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なぜクラリネットは移調楽器になったのか?

アンサンブルを活動再開するも、なかなか楽器が揃わず、読み替えて演奏することの多いクラリネット奏者。
これも『移調楽器』ならではの定めなのか、、??

そもそも、なんでクラリネットは移調楽器なのでしょう??

そこで!!!!!
本日は、移調楽器のルーツと移調楽器ってなんぞや?の疑問にお答えして参ります!
あくまで、諸説ございますので、その一部の解説だと捉えていただけますと幸いでございます。

<同じ音でも実際に鳴っている音は異なる>


同じ音を鳴らしているとき、実際は楽器によって鳴っている音が違うのはご存じでしょうか。
例えば、ピアノで「ド 」を弾くと、そのまま「ド 」の音がなります。

しかし!クラリネットで「ド の運指」で吹くと、ピアノでいう「黒鍵の♭シの音」が出るのです。

アルトサックスで、「ド の音」を鳴らすと、実際はピアノでいう「♭ミの音」が鳴っているのです。
ホルンでは、(管の違いにもよりますが)「ド を吹くと」実際ピアノで言う「ファ」の音が鳴っているのです。
絶対音感持ち主の方ですと、最初混乱するみたいですね。
運指と実際出ている音が違う、、、ズレてて気持ち悪い、、、みたいな(笑)

このように、同じ「ド 」の指づかいでも、楽器によって「♭シ」「♭ミ」「ファ」とそれぞれ異なる音が鳴る楽器のことを【移調楽器】と呼ばれています。

<移調楽器には名称が分かれている>


先述のように、『ド 』の指づかいでそのまま『ド 』が鳴る楽器ことを『C管楽器(ツェーかんがっき)』と言います。
「C(ツェー)」とは、ドイツ語で「ド 」を指します。
クラシックの世界では、音をドイツ語表記で表すことがほとんどでしょう。(※実際英語よりなじみあるかも、、)

ちなみに「ド 」の指づかいで「♭シ」がなる楽器は『B(ベー)管楽器』になります。
Bはドイツ語で「♭シ」になります。

「ド 」の指づかいで「♭ミ」がなる楽器は「Es(エス)管楽器」、「ファ」がなる楽器であれば「F(エフ)管楽器」と、それぞれドイツ語で表す名称で菅が分かれているのです。
下記表を作成してみたので、ぜひ読み方と音をあてはめて確認してみてくださいね♪

あなたの演奏している楽器は、果たして何管にあたるでしょう?


<C管の主な仲間>


ここでは全てを紹介しきれませんが、上記「C管楽器」の仲間は
ピアノ、フルート、オーボエ、ピッコロ、ファゴットなどが挙げられます。

<B管の主な仲間>

・クラリネット(ソプラニーノクラリネット)、バスクラリネット
・ソプラノサックス、テナーサックス
・トランペット、
・トロンボーン、ユーフォ、チューバ

などがあります。
クラリネットはB管以外にもいろいろ分かれておりますが、吹奏楽などで一般的に使われているクラリネットがこの『B管』になります。

<Es管の主な仲間>

・アルトサックス、バリトンサックス
・エスクラリネット、アルトクラリネット

<F管の主な仲間>

・ホルン
・アルトリコーダー
・バセットホルン(※クラリネットの仲間)

などが挙げられます。

その他にも、A(アー)菅や、G(ゲー)管など、様々な移調楽器が存在しているのです。


<なぜこんなにも移調楽器が複雑化しているのか>


譜面の書き換えや、オケなどで楽器の持ち替えが発生すると、ちょっと面倒なこともあります。
なぜ、こんなに移調楽器が存在するようになったのでしょう??

諸説ありますが、多くの意見としては
『昔は半音出せない構造の楽器があったため、楽曲にあった調号の楽器を作って曲ごとに持ち替えていた』
と言う説や
その管で、一番良い音とされる音の調を優先して作られた
という説も浮上しています。

<クラリネットはさらに複数存在している>


引用:https://www.shimamura.co.jp/shop/hinode/winds-strings/20200208/4328


とはいえ、クラリネットだけでも細分化しすぎ!!なほど、種類によって見事に調が異なります。
クラリネットは、吹奏楽やポップス、ジャズで使われるB管の他に、ナカジ。のようなクラシック演奏家だと、オケや室内楽で半音低いA管を持ち替えねばならない場面が出てくるので、2種類持ち歩かないとなりません。。。。
なぜそうなったのか、、、それは歴史を辿る必要がありますね。

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ラリネットはバロック期後半にあたる18世紀初頭に誕生したと言われています。
その頃は今より短めの『D管やC管が主流』でした。
いろいろ諸説ありますが、クラリネットのは最初「小型のトランペットのような存在」で、木管楽器という概念はなかったようなんです。
トランペットの高音域を担当するパートを「クラリーノ」と呼ばれ、クラリネットもそこから来ているのではないかと言われております。

<クラリネットが移調楽器になった理由その①>


そもそも移調表記を最初に行ったのは「トランペット」と「ホルン」でした。
曲の調性に応じて、いろんな長さの楽器に持ち替えて吹いていたようでした。
小さなトランペットの存在であったクラリネットも、トランペットと同じ調性で演奏できるように、やがて移調表記になり、次第にクラリネットもトランペットの調性に合わせた移調楽器へと変貌を遂げたのが、有力な理由の一つとされているのです。

<クラリネットが移調楽器になったもう一つの理由>※諸説あり


引用:http://saagarawq.hatenablog.com/entry/2018/03/16/080000


移調楽器になったもう一つの理由としては、クラリネットが『閉管楽器』の構造も関係しているのではないかと言われています。
閉管楽器とは、簡単にまとめると『空気の振動があるエリアの片方が開いていて、もう片方が閉じている状態』の構造を指します。
閉管楽器の原理的特徴としては、同じ長さの楽器よりも1オクターブ低い音が出ると言われています。
クラリネットの音域の幅広さは、この構造も関係しているのですね。

そのためか、今のキィの数に至るまで原理的な構造が追いつかず、クラリオン音域(中音域あたり)を半音階でなめらかに演奏することが困難であったようで、曲の調性によって楽器を持ち帰る必要があった為と言われています。

<なぜB管 A管が主に活用されているの??>


そして、かつて存在したD管、C管ではなく、なぜさらに低いB管A管が採用されたのか?という疑問が残ります。
これは、徐々にトランペットから独立した存在へと変貌を遂げる中で、『C管よりも深みのある音が出せる技術構造を生み出せたことも大きな理由』が大きいのではないでしょうか。
特にモーツァルトの楽曲は、オペラや協奏曲の中で、A管クラリネットを多く指定しています。
A管クラリネットの音色をモーツァルトは深く愛していたというエピソードも残っているようですし、実際クラシックには欠かせない調性の楽器として、持ち替えてもやはりA管クラリネットでないと!という楽曲はこれからも存在してくるでしょう。

<そして進化を繰り返して今の状態へ>


実は、バロック時代はあまりクラリネットが注目されておりませんでした。
まだ構造上、演奏が容易ではないことから扱いにくい印象もあったのかもしれません。
そこから古典時代に入り、ようやくキィの数も増えて進化を繰り返す事で、早いパッセージも対応できるようになりました。
今では、ソロから大編成のオーケストラまで幅広く活躍する木管楽器として欠かせない管楽器となっていますね♪
手のかかる子ほど可愛い、、とは最初思えませんでしたが(笑)気がついたら一緒に歩んでいく!と決めていたほど、いつしか当たり前のなくてはならない相棒になっております。

<まとめ>


長くなりましたが、今回は<移調楽器がなぜ誕生したのか>についての解説と、<楽器別の調性>についてお話してまいりました!

もっと簡潔にまとめたかったのですが、はしょりすぎても伝わらないかもと感じ、ついつい長くなってしまいますね、、、( ̄▽ ̄;)

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました♪
また次回も音楽に関するネタ・自身が吸収した内容を惜しげもなくこのブログでお伝えしていこうと思いますので、ぜひ『いいね!』と『フォロー』よろしくお願いします♡

今日も素敵で悔いのない1日にしてまいりましょう!!!

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