見出し画像

オンライン酔いしていませんか? 自分や他者のパフォーマンス発揮を後押しするために知っておきたい人間のメカニズム*HSPやエンパスの方にも*

「オンラインで大人数が参加する会議やイベントに出て何だかとっても疲れた」と感じたことはないでしょうか?

それは気のせいではありません。

そんなときは「オンライン酔い」が起こっている可能性があります。

1. オンライン酔いとは?

オンライン酔いとは、乗り物酔いのように、オンラインという環境によって酔っている(気分が悪くなったりめまいがする)という状態です。

オンライン酔いをしているときは次のような症状が現れます。

<オンライン酔いの症状>
・疲労
・眠気
・頭痛
・不快感
・めまい
・吐き気
・顔面蒼白
・動悸
・冷や汗
・無気力

これまで、VRや3Dのゲームをしてこれらの症状を感じたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。

これらは一見、「体調が悪い」「働きすぎ」ということから起こっているようにも思えるため、実はそれがオンラインという環境によって起こっているということには気づきづらかったりもします。

では、オンライン酔いはなぜ起こるのでしょうか?

2. オンライン酔いはなぜ起こる?

現在のようにオンラインでの会議やイベントが一般的になる前から「映像酔い」や「VR酔い」についてはすでにその現象が問題となり、様々な研究がなされてきました。

映像酔いは英語では virtual reality sickness もしくは cyber sickness と呼ばれており、2000年にはすでに cyber sickness に関する論文が報告されています。

映像を見て酔いが起こる原因については諸説ありますが「身体が感じる感覚」と「視覚が受け取る情報」とが矛盾するとそれらが脳のなかでうまく統合できなくなってしまい不快な感覚が起きるというのが通説となっています。

さらに、2015年には京都大学の研究グループが、映像に酔ったときに映像の動きを検出する脳部位の活動が右脳と左脳の間で互いに乖離しているということを発見しています。

感覚の矛盾があるとなぜ酔いに至るかというメカニズムまではまだ解明されていませんが、「視覚情報と身体感覚が一致していないと酔いが起こる」とうことを実感されている方も多いのではないでしょうか。

オンラインのゲームでは「視覚情報と身体感覚が一致していない」ということは分かりやすいですが、特にオンラインでの大人数での会議やイベント等でも同様のことが強く起こっています。

思い出してみてください。

20人、50人、100人、1,000人。

これだけの人が集まってリアルな会議やイベントをしているときというのはどんな状態だったでしょうか?

まずは物理的に広い空間に身を置いていたはずです。

そしてそこには集まった人たちの熱気や匂いも混じり合っていたでしょう。

私たちの身体は細胞レベルで環境とコミュニケーションを取っています。

そこにいる人たちが、環境と相互に影響を与え合い、「その場の空気」をつくっている。

私たちはこれまで、無意識のうちにそういう場に身を置いて、そういう場の感覚を身体で感じてきたのです。

しかしオンラインとなるとそんな「場」を感じることはできません。

身体はプライベートな空間に身を置いているけれど、目の前には何十人もの人の顔がある(そしてみんなこちらを向いている)。そんなとき、視覚情報と身体感覚に大きな不一致が起こっています。

そのため、オンライン酔いが起こるのです。

3. オンライン酔いが起こりやすい人や環境とは?

乗り物酔い同様、身体の状態が万全でないときはオンライン酔いが起こりやすくなります。

<オンライン酔いが起こりやすい状態>
・寝不足
・疲れている
・食べ過ぎや空腹
・不安やストレスがある

また、画面に映るものがオンライン酔いを助長する場合もあります。

<オンライン酔いが起こりやすい環境や条件>
・Zoomのギャラリービューなど、多くの人の顔が見えている
・画像や動画、映っている人が頻繁に切り替わる
・共有される映像の動きが激しい
・時間が長い
・画面が小さすぎる(もしくは大きすぎる)
・バーチャル背景など、映っている人と見えている情報の不一致がある

さらに、HSP(Highly Sensitive Person:繊細な感覚を持っている人)やエンパス(共感力が高い)の人は、画面に映るたくさんの人の表情を視覚情報としてキャッチし、それによってオンライン酔いや疲れが起こるということもあります。

<オンライン酔いが起こりやすい人>
・子ども
・車酔いがしやすい人
・HSPの人
・エンパスの人

4. オンライン酔いを予防するためにできること

オンライン酔いをすると、頭痛やめまいなどの分かりやすい症状以外にも「目が疲れる」「肩が凝る」など、「何となくパフォーマンスが上がらない」ということが起こります。

それに対して、オンライン酔いを防ぐためにどのようなことができるのでしょうか?

<オンライン酔いを予防するためにできること>
・会議やイベントはどうしても必要があるとき以外スピーカービューにする
(必要に応じてできるだけ使い分ける)
・できるだけ画面を見ることより聞くこと、もしくは話し手そのものに注意を向けることに集中する
・画面共有や画面の切り替えをするときは一声かける
・バーチャル背景は本当に必要なときだけ、落ち着いたものを使用する
・睡眠や休息を十分に確保する

・少しでも疲れを感じたら無理をしない
・1日あたりのオンラインミーティングの時間を制限する
・必要なときを除いて、音声のみで打ち合わせ等を行う

最後の3つは、自分ではなかなか調整をするのが難しい方もいるかもしれませんが、より良いパフォーマンスを保つためにも、自分自身で時間の使い方や会議の参加方法などを調整をするというのはとても重要です。

*神経系は外界の刺激などによって常に機能的、構造的な変化を起こしているということで「慣れ」のようなものはありそうですが、特にHSPやエンパスなどの体質の人にとって慣れがあるかは今のところ定かではありません。

5. 誰もが力を発揮できるオンライン空間を目指して

現在、自宅など働く環境そのものとパフォーマンスの関係にはすでに目が向けられ、環境改善の後押しをする企業も増えています。

しかし一方で「視覚情報と環境(身体感覚)の不一致」によって不調が起こるということにはまだ十分に目が向けられていないのではないでしょうか。

また、移動や通勤の時間と手間がなくなったことで、身体への負担は減っていると考えらえられていることも多いでしょう。

そんな中では「オンラインでの会議に出ると何だか疲れる」というのは、本人の気持ちや体調の問題だと捉えられがちです。

確かに、気持ちや体調の問題ではあるのですが、もしかするとそれは「オンライン酔い」という現象から来ているかもしれません。

あなた自身やあなたの仲間、お子さんが十分に力を発揮できていないのは、人間に起こるとても自然な現象から起きているかもしれません。

オンラインでは便利なことがたくさんありますが、便利であれば、それぞれの人が持っている力を発揮できるかというとそうでもありません。

「直接会えないからこそ、オンライン上でコミュニケーションをしっかりと取ることが大事」というのは確かにそうなのですが、単純に回数や時間を増やせばいいかというとそうでもありません。

あなたは今、持っている力を十分に発揮できていますか?

あなたの大切な人たちは、持っている力を十分に発揮できていますか?


環境づくりや関わり方など、オンラインの場であっても、できる工夫はたくさんあります。


まずはぜひ、今の自分自身の身体の状態にアンテナを立ててみて、オンライン酔いでなくとも「疲れているな」と思ったら、身体を休めてくださいね。

・・・・・・・・・

私自身、3年前に渡欧して以来、全ての仕事をオンラインで行なっているものの、エンパス体質かつもともと乗り物酔いをしやすい体質でもあり、ものすごくオンライン酔いをすることから今回この記事を書きました。

「オンラインの会議って何だか疲れるな」
「オンラインのイベント、楽しいんだけどたくさんは参加できないな」
「これでいいのかな?」
と思っている人たちの少しでも参考や後押しになると嬉しいです。

私の個人的な感覚としては、同じイベント・カンファレンスでも、スピーカーのみが表示される配信方法の方が(例えばZoomよりもYouTubeライブ配信の方が)「酔い」は起こりづらいように感じていますが、あなたはいかがでしょうか?


オンラインでもリアルでも、それぞれの人が持っている力を発揮し合いながら力を合わせていけるような場をつくっていけるといいですね!

参考▼


エンパスについてはこちら▼


awaiでは、本来持っている感性や力を発揮し、生き生きといのちを生きていくことに向けた取り組みを開催しています。

最新の取り組みやご案内はこちら▼


このページをご覧くださってありがとうございます。あなたの心の底にあるものと何かつながることがあれば嬉しいです。言葉と言葉にならないものたちに静かに向き合い続けるために、贈りものは心と体を整えることに役立てさせていただきます。