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函館発、洋菓子スナッフルス@パリ12区 フランスの週刊フードニュース 2022.04.25 

今週のひとこと

昨年の末から、弊社atelier DOMAの通りを挟んだ向かいに「Hakodate Pastry Snaffle's」と書かれたブルーの庇がかかり、工事が始まっていました。She's Cakeというチーズケーキ専門店跡。She's Cakeはマレ地区に移転しています。

「Snaffle's Hakodate pastry」? 調べると「函館洋菓子 スナッフルス/チーズケーキ」。北海道の1992年創業フランス菓子の名店「ペシェ・ミニョン」との姉妹店で、チーズオムレットで有名な店でした。

店の始まりは、現社長である中澤誠一さんが、新橋にお店をオープンさせたが、地元函館に戻って本拠地としたことから。その後、カジュアルなブランドをとオープンさせたのがスナッフルでした。

近年ではお土産日本一で知られる「白い恋人」の石屋製菓とのコラボレーションも成功させ、「白い恋人ホワイトチョコレートオムレット」というのも開発販売しています。

そんな「 スナッフルス」がなぜパリに。しかもパリ12区のニッチな場所に。弊社がこの場所が好都合なのは、立地というよりも、大通りとの間に大きなスペースがあって、バイクや自転車でやってくるお客様にとっても便利だということ。また搬出搬入もストレスレス。それに、包丁を探しにする方々は、商店街ではなくとも、わざわざ店に来ていただけるので、スペースさえあれば場所は問わないと思っていました。対して、日本のパティスリーを、わざわざ、この場所にまで探しに来るのか?

疑問はたくさんありましたが、いずれにしても、藍色に白を基調にした暖簾を掛けている弊社の目の前に、似たような外観の店が登場し、にわかに界隈が日本ずいたのは、何かのご縁と感じていました。

半年ほどの工事を経て、やっと先週オープン。早速足を運んだところ、看板娘であるチーズスフレ(オムレット)はもちろん、ショートケーキ、ミルクレープ、抹茶のケーキなどが並んでおり、私にとってはノスタルジーたっぷりの雰囲気。「日本のパティスリーも、パリのマーケットは勝算があると思ってオープンしたのか」と、深読みしていましたが、責任者と話したら、そうはあらず。パリ店のオープンには驚きのストーリがありました。

現在「ペシェ・ミニョン」のエグゼクティブ・シェフを務めているのはフランス人のReda Chenoufさん。2018年に就任したそうです。もともとはなんとオペラ座を望む5つ星ホテル、インターコンチネンタル ・パリ内カフェ・レストラン「カフェ・ドゥ・ラ・ペ」のシェフ・パティシエだったそう。2017年に来日しましたが、その際に出会った日本人女性と恋に落ち、日本で生きることを決めたそうです。その女性が「ペシェ・ミニョン」のご令嬢だった、という、なんともロマンチックなストーリーでした。

Reda Chenoufさんには弟さんがいて、彼もパティシエ。その彼がパリ店のシェフに就任し、妹さんが責任者に。ファミリーのストーリーの結晶が弊社の目の前にオープンしたのでした。

明るいティーサロンもあり、和やかな雰囲気。ミルクレープも色とりどりで、砂糖控えめ、繊細で美味しく、ぜひ、足を運んでいただけたらいかがでしょうか? ついでに弊社への来店もお待ちしております!


今週のトピックスは今週のひとことの後に掲載させていただいています。食関連のプロフェッショナルの方々にヒントになるような話題を毎週ピックアップしてお伝えします。【A】ピエール・エルメが教育委員会会長、ボルドーの私立製菓学校。【B】第5回、ムジェーヴ「山のフェスティバル」開催は10月。【C】ヴァローナ社製菓学校パリオープン。【D】カクテルブームとドリンクメーカー。

今週のトピックス

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