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【オペラ】ヒロインが最後に死を遂げる作品が多いのはなぜ?

久しぶりにMozartのゲーゲルシュタットを演奏しました。
モーツァルトって緊張するんですよね、、

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奏者にとっての特徴が丸裸になりやすい、というか「お里が知れる」のがモーツァルトなんです^^;
しかし、クラリネットの音色とビオラって心地よく噛み合って木管楽器と弦楽器って本当にマッチするな!と再発見した今日この頃。
しばらくは室内楽アンサンブルに力を入れていこうと思います。

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さて、本日は久しぶりにオペラ作品を観た時に改めて感じた事。
「オペラ作品で、最後バッドエンド(主人公死亡など)が多くない!?」
もしかしたらオペラを観た方あるあるだと思うのですが(笑)。必ず誰かしら死を遂げるサスペンス作品のようなものが思い出す限り複数浮上してきます。
本日は、オペラの結末がなぜ悲劇的なものが多いのか、具体的にどんな作品が該当するのか?についてご紹介していこうと思います!
まだこの作品観ていないよー!!という方には、ネタバレになってしまいますので、ここから先はネタバレOKな方に読み進めていただければと思います。
早速まいりましょう!

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<悲劇のヒロイン設定>

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現代でも「悲劇のヒロイン症候群」みたいなものが存在します。
自分がこの世で最も不幸であるというアピール(?)を他者に向ける事が多いため、「自己中心的」「同情を求めている」「かまってちゃん」などど、マイナスなイメージを持たれる事が多いでしょうか。
(確かに限度が過ぎれば、付き合う方も大変だなとは思う、、ポジティブの押し売りも嫌だけど 笑)

だがしかし!オペラの世界では、何世紀にも渡って「悲劇のヒロイン」が歌い継がれているのですから不思議ですね。
間違いないのは、多くの悲劇のヒロインによって観客を惹きつけている何かがあるのでしょう。

これからお伝えする以下の作品はごく一部ですが、複数の作品を通じて何か共通点がないか?
ぜひ考えてみてください♪

【※以下 ネタバレ注意】

①<カルメン>

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ジョルジュ・ビゼー作曲。
タバコ工場で働くジプシー女「カルメン」は、俗に言う「魔性の女」
かなりはしょりますが、恋人である「ドン・ホセ」を裏切って闘牛士の「エスカミーリョ」と恋に落ちてしまいます。
嫉妬に狂ったドン・ホセは、カルメンを闘牛場の前で刺殺してカルメンは命を落としてしまうのです。
愛と憎しみは表裏一体、、、とはこの事なのか?と思わせる作品でもありますね。

②<トスカ>

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ジャコモ・プッチーニ作曲。
「フローリア・トスカ」は人気の歌手。
「マリオ・ガヴァラドッシ」という恋人がいます。ある日、その恋人がローマの警視総監である「スカルピア男爵」によって処刑されてしまいます。
(なぜ処刑されたかは、本編を観てね)
それを知った「トスカ」は、復讐によりスカルピアを殺して、自らも城の屋上から身を投げてしまうのです。

全てではありませんが、オペラの作品は主人公の名前がタイトルになっているケースが多いですね。

③<ラ・ボエーム>

ジャコモ・プッチーニ作曲。
主人公は「ボヘミアン・ミミ」。幸が薄い(?)感じの主人公だが、詩人の「ロドルフォ」と知り合い恋に落ちる。(リア充やないかい)
だが、いろいろあって、恋人とうまくいかずに彼との生活が終了し、以前暮らした屋根裏部屋に戻る。
(いろいろあった出来事は本編を観てね!)
その後、「ボヘミアン・ミミ」は重い病にかかってしまい、帰らぬ人となる。
病死により最期を遂げる結末となっておりますが、なんとも言えない気持ち・余韻に浸る作品となっております。

④<マノン・レスコー>

ジャコモ・プッチーニ作曲。
主人公「マノン・レスコー」は革命前のフランスで修道女になる決意を持つ、とても美しい美貌の持ち主。
騎士の「デ・グリュー」と恋に落ちます。(どの作品も必ず恋人いるのね、、)
ある日、恋人のデ・グリューは、主人公(マノン・レスコー)を誘拐しようとする計画をひょんな事から耳にしてしまうのです。
それを知った彼は彼女を守ろうと、二人で愛の逃避行(?)を図ります。
その逃避行の途中で、マノンはニューオリンズの荒野で力尽きて最期を遂げてしまいます。

⑤<蝶々夫人>

ジャコモ・プッチーニ作曲
海軍士官「ピンカートン」は、日本で「蝶々」という少女と出会います。
やがて結婚するも、ピンカートンは三年後に祖国アメリカへ帰国してしまいます。
しかも祖国でアメリカ人の女性と結婚してしまうのです。
ピンカートンは再び日本に立ち寄るも、罪悪感からか蝶々夫人に事実を語ることはありませんでした。
二人の間には一人子供がいたが、蝶々夫人はその子供をピンカートンに渡す決意をし、喉に刀を突き立て自害してしまうのです。

日本でずっと待ち続けている蝶々夫人。どこまでも一途ではかない結末が終焉後も心に強く残っている作品でした。
ぜひ実際全編を視聴していただきたいです、、!

⑥<椿姫>

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ジュゼッペ・ヴェルディ作曲。
主人公は、娼婦の「ヴィオレッタ」。青年貴族の「アルフレード」と恋に落ちますが、身分の違いが悩みの種になります。
一度はアルフレードから身を引く決意をしますが、パリで彼と偶然の再会を果たします。
しかし、その頃既にヴィオレッタは病に侵されており、やがて帰らぬ人となってしまいます。。
「この椿が枯れる前にまたあなたに会いにきます(そんなようなセリフだったかな?)」の名言が本当に素敵!!!と感動した覚えのある作品です(笑)
この作品は音大卒業演奏で演奏したり、オーストリアのウィーンにあるオペラ劇場で公演を観たので、印象と思い入れが強い作品ですね。

⑦<アイーダ>

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
エチオピア王女である「アイーダ」は、エジプトの指揮官「ラダメス」と恋愛関係を築いているが、アイーダは身分を隠してエジプトの王女「アムネリス」の奴隷として仕えています。
その後エチオピアとエジプトが戦いを繰り広げるが、エジプトが勝利したことにより、アイーダとその父(エチオピアの王様)は逃亡を始める。
さらに軍の機密情報を漏らしてしまった「ラメダス」は、生き埋めの刑に処されてしまい、アイーダも天国でラメダスとの再会を誓って、この世との別れを告げて命を経ってしまいます。
トランペットのメロディは多くの方も一度は聞いたことがあるフレーズなのではないでしょうか。

⑧<イル・トロヴァトーレ>

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
アラゴン王妃の「レオノーラ」は、吟遊詩人の「マンリーコ」と恋人同士。
やがて結婚式を挙げようとします。
しかし、レオノーラに片思いをしている「ルーナ伯爵」によって、マンリーコは捕虜の身になってしまいます。
レオノーラは、マンリーコの命を救うことを条件に服毒を図ります。
しかし、レオノーラの裏切りを知ったルーナ伯爵は激怒し、マンリーコを処刑してしまうのです。

⑨<運命の力>

ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
こちらも主人公の名前は「レオノーラ」。(まったく関係ないよ!)
カラトラーヴァ侯爵の娘のレオノーラは、恋人の「アルヴァーロ」とは相思相愛の仲。
ある日、恋人のアルヴァーロの銃が突然爆発してしまい、近くにいたレオノーラの父カラトラーヴァが死亡してしまいます。
侯爵の息子「ドン・カルロ」は父の死を知ったことで、アルヴァーロに復讐を誓います。
ずっと罪悪感を背負い続けているアルヴァーロは数年後、修道院の神父になります。
そこにドン・カルロは決闘を挑みますが、致命傷を追ってしまいます。
一方レオノーラは洞窟で身を隠すように生活を送っており、アルヴァーロは最後の祈りをレオノーラに頼みますが、ドン・カルロの手によってレオノーラは殺害されてしまうのです。。

<悲劇のオペラはストレス解消にもなる!?>

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本日紹介した作品はほんの一部ですが、悲劇を迎える結末がこんなにも多いのはなぜなんでしょう??
これらの作品は、長年受け継がれているので、結末を分かった上で観る方が圧倒的に多いのです。
ということは、死を迎えることがわかった上で鑑賞しています。
結末を知っているからこそ、劇中のヒロインの歌うアリアに感情移入したり、はかなくも悲惨な運命に同情したり、涙を流したり、劇中の中で様々な感情が押し寄せてくるのでしょう。
笑うことはストレス解消にもなる。とよく言われますが、「悲劇」もまた同様の効果を発揮するとも言われています。
というのも、悲劇は「自分の身に実際起こっていないけれど、想像できる出来事」に対して効果を発揮するようなんです。
実際に自身の身に起こったら、精神持ちませんからね、、、( ̄▽ ̄;)

同情・感動などを「共感」する事によって、今自分はそつなく生きている事に「幸せなんだな」と自覚する事ができる。
それによって抱えているネックな問題も少し軽減される効果へ繋がったり、一種のストレス緩和にも効果がある言われ始めております。

オペラには、作品に対する感情も含めて、自分の現状を客観的に観ている事も無意識に行っているのかもしれませんね。

<まとめ>


一つ一つの作品は、演奏時間が長いので、オペラを普段観ない方にとっては物語の流れが掴みにくいと感じる事もあると思います。
映画の場合ですと、ネタバレにより醍醐味が半減してしまいますが、オペラ作品はある程度知っておいた上で鑑賞する事をナカジ。はオススメします。

本日いくつかの作品を取り上げてみましたので、ぜひある程度の流れ(あらすじ)を予習した上で観た方が、より楽しめるのではないでしょうか。

これをきっかけにぜひオペラ作品に関心を持ってくれたら嬉しいです♡
では、不定期更新ですが、また次のお話でお会いしましょう〜( ´∀`)


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