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ピエール・ユイグ@「ブルス・ド・コメルス ピノー・コレクション」 フランスの食関連ニュース 2021.07.14

今週のひとこと

今年の夏は日本へ帰国することにしました。約1ヶ月強の滞在。ワクチン接種も2回済ませましたが、日本入国後14日間の自粛期間を我慢して、久々に会える両親と、コロナ期を経たリハビリを互いにできたらと願ってやみません。

「ブルス・ド・コメルス」には先週はレストランへの訪問で訪れましたが、今週はミュゼのビジットをゆっくり堪能しました。地下にある「 boîte noire 」つまりブラック・ボックスで展示されている、フランス生まれのアーティスト、ピエール・ユイーグによる映像のインスタレーションに心を奪われました。説明によると、エドガー・アラン・ポーの冒険小説『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』に触発されているそうですが、同時に、氷の上(氷を破りながら走るのではなく、氷上!)をスクーナー船で1ヶ月にわたり走ったという、自身の極地探検がインスピレーションのもとになったそうです。光のスポットの下には煙が流されており、それがスポットに当たって蠢く姿と、スポットが落ちる絨毯の上が、まるでサバンナか海か、はたまた氷なのか、幻想的な地球上の姿に見えたのは、フィクションと現実の関係を常に探ることをテーマにするユイーグらしい作品だそうです。私はこれを見て、機上から地球を眺める自分に出会ったような心持ちになりました。機上から眺める眼下の地上には、人は人っ子一人見えない。めくるめくの想像を超えた自然の姿がある。フィクションと現実の間にあるかのようなひと時。久々に故郷に向かう自分の気持ちも重ね合わせて、自然はもちろん、産業革命の時代から人間が成し遂げてきた技術革新への畏怖の境地と、心が向かわざるを得ません。今年は日本の夏を、移動は叶わずとも、その空気からしっかりと感じてきたい。ピエール・ユイーグの作品のスポットライトが蠢くその煙の下にある愛おしい現実へ到着。人生において、特別なひとときになると予感しています。

今週のトピックスは今週のひとのあとに掲載しています。【A】トラットリアレストランチーム「ビッグ・ママ」、支払いソリューションのアプリ開発。【B】世界で初めて白トリュフの栽培成功。【C】「国際アルバ白トリュフ見本市」2021と「Connected with nature」。【D】アラン・デュカスのビスケット製造所。【E】低GIのスイーツ店。

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