「ちょっとしたチャレンジ」を「習慣」として定着させるために知っておきたい人間のメカニズム
日本では梅雨が明け、いよいよ夏本番という雰囲気になってきているでしょうか?
わたしはギリシャのレロス島で、久しぶりに「夏休み」の感覚を味わっています。
のんびりムードの中でも、この島に来て新たに始め、そして約3週間続けることができていることがあります。
それは毎朝のワークアウト(ランニングとヨガと筋トレ)。
身体を動かすのは好きだけれど、ランニングはこれまで全くしてこなかった・キツいことを続けるのが苦手(瞬発力はあるけど忍耐力や根性はない)、そして何より「朝はベッドでごろごろしていたい派」のわたしがどうして朝の取り組みを続けることができたのか、人間のメカニズム(&現在滞在しているギリシャの島の様子)とともにご紹介します。
「ちょっとしたチャレンジ」を「習慣」として定着させるためのポイントと人間のメカニズム
1. 実現・達成したいことがリアルにイメージできている
今回朝のワークアウトを始めようと思ったのは今年に入ってオランダ人のパートナーと暮らし始めて以降、そして4月にトルコに渡ってからますます、増量(体重が増える)していっていたことがきっかけでした。
高校生・大学生のときにダンスをしていたことから、また昨年・一昨年は身体の質を上げる取り組みを意識的に行っていたことから自分のベスト体重やバランス、コンディションはこんな感じという感覚が明確にあったので、「よし、あの状態を目指すぞ!」とイメージを持つことができました。
さらに、「からだが軽やかだと意識もクリアになって、そうすると働く時間もさらに短くできる。そうしたらもっと本を読んだり、書籍の原稿を進めたり、のんびりしたりもできるなあ」と、「その先」のイメージもふくらませていました。
メカニズム①
わたしたちは実現したいことや達成したいことがリアルにイメージできていると、それに向かって取り組み始めやすい
*「海でビキニを着るぞー!」という気持ちも、実際に海を見てリアルなものになりました。
2. 必要に迫られている
「からだのコンディションが良くなるとパフォーマンスも上がる」というイメージや実感はずっと持っていましたが、一方で「美味しいものを食べて確実に顔もからだもまるまるしてきているなあ」とこの3ヶ月間ずっと思ってきました。
ジョギングシューズとヨガマットも荷物に入れてオランダを出発し、4月から7月のトルコ滞在中には何度かパートナーと一緒にヨガや筋トレをしましたが継続するには至らず。
しかし6月末にそろそろ着る機会があるかしらとビキニを着てみたところおなかがぽっこり…。これまで「わたし、結構太ったよね」と聞いても「I still love you!」と笑って返してくれていたパートナーが「僕が甘やかしてしまったね…」と言う始末。
さすがに「このままではまずい!」と実感し、今いる島にやってきた翌々日から朝のワークアウトを始めました。
わたしたちは想いや理想はあっても、基本的に必要に迫られていないとやりません。「やろうやろうと思っても始められないとき」は、今の状態で手に入れているものがないか、もしくは「手に入れている」と(誤って)認識しているものがないかを確認してみることがおすすめです。
メカニズム②
わたしたちは、基本的に「本当に必要なこと」や「必要に迫られていること」でないとやらない
*必要に迫られていても、美味しいものを食べるのはやめられません…。
3. いつどこで何をすればいいかが分かっている
これまでも定期的に一人でジョギングをしていたパートナーは今いる島にやってきた翌日にもジョギングに出かけ、そして帰ってきて言いました。
「あっちの方に小さな教会があったよ。見晴らしもいいし、スペースもあるからきっとそこでヨガや筋トレをしたら気持ちがいいと思う」
そして翌朝、わたしは彼の後をくっついてとりあえず走り、そして教会の横のスペースでヨガと筋トレをしました。
ちょうど先月末にアシュタンガヨガの太陽礼拝のポーズを教えてもらっていたので、まずは太陽礼拝から。
そして筋トレは彼の掛け声に合わせて見よう見真似で。
ジョギングもヨガも筋トレもどこでどうしたらいいか分かりませんでしたが、「とりあえず言われた通りにやる」「真似をする」ということでまずは始めることができました。
メカニズム③
わたしたちは「やり方が分かっている」と踏み出しやすい
*ヨガと筋トレをしている場所の近くにある小さな教会。朝でも蝋燭を灯しに来る人がちらほら。
4. 現在の自分に合ったレベルから取り組んでいる
朝のワークアウトを始めて1週間が経とうとするとき、筋トレの最初に彼が言いました。
「今日はダブルでやるよ!」
「え!?」(ダブル!?えっと、最初の動きだけ2セットってことかな、それとも全部の動きが倍になるのかな…)
フタを開けてみると、全部の動きがこれまでの2倍。
もともと「8カウント」で数える習慣があったわたしにとって「10カウント」での筋トレもちょっと長い感じがしていましたが、それがさらに2倍になり、その日は心の中でヒーヒー言っていましたがなんとか終えることができました。
「もし初日からこれだったら、キツくてすぐにやめていただろうなあ」と帰り道にしみじみ考えていました。
メカニズム④
「ちょっとがんばればできる」ところからだと始めやすい
*ビーチ沿いのランニングも、途中上り坂が二つでほどよい感じです。
5. 積み重ねている実感がある
朝のワークアウトを始めた日から、わたしたちはメジャーでウエストを測ってノートに書き込んでいます。(体重計はないので)
数字に変化があったときに嬉しいのはもちろんですが、何より毎日の記録が残っていくとそれだけで「続けている!」という実感が湧いてきます。
小学生のときに夏休みのラジオ体操で(今はないのでしょうか)スタンプをもらえると嬉しかったですが、その感覚はいくつになっても変わらないもの。
noteも、継続をすると色々なメッセージが出ますが、「積み重なっている」という実感はさらに継続をする後押しになります。
メカニズム⑤
「積み重ねている実感」があると、続けやすい
*島の中にある丘を登る道。遠くからはそそり立つように高く見える丘も、ゆるやかな道をたどって登っていくことができます。
6. たどるプロセスがイメージできている
朝のワークアウトを始めてすぐにパートナーが言いました。
「ワークアウトを続けたら、まずは自分が変化に気づくよ。数字に変化が出るのはそのあとで、他の人が変化に気づくのはさらにそのあと。でもまずは自分が変化に気づくんだ」
そう言われたせいか、数字だけでなく自分で感覚や見た目も観察をしていると、数日後「なんかちょっとは顔が引き締まった気がする!」という感覚がありました。
そのことを彼に伝えると「自分が最初に気づくって、言った通りでしょう」とのこと。
「最初に気づくのは自分、数字はそのあとからで、他の人が気づくのはさらにそのあと」という流れが分かっているから、数字にすぐに現れなくても人に何も言われなくても「これでいいんだ」と確信を持って続けることができています。
メカニズム⑥
たどるプロセスがイメージできていると続けやすい
*丘の上から見た島の様子。見渡すことができると現在地も分かりやすい。
7. 良い影響を実感できている
朝のワークアウトを始めて数日後、コーチングセッションの際にからだが軽く、いろいろなものが「すー」っと聞こえてくる感覚がありました。
長期的な見た目やからだの感覚そのものはもちろんのことですが、わたしにとっては日々の仕事に良い影響があるということが最も大事なこと。
ワークアウトの後に「良い状態でいられていること」や「良い影響があること」を毎回実感できていることが何より継続の後押しになっています。
わたしたちは「良いと分かっているけれど、良い影響がすぐに実感できないこと」はなかなか続けることができません。一方で、何か少しでも良い影響を感じると「これでいいんだ」という確信や満足感を得ることができます。
まずはぜひ「ちょっとした良い影響はどんなことから感じられそうかな」と、影響を感じるアンテナを立ててみてください。
メカニズム⑦
毎回「良い影響」を小さくとも実感できていると続けやすい
*仕事が終わったら散歩し、カフェでのんびり。心身がクリアで毎日とっても気持ちよく過ごせている実感があります。
8. 毎回、達成感や爽快感、幸福感を感じられている
長距離を走ることそのものには喜びを感じないわたしですが、それでもジョギングをして教会に着いたときの達成感やそこから見える景色の気持ちよさは毎回感じています。
筋トレも基本的にはきついけれど、一番きついスクワットのときにパートナーが向き合って手を引っ張ってくれるときは「ハンサムなパーソナルトレーナーと筋トレできるなんてラッキー!」と思うし(ピンクのメガネがかかっています笑)、帰り道、あれこれ話しながら手をつないで歩く時間もとっても幸せ。
わたしたちは「良いと分かっているけれど、そのプロセスがただきついだけだったり幸せな感覚を感じられないもの」はなかなか続けることができません。
新しいことに取り組んでいくときは、毎日の体験の中で少しでも達成感や心地よさが感じられるように、方法や環境など工夫をしてみてください。
メカニズム⑧
毎回、達成感や爽快感、幸福感を感じられると続けやすい
*毎朝ヨガと筋トレをしている場所。朝日を浴びての太陽礼拝はとっても気持ちいいです。
9. 毎回、気持ちよくスムーズにスタートすることができる
朝のワークアウトを始めて2週間ほど経ったときに「なぜ2週間続けることができたんだろう」と振り返ってみました。
そのときに気づいたのが「家の前が下り坂」ということ。
そのため毎回とりあえず気持ちよくスムーズに走り出すことができていました。
これがもし上り坂だったら毎回「ひーえーきついー」となって、続かなかっただろうと思います。
仕事も、あえて全部終わらせずに次の日スムーズに始められることを残しておくのが良いと言われたりもしますが、この「スムーズに始められる」という入り口をつくるのは継続するにあたってとても大切。
精神力の強さなど内面的なことに頼るのではなく、「簡単に始められちゃう環境」からつくっていきましょう。
メカニズム⑨
毎回スムーズに始められると続けやすい
*家から出てすぐの下り坂。気持ちよく走り始められます。
10. 一緒に取り組む仲間やメンターがいる
朝のワークアウトが続いた一番のポイントは、やはり、一緒に取り組む仲間がいたことです。
「ベッドでゴロゴロしていたいなあ」という朝も、「ワークアウトに行こう!」と言われると「そうしよう!」と思えるし、ランニングのときも、前を走る人がいたり、後ろから足音が聞こえていると走り続けることができる。
筋トレも、姿勢を正してもらえたり「Good!」と言ってもらえると「これでいいんだ!」「効果がありそう!」と思える。
人は、新しいことをするにはまずは誰かのサポートがある状態でできるようになって、そこから一人でもできるようになると言われています。(まずは補助輪をつけて自転車に乗る感じですね)
一緒に取り組む仲間やメンターがいることで、一人で取り組むよりも楽しみながら、効果的に取り組みを続けていくことができます。
メカニズム⑩
一緒に取り組む仲間やメンターがいると続けやすい
*ヨガと筋トレをしている場所の前のビーチでは、いつも犬を連れたカップルが泳いでいます。「なんとなく仲間っぽい人がいる」というのも大事。
今すでにある習慣と組み合わせて、楽しく無理なく始めてみよう
さらにわたしたちは新しい習慣をつくるとき、今ある習慣と組み合わせるというのも良い方法だと言われています。
わたしの場合は、毎朝起きてすぐに大麦若葉のドリンク(青汁みたいな感じ)を飲む習慣があったので、そのドリンクを飲む前に「スポーツウェアに着替えてしまう」ということをくっつけました。
そうすることで、ドリンクを飲み終わったらワークアウトに出かけるという流れが自動的にできるようになりました。
また、できない日があっても気にしないというのもとっても大事。
「決めたことをできないわたしは意思が弱いんだろうか」なんて、自分を責めていると自己肯定感がどんどん下がっていってしまいます。
「すぐに着替えられなかったのなら、枕元にスポーツウェアを置いてみよう!」
「風の音が強くて、ベッドを出るのが億劫になってしまったなら、音が聞こえないように窓を閉めてみよう」と、マインドに頼らずに、行動していける環境をつくっていくのがおすすめです。
新しい習慣を定着させるためのおまけのポイント
①今ある習慣と組み合わせる
②できない日があっても気にしない マインドを責めず、環境をつくる
*できない日があっても気にしない!ゴロゴロしててもOK!
あなたはこの夏、どんなことにチャレンジしますか?
どんな習慣をつくっていきたいですか?
あなたはどんな環境やポイントがあると、「楽しく続ける」ことができるでしょうか?
ぜひ、人間や自分自身メカニズムを活用しながら、楽しく新しいことに取り組んでみてください。
*アリストテレスは「自分自身を知ることはすべての知恵の始まりです」と言ったそうです。(本当かしら?)まずは自分を知ることから始めてみましょう!
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