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休日の経営戦略

時刻は16時。
彼女は考える。
今日はスーパーに行くべきか否か。

冷蔵庫にはすでに買っておいた食材という資源が残っており、
その資源を活用し、
その組み合わせにより夕食という成果物を完成させるべきか、
冷蔵庫の資源に新たな資源を追加することで、
より付加価値の高い夕食を提供するべきか。

その考えに予算制約という壁が立ちはだかる。
予め決定した予算をきちんと管理していく上で、
予算を上回るような投資を行ってしまえば、
決算月である自らの誕生日にかける予算を作戦することになる。

夕食そのものを外注することもできる。
それはつまり外食やテイクアウトといったことである。
内製するか、外注するかという決断は難しい部分がある。
食費という予算を考えれば、
それは間違いなくコスト高になることはわかっている。
しかし料理を作り皿を洗うという労務コストや、
普段は食べられないようなものを食べられるという便益を得ることができる。

家庭内でいえば自炊にかかる人件費はゼロである。
外食をすればすなわちそれは直接のキャッシュアウトである。
このせめぎ合いは一生続く悩みの種である。

「お腹をいっぱいにする」という目的のみで考えれば、
コストを十分に抑えることは可能である。
しかし実際には家族やパートナーの健康を考え、
栄養バランスを取る必要がある。
栄養バランスが良いとはいえ、
毎日同じメニューを展開すれば、
それはそれで素っ気なく質素な食事となってしまうだろう。

世の中の女性たちは毎日の食事という会社の経営者である。
冷蔵庫の中身や自らの労力というリソースを最大限に活用し、
厳しい予算制約がある中、
わがままな家族やパートナーの要求に応えていく必要がある。
その中で中長期的目線を持ち、
いつまでも元気でいられるよう、
健康を考えた栄養のある食事を提供しているのである。

そう考えれば、
サラリーマンの分際で飯がまずいだのなんだの言ってはいけないのだ。
私はサラリーマン、お相手は経営者なのである。

どっちが偉いという話はどうでもよく、
相手がしてくれていることに対するリスペクトは大切だよねという話である。

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