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子どもが理由で遅刻・早退・欠勤を繰り返す男性社員。そして事件は起こった

今回は子どもが理由で、遅刻・早退・欠勤を繰り返す男性社員のお話。

昔と違って、パパも積極的に育児に参加しようぜ!という時代になりましたね。

50人の中小企業である当社にも
パートさんから役員まで、たくさんの子持ち従業員がいます。

有給を取りやすい環境なので
プライベートのお休み以外にも
子どもの行事や病気などで
みんな、当たり前のように有給休暇を消化しています。


でも、突発的な子ども絡みのお休みを取るのって、ほぼママなんですよね。
パパが休むのは、子どもの行事の時くらい。

それでいいっていう家庭もあるし。
旦那も、もっと負担してよっていう家庭もあるし。

考え方は人それぞれ。

いずれにせよ
〔子どものために急にお休みする従業員に対しては、温かい目で見守る〕
っていうのが、現在の当社の方針です。



育児に積極的な男性社員Hさん




さて、今回の主人公である男性社員Hさんは、子どものために積極的にお休みをとるパパさんです。

今どきですね。
ステキだと思います。
我が家や割とワンオペに近かったんで、うらやましくもあります。

これが本当ならば。

Hさんの子どもは、3歳の保育園児。
奥さんも他社でフルタイム正社員をしている、共働き一家です。

3歳といえば、なかなか大変な時期ですよね。

  • イヤイヤ期、真っ最中の子

  • 行動範囲もひろがって、こっちがヘトヘトになるほど活発な子

  • 言葉をたくさん覚えて、口が達者な子

可愛いだけじゃない、一筋縄ではいかない時期でもあります。
わかりますとも。わかりますとも。

昔ほどじゃないけれど、相変わらずお熱も出すし
保育園で感染症も、もらってくるし。

まだまだ気が抜けないお年頃でもありますよね。
そのたびに、会社を休まないといけないから
有給休暇なんてすぐなくなっちゃいます。


男性社員Hさんと奥さんは『子どもは2人で平等に育てる』というポリシー。

出産前からの奥さんとの約束でもありますが
ちょっとだけ奥様の方が年収が高いのも理由の1つでした。

保育園への登園は男性社員Hさんの担当。
お迎えは奥さんの担当。
子どもが病気で保育園に預けられないときは、基本的にパパのHさんがお休みをとります。

子どもを病院に連れていくときや
保育園から「お熱が出たのでお迎えにきてください」という連絡があったときも
お迎えに行くのはHさんです。

これは平等なのか?というツッコミはさておき
夫婦2人の間ではこれが平等のようなので、そっとしておきましょう。

最初は、男性社員が子どものためにお休みをとることを、社員一同応援していました。

なにせ当社では初めてでしたから

〔男はバリバリ働いて、女が家を守る〕世代のおじさん社員も
「時代は変わったね~」
なんて若干嫌味を言いながらも、応援していたんです。


しかし、徐々に風向きが変わってきました。

最低週に1回、多いときは週に3回
子どもの体調不良を理由に、遅刻・早退・お休みをします。

「子どもってすぐお熱出すよね~」
「そうそう、うちも2歳まではひどかったわ。しょっちゅう園からお迎えコールあったし」
なんて最初はベテランママさん社員も、擁護していたんですけど。

となったわけですよ。
結構早い段階で。

でもね、こんなご時世だから

えー、なんかHさんめっちゃ子どもを理由にして休むけど
さすがに、こんなに熱出したりする子いなくない?
でもコレみんなに言ったら
時代遅れとか非国民とか言われそうで、言えなくない?

的な感じで、周りの様子をうかがってたんですよね。
社内全員が。



独身女性社員 口火を切る


ある日、女子社員が井戸端会議していたところ

独身女性社員が
「Hさんて、いつもいないですよね。まともに仕事してるの見たことないんですけど」と。

そこから堰を切ったように
あんなに子どもが熱出すはずない
子どもの体調が悪くても、メールの1本くらいは返せるんじゃないか
など。

みんなの不満が大爆発

ナイスだよ、独身女子社員。

少数の女子社員による井戸端会議の愚痴から始まった不満爆発は
すぐに社内全員に波及し

「しょっちゅういなくなるから、Hくんに仕事を任せられないんだよね」

「Hさんしか知らない案件なのに、どこにいるか分からないし、全然連絡も取れないからクライアントから怒られましたよ」

ロマンティックが止まらないくらい、愚痴が止まらない。
(平成生まれついてこれてます??)

多くは
・Hさんのサポートをしている内勤従業員
・おじさん従業員
・ママさん従業員
からの愚痴でした。

などなど。出るわ出るわ。

特にママさん従業員からの反発はすごかった・・・。

毎週のように遅刻・早退・休暇を繰り返すせいで
私たちまで「これだから子持ちは」って扱いされてて困る。

これ、すごくわかります。
私も子持ち社員だから。

毎日ちゃんと仕事してるし、なんなら自分のために休んだことなくても
子どものために休むと

って思われちゃうんですよね。



大企業と違って人数が少ない分、1人1人の行動が見えやすい。

元々、男性社員Hさんにサボり癖があったことは、人事部でも把握していました。

このままじゃマズイ・・・。

男性社員の上司や男性社員と面談して
勤務態度の改善をお願い。
仕事の振り方も、Hさんが休んでもクライアントや周りの社員に迷惑がかからないように変えました。



事件、起こる



ある程度の勤務態度は改善しましたが
子どもが理由で遅刻・早退・お休みを繰り返すのは相変わらず。


本人が、子どもが病気というのだから仕方ない・・・。


見守っていたある日、事件が起こったのです。

昔からお付き合いがある、大手クライアントへの成果物提出の日
担当だった男性社員Hさんが子どもの病気で急に欠勤。

朝〔息子が熱を出したのでお休みいただきます〕というメールを関係者に送信しただけで、その後音信不通に。

クラアントには連絡したの?
商品は納品したの??

進捗状況がまったくわからず、社内は大パニック。

ウン千万円のお仕事なのに!

男性社員への電話を続けつつ
男性社員が使っている専用端末の中から、成果物を探します。

が、いくら探してもない・・・。

なんとなく、察した方もいるかもしれません。

そうです。彼はほとんど仕事をしていなかったのです。

最初にほんの少し手を付けただけで、あとは丸っと放置。
そりゃ、どこを探しても納品する成果物がないわけだわ。

ちょっと待って、なぜ進捗状況を確認しなかったの?
そう思いますよね。
組織で仕事してるんですもん。
おっしゃる通りです。

直属の上司も、部長も、何度も進捗を確認していました。
そのたびに男性社員は「大丈夫です!任せてください」と
シュワちゃん扮するターミネーターが、親指立てながら沈んでいくくらい自信満々で返答。

「じゃあ1週間後に1度確認するから見せてよ」と言うと
「わかりました!」と、これまたいい返事。

いざ成果物の確認の日になると
「すみません。子どもが熱を出してしまったので、今日はお休みします」

えーちょっと待ってよ!

仕方ないので翌日声をかけると
「子どもの調子がまだ悪くて、病院へ連れていきます。バタバタしているので、確認は後日でよろしいでしょうか?」

病院?昨日熱を出したのにまだ行ってないの??

でも、子どもを盾にされると深くは突っこめなくて・・・。

そんな感じでのらりくらり、当日を迎えてしまったと。

上司の責任も当然重いです。
ガンガン進捗状況を把握すべきでした。

でもね、伝家の宝刀「子どもが~」と言われると、それ以上強く言えない。

実は、男性社員と同じ部署のママ社員たちはピンときてたんですって。

「保育園に通っているとはいえ、あんなしょっちゅう休んだり早退したりしないですよ」

「普通子どもが熱出したらすぐ病院行きますって。お子さんが病気って実はウソなんじゃないかな」

「子どもを理由にサボってるって、女性陣みんな気づいてましたよ」


普段のHさんの勤務態度を見ていると、あれはウソだわ、と。
ですよね~。

クライアントの方には、部長と上司で謝罪に行き、数日納期を延ばしてもらい
そのお仕事は別の社員が無事に完遂いたしました。
別の社員、本当に頑張りました。ありがとう。

今回の件は結構な大問題になりまして
男性社員+直属の上司+部長+人事+会社の偉い人
で面談をすることに。

正直ね、こんな大事になったんだから
結構反省するかと思ってたんですよ。

下手したらクビ案件ですから。

でもね、男性社員Hさん、華麗に開き直ります。

「子どもの体調不良なので仕方がない」の一点張り。
子どもの体調が悪いのに、仕事させる会社ってどうなんですか?非常識じゃないですか?と。

男性社員の主張はこうです。

① 仕事が進んでいない=子どもが体調不良だから仕方ない。

② サボってネットサーフィンしてる=仕事が暇。上手く仕事を振らない会社が悪い。

③ トイレにこもって戻ってこない=そんなことはない。生理現象。

④ 気づいたらいなくなっている=そんなことはない。覚えていない。

⑤ 仕事が暇なら、依頼された仕事を進めたらいいのでは=子どもが体調不良だから無理。

もう話にならねぇ。

会議の空気重すぎる・・・。

男性社員はあてにできない。しかも仕事もろくにしていない。
何でもかんでも子どもと会社のせいにする。

【もうこれは、時間をかけて退職勧奨するしかない・・・】

そう思っていた矢先

男性社員Hさんの有給休暇が底をつきました。



有給「0」になる


有給がない場合
欠勤扱いで、お給料から欠勤した分が引かれます。

Hさんどうするんだろう?
これまで休んでたHさんの代わりに、奥さんが休むのか?
それとも、子どもの体調不調(ウソ)での休暇取得をやめるのか?

人事一同、どうなるのかと見守ります(ゴクリ)


答え=有給が0になってからも男性社員は休み続けました

休むんかーい。

もちろん、欠勤した分お給料から引かれることは説明済みです。

月の手取りが5ケタに。

生活できるの?
奥さんが働いてるから大丈夫ってこと?
それにしたって・・・と心配していたところ

男性社員が堂々と退職宣言。

「会社に対して思うところがあるので、辞めさせていただきます!」
思うところ、ですか。

仲の良い同僚に
「うちの会社はブラックだ!」
と言っていたそうなので、まあ、そういう理由なんでしょう。

念のため、Hさん本人からもヒアリング。

  • やりがいのある仕事ができない、つまらない

  • 給料が安いので生活が苦しい

これが、男性社員の『思うところ』でした。

いやいや全部自分が蒔いた種でしょうが。
社内全員あきれモード。

男性社員は、きっちり1ヶ月後に退職しました。

本当にお子さんの体調不良で休んでいたのか、それ以外の理由で休んでいたか実際のところはわかりません。

特別、身体が弱いお子さんではなかったのですが。

有給休暇を申請する際に理由を聞くことはないので
もしプライベートな理由で休みたいのであれば
子どもを盾にすることなく休めばいいのに・・・。

なんともモヤモヤする案件でした。

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