて対処に困っていました。

身体中の痒みと戦いつつも、ふとこんなことが頭をよぎります。

。。。人間も普段は近い種類の動物や身の回りにいる植物と接しているけれど、一つも生態系の一つとして、こういう小さなネコノミとも一緒の生態系の中でいきているんだよなぁ。ネコノミがいなくなれば、別の何かは困るはず。
発達した科学や医療のおかげで、強力な殺虫剤を振り撒けばで簡単に殺すことは可能だけど、それって地球の生態系のバランスを壊すことになるよなぁ。
人間中心で全部を押しのけようとするよりも、人が少しだけ心地よく生活するために、ちょっびっと場所を空けてもらうやり方で、関わり合っていくことはできないものか。。

ダルエスサラーム市内。高層ビル群は一部で、たくさんのトタン屋根の住居が広がる。



何とか薬を使わずに解決したいと必死に調べていると、ネコノミは30度以上の高温環境に弱いと見たので、ひたすら2-3日間、マットレス&シーツを日光浴させることで、ほとんど居なくなりました!!

やったね!!!!!今が暑い季節でよかった!!!!


強烈な欲求には勝てない。。


一方、体の虫刺されへの治療方法として、ローカル薬局でステロイドを買い塗りたくっていました。
一般的に、海外で手に入る薬は強力なものが多く、日本人の体には配合量が多すぎることがよくあります。ステロイドも対処的には瞬時によく効きますが、それを繰り返すと耐性ができて、どんどん効かなくなるし、体への影響も出てきます。


そんなわけで、今までは放置して自然治癒を待つことが多かったのですが、今回は強烈な痒みには耐えられず、15g1000円もするベルギー製の強いステロイド薬を塗って、100箇所ひとつひとつ塗っていました。


ベルギー製のステロイド薬。インド人が経営する薬局で売ってました。

途上国の環境も


めちゃくちゃ頑張れば耐えられなくもないけど、楽な方があればすぐにそちらを選びたい。
そんな当たり前な欲求で、この世界は成り立っているように思います。


今住んでいる、ここタンザニアでも。

  • お腹が空いていて舌に美味しく安ければ、それを食べたい。(たとえ、油ばかりで健康に悪くても)

  • 娯楽の少ない地域に面白い事が増えるのであれば、砂浜や空き地を潰して、パブやクラブを作りたい。(たとえ、ビーチやヤシの木の自然が減っても)

  • 30度越えの暑さを逃れることができれば、エアコンをガンガンにつけたい。(たとえ、環境に悪くても)

  • 時刻表の概念もなく、乗車率150%のごったがえすバスに乗らずに、簡単に時間通り移動することができるなら、車に乗りたい。(たとえ、排気ガスがすごくても)


ダルエスサラームのオフィス街。中古車と高層ビルと自然がごっちゃと混ざってる。発展途上感。


快楽ホルモンがもたらす心地よさは強烈で、その欲求に逆らって精神的に我慢させるのは、金銭的・物理的な制約がない限り、なかなか難しいのだなぁと思います。

健康や環境を意識して、欲求とは逆の行動ができる人達は、一通り経験して慣れきった後の次の段階の層か、そうでなければ瀬戸内寂聴さんのような修行僧くらいだと感じます。
(あれ、瀬戸内寂聴さんは結構ファンキーな方だったような。まいっか。)


本気の気候変動アクションは実体験が必要

これまで何度もどこかで聞いたことのあった議論ですが、やっと私にも、感覚値でも分かって来ました。

世界的に叫ばれる気候変動への本気の取り組みは、主な原因を作った先進国の国々が先導できる。それは一通りの快楽を経験したから。アフリカを始めとする開発途上国の経済発展は、衣食住の安定というより良い快楽を求めるフェーズにあり、環境的な取り組みを独自で行うのは、動機として弱く、なかなか進めづらい。


だからこそ、資本主義経済の”中で”、どんな国も合理的に選択できる仕組みな必要なんだと思います。
それが、最近流行りのカーボンクレジット制度や排出権取引のようなものかもしれません。ここら辺の議論はまだ詳しくなくて、よくわからないです。


いずれにせよ、人類がどうにも逆らえないノアの箱舟級の災害が起きるまでは、ゆるゆると”負荷なくできる範囲で”取り組みが進んでいくのでしょう。


クラフトマーケットにて。こんな穏やかな景色をいつまで残せるか。


0か100か、はたまた?


私の個人的な思考にはなりますが、ここ数年、単純な資本主義社会や経済発展に支配される社会構造に疑問をもってきました。

しかし、アフリカのような、産業発展の真っ只中にあり、資本の増加によって明らかに幸福度が上昇する場所に定期的に来るたびに、やはり分かりやすい幸せや快楽に飲み込まれそうになります。いいのかな〜と、頭で分かっていても、ついそんな選択肢をとってしまうのです。


ここタンザニアのように、「0(自然治癒を信じる)か100 (強力ステロイド)か」のような選択肢の少ない場所では、どうしても100の選択肢を取ってしまいたくなります。

じゃあ、50という選択肢を作るべきか?

もちろん短期的には、その解決策も一定の成果を残すと思いますし、私を含め、多くの人々も喜ぶと思います。
しかし、速く走る馬を、より速く鍛え上げているだけでしかなく、この延長ラインに自動車は生まれません。なにより、面白くない。。

そういう意味で、improve(改善)ではなく、inovation(革命)を目指したい。より面白く革新的で本質的な、-100か複素数か、全く角度の違った選択肢を作ることで、ネコノミと一緒に仲良く共生できないかなぁ。

そう、ぼんやり考えるフリをして、実は次のビールの種類を考えています。


サンセットとライブバンドが楽しめる、お気に入りのレストラン@ダルエスサラーム。



最後に、、
そうはいっても、タンザニアでの暮らしは毎回来るたびに、新鮮さと驚きと発見と、ツッコミどころ万点な文化に溢れているので、ぜひお越しください!

そして、タンザニアに来る時は、塗り薬をぜひご持参ください〜!!!!

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