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暑いから夜に駆ける

7月は涼しかったけど今月はいよいよ夏本番。ようやく高気圧が本気をだし、熱中症予報は真っ赤っか。月が変わるのを待っていたかのごとく新しい名前のついた台風が報道される。

こんな暑い中で走れば10分でゆでだこ。続ければ全身が溶けたアイスになって道路のしみになりそう。

ということで、最近はランニングを夜にしている。寝静まりつつある街を横目に足を進める。心拍が上がり身体がギアを上げようと準備しているのがわかる。一歩一歩地面を踏むごとに自由になっていく。今目に入るところで動いているのは僕一人。この世界でただ一人取り残されたような感覚。昼では味わえない爽快感。

夜は普段見えない表情も見せてくれる。あまりの暑さに道路の真ん中でへばっているにゃんこ。車が通る場所なのに。体調悪いのかと心配になったがさわったら顔を上げたから大丈夫そう。帰り道にはいなくなっていた。

公園を走る。昼間はにぎやかだった遊具も眠り、ブランコは静かに重力に従っている。水浴びしていたカモも人を見ていたカラスも今ここにはいない。夜の公園の主役は昆虫だ。蚊がさまよい幹にはカナブンが樹のジュースに舌鼓を打つ。

ひときわ宝石のように明るく輝く虫がいた。蝉だ。地面の殻を破り樹に登り、ようやく日の目を浴びたばかりの蝉。これから短い生命を謳歌せんとばかりの生命の輝き。

昼もいいけど夜に駆けるのも悪くない。今日も走りに行こう。

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