シブヤアナーキー
「搾取されるな」
チョーク六文字分
担任が摩耗する
最後の教室
青漆の黒板
三年の思い出に浸りながら
ロマンチックがしたい十八の私たちには
その六文字はあまりに無骨であったし
周波数のズレたラジオのように
交錯しないひとときが流れた
もっと
明日の
いや
今晩の
ロマンチックを夢見ていたい
そんな私たちは
いまや三十路を跨いで
酸いも甘いも知ったかのような
顔つきで生きている
終電を逃す
トウキョウ
シブヤ
止まらないタクシー
「搾取されるな」
ラジコから声が流れてきた
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