筑前煮

フランスから、食関連ニュース 2020.01.07

フランスにおける旬でコアな食関連のニュースを、週刊でお届けします。

1. 今週の一言

みなさま、新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。日本での滞在も3週間目に入り、9日にパリへ戻ります。穏やかに家族で迎えた年初めとなりました。年々、あるいは日に日に、時の経つのは早いと感じます。大晦日には8つの素材をそれぞれのお出汁で煮て作る筑前煮や、海老、鯛の焼き物などを作って、お重に詰め、家族が揃うお正月も終了。本日は七草粥をいただく日に。過ぎていく日々、一瞬一瞬を大切にしていきたい。そして時の流れの先を生きていきたいと思います。

2020年の世界的な関心事項の一つは、環境問題ではないかと思います。昨年一年間を振り返ると、環境破壊による温暖化がもたらした自然災害の脅威は、日本ばかりでなく、多くの国が対峙したことでした。環境をいかに保全していくか。フランスでも毎日のように討論される議題であり、政府はもちろん、企業においてはCSRを伴ったビジネス活動が必須であり、各種団体を含めて様々な対策なり提案が講じられていますが、日本でも今年の年末年始にはおおいに語られていました。また、SDGsが掲げる17つの目標のアジャンダも知られるところとなりました。各国でも2030年までの目標値に向かって、取り組みを行い、人類がよりよく生きていくための循環型の環境を生み出す努力をしています。私もアンテナをはって、フランスあるいはEUにおける食に関する環境保全のための団体、企業の取り組み、動向や影響を出来るだけ調査していますが、日本に戻ってきて立ちはだかったのは、高齢社会の壁でした。65歳以上の高齢者が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれますが、日本は現時点でそれをとっくに超す28%で、2025年には30%、2060年には40%ほどにまで達すると言われています。私の父母も80歳前後。食生活は悲しいかな、作り付けのもの、コンビニ食に頼っていることが否めません。少ないお惣菜でもしっかりとパッケージされていますから、膨大にゴミが出る。食材のパッケージは、今後改善される領域としても、お弁当やお惣菜などのパッケージは、軽くて丈夫ですし、彼らにとってはありがたい存在で相変わらず必要とされるでしょう。

フランスではモバイルで参加するサステナブルのアプリケーションが発達しており、日本でも少しずつ見受けるようですし、容器持参で来ていただくことスタイルの総菜店や、洗剤石鹸などを瓶に詰めることを提唱するスーパーも徐々に生まれてきました。しかし、モバイルを活用しない高齢者あるいは社会的弱者といった、ネット社会から漏れてしまう人々が確実にいますし、家の中でも重い物を運べない、身体が自由ではないという現状があります。そうした高齢者が如実に増え続ける日本で、本当に環境問題を解決していけるのか不安になりました。だからこそ、意識が集中しがちなゴミ問題、プラスチック問題だけでなく、SDGsが掲げる17の目標を見つめ直して、バランスの良い持続可能な社会を作っていくことが大切なのですが、遠い森林破壊への対策だけではなく、身の回りの小さなことから取り組んでいくことが必要だと思いました。

年始に環境破壊について話題にしたテレビ番組を見たときに、母が「どこから始めたらいいのかわからない」とつぶやいたのが心に残りました。母だけではなく多くの人がそう感じているのだと思います。高齢者をどうやって支えていくか、あるいはどうやって少子化社会を改善していけるか。フランスでは国際外食産業見本市が2年に一度開催されていますが、今年はそれと年代わりで開催される、環境問題をテーマとした第2回シラ・グリーンが6月中旬にあり、注目されています。未来の社会貢献型ビジネスを生み出せる企業の萌芽に立ち会いたいと思います。

https://www.sirha-green.com/

2. 今週のトピックスは以下になります。【A】元3つ星マルク・ヴェイラ氏とミシュラン・ガイドの公判闘争の行く末。【B】レジョンドヌール勲章受勲者に4名の料理人。【C】業務用卸業者メトロ・フランス、太陽光発電システム導入。【D】経済・財務大臣、ストの影響調査のため、商店街を緊急訪問。【E】食用コーティングスプレー、食品ロスを救う?

2. 今週のトピックス

【A】元3つ星マルク・ヴェイラ氏とミシュラン・ガイドの公判闘争の行く末。

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