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鼻母音を発音するために認識しておきたい前提

『イパネマの娘』の解説本を書いています。
多くの方に伝えたい!という話が書けたので、抜粋して紹介します。

鼻母音のコツ

Num doce balanço の num について書いています。
ここは「ヌン」ではなく「ヌーン」くらいの長さで発音しないといけません。

というのも、いつも申しておりますが、鼻母音は、母音が2〜3個分くらいあるイメージで発音しないと、鼻母音の音が出る前に次の単語に移行してしまうのです。
場合によっては「ヌンッ」と、あるのかないのか、分からないくらい短く発音してしまいます。
これもいつも申しておりますが、ポルトガル語は、全ての音節を均等の長さで発音する言語です。
ここが英語との大きな違いなのですが(英語は、アクセントがある音節だけゆっくり発音する)、あるのかないのか分からない長さで発音すると、ポルトガル語の「言葉のリズム」が乱れてしまうのは明白です。
これが、ブラジル音楽を攻略できない大きな原因になります。

試行錯誤して得た「鼻母音のコツ」

鼻母音の音の長さについては、私にも経験があります。

自分の朗読を録音して聞いたとき、今回で言えば「ヌンッ」のように、鼻母音の音が全くありませんでした。
「もっと長く鼻母音の音を出さないといけない」と分かり、再度録音してみました。
録音中に
「長すぎる、絶対間延びしてる」
「母音2〜3個分って、息切れしちゃう」
「わざとらしくて失敗したな」
と考えていました。

ところが、録音を聞いてみると、違和感がないどころか、
とても綺麗な鼻母音で、ネイティブ発音と同じような音と長さになっていました。

度肝を抜かれました。
あれだけ頑張って、苦労して、「長すぎる」と思っていた発音が、
ちょうど良かったのです。
自分が普段、いかに鼻母音の音を不足させながら発音していたのか、思い知りました。

ネイティブは、これほどまで苦労して発音していません。
母国語なのだから当然です。
私たちは、これくらい苦労しないと鼻母音を発音できないのだということが分かりました。
スタート地点が全く違うので、ブラジル人の話し方だけを参考にして判断しないようにしましょう。

そしてこの「長さ」が、ポルトガル語の「言葉のリズム」に変換され、言葉がどんどん転がっていくのです。
勇気を持ってこの「長さ」を出し、体験した人だけが、
「ポルトガル語のリズム」を知り、使いこなしていけるようになります。
この言葉の「軽快さ」で歌うことが、「ブラジル音楽を歌う」ということなのです。

全ての人に鼻母音のコツを教えたい

攻略の方法さえ分かれば、なんてことないのです。
鼻母音で苦労している方、苦労していることにすら気付けていない方、
全ての日本語話者に、ポルトガル語の鼻母音のコツを教えたくてウズウズしてしまいます。

日本語にも、ポルトガル語の鼻母音と同じ喉の構造をした発音があります。
「パン屋」「電話」「天才」
これらの「ン」は、鼻母音と同じ喉です。
これらの単語をゆっくりと発音してみて、鼻母音の練習に役立ててください。
喉の構造の話などは、以下のYouTubeで解説しています。

同じ「鼻母音」でも言語によって考え方が違う

生徒さんに、フランス語が堪能な方がいらっしゃいます。
その方の話によると、ポルトガル語の鼻母音は、フランス語の鼻母音と考え方が異なるそうです。
フランス語は、短めに鼻母音を出すことが良いとされているようです。

私もフランス語の鼻母音についてほんの少しだけ検索してみました。
ポルトガル語と比べて数は少ないですが(音としては3つしかないのかな?)、
発音記号を見ると、ポルトガル語とは異なっていて、
なんだか複雑な印象でした。

そして、フランス人の方の鼻母音の発音を聞いてみたところ、
確かに少し短めに発音していらっしゃいました。
ある先生は「母音が、鼻に抜ける」とおっしゃっていましたが、
正にそんな感じでした。
ポルトガル語の鼻母音も確かに「鼻から通す」音ですが、
「響かせる」という要素もあるように思うので、
その認識の違いが「母音の長さ」に関わっているのかなぁと考えました。

フランス語は、私が唯一、手を出してこなかった言語です。
もし見当違いなことを書いていたら申し訳ありません。
スペイン語とイタリア語は少しだけ勉強したことがありますが、
どちらも鼻母音がない言語です。
同じ「鼻母音」という項目でも、言語によって概念が全く違うのだと知りました。
これには驚きです。

それにしても、フランス人の方の鼻母音を聞いてみても、
違いがよく分かりませんでした…笑
ポルトガル語初学者もきっと、こんな感じなのかなぁと考えていました。
「初心にかえって」と言いましょうか、
「もしこれがイタリア語のレッスンだったら、私はどう感じるだろう」
というように、学習者の立場になって考えるようにしていますが、
全く初めての言語に触れたとき、なかなかに太刀打ちできないなと感じました。
私の初期の動画などは
「教科書の最初に書かれている内容は知っている」が前提で話を進めてしまっているので、
初学者でも分かりやすい解説をしていかないといけないなぁと思いました。

ところで、ネイティブの先生は、発音が完璧なのはもちろんですが、
練習問題の出し方がとても上手ですね!
私の母もそうでした。
子供の頃に教わったのは、ユニークで、子供でも楽しんで学習できる練習問題が多かった思い出があります。
フランス人の先生方の動画を見て、
「確かに、こういう問題を出してくれたら理解が早まりそう」と感じました。
日本人にはない発想のセンスでそういう問題を生み出せるのかなぁと考えていましたが、
おそらく、ご自分たちが小学校で習った内容を取り入れてるのかなぁと思いました。
さすがに私は、日本育ちなので、「日本人が苦手なもの/ 間違いやすいもの」の視点でしか問題を作れません。
それはそれで有益かもしれませんが、教える人のルーツがどこにあるかで
これだけ違うものなのだなぁと感じました。

♡ ••┈いつもご覧くださりありがとうございます┈•• ♡
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・発音矯正
・音声学に基づいた「日本語のクセ」と「ポル語の特徴」の解説
・「ポル語グルーヴ」のブラジル音楽への落とし込み方
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YouTubeでミニ講座を投稿している他、オンライン無料レッスンも行っています。
ご興味がある方は是非YouTubeチャンネルやHPをご覧ください.*˚✩
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꧁愛マリアンジェラ꧂

著書
『日常ポルトガル語会話ネイティブ表現』(出版: 語研)
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※共著

電子書籍 (すべてKindle Unlimited対応)
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