グレー
できなかった。
グレーのまま離れることなんてできなかった。
本当は
自然に、ごく自然に
離れて行きたかった。
本当は
いつの間にか
懐かしいと思えるようになりたかった。
それでも
グレーにしたままあの人から離れることができなかった。
最後に見たあの人の寝顔が
私の記憶から薄れる頃
2人はもう、触れ合うこともないんだね。
最後に抱き寄せられた腕の感触が
私の体から消える頃
2人はもう、すれ違うこともないだろうね。
終わりを告げた。
2人の間には何にも始まっていないのに
終わりを告げた。
帰りたい。
あの人の優しさを知らない頃に
ずっとずっと前に
あの人と出会う前に
帰りたい。
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