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ちょっと待って!オルカン・S&P500集中投資で大丈夫?ポイントと注意点

新型NISAの導入

2024年1月に新型NISAが始まり、多くの方が証券会社に口座を開きました。新型NISAは、年間投資額の上限が引き上げられ、非課税期間が恒久化されるなどの改正が行われ、個人投資家にとって一層魅力的な制度となっています。

オルカンへの投資

本やYouTubeのインフルエンサーの影響もあり、いわゆる「オルカン」への積み立てをインデックス投資として選択している方が少なくありません。
オルカンとは、eMAXIS Slim全世界株式の愛称です。
このファンドは、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスに
連動し、世界中の株式に広く分散投資することで、
リスクを低減しつつ安定したリターンを目指しています。

S&P500への投資

オルカンに加えて、「S&P500」への投資も人気です。
S&P500は米国の代表的な500社で構成される指数であり、特に米国市場において安定した成長が期待されています。S&P500は過去数十年間で平均年間リターンが7〜10%と高い実績を持ち、長期的な資産形成に適しているとされています。

積み立て投資の利便性とリスク

積み立て投資は、自動化の仕組みを使うことで、投資に深入りせずに、資本主義の果実を得るための投資戦略です。一度仕組みを作ってしまえば楽ですが、「何も考えなくてよい」ということではありません。
市場の動向や経済の変化に応じて、定期的に見直すことが重要です。

知っておきたい市場メカニズム

投資対象の株式マーケットに働いてるメカニズムがあります。
何も考えず焦って利益を得ようとする人には厳しく、損をさせ、
その利益は投資戦略を練った慎重な投資家に渡ります。

これはオルカンなどのインデックス投資でも同様です。

絶対に答えられるようにしておきたいクイズ

これからインデックス投資を始める人も、すでに始めている人も、
次のクイズに明確に答えられるでしょうか?
答えられない場合、
あなたは時間を費やしたにもかかわらず
投資に失敗してしまう可能性があります。

QUIZ:
オルカンやS&P500だけに投資した場合、
どれだけ資産が減る可能性があるか知っていますか?

オルカンの資産減少(ドローダウン)のリスク

オルカンは株式の資産に入ります。
一般に株式の変動は激しく、経済的混乱が生じた場合、
その価値を大きく目減りさせます。

2008年の金融危機では、
オルカンのインデックスであるMSCI ACWIは、
1年で42.19%下落しました。
(出典:MSCI ACWI
2008年のドル円の年間の騰落率(変化率)は+2.5%でした。
(出典:Dollar Yen Exchange Rate (USD JPY) - Historical Chart | MacroTrends
つまり、円換算で4割近く資産が1年で目減りしたということになります。

S&P500の資産減少(ドローダウン)のリスク

同様にS&P500のケースも考えてみます。
2008年の金融危機では、
1年で38.49%下落しました。
S&P500の場合は最高値から最安値までの下落データもあり、
これは約52%の下落となっています。
(出典:S&P 500 Historical Annual Returns | MacroTrends)
つまり、こちらも
円換算で4割近く資産が1年で目減りしたということになります。

この状況は過去に実際に起き、今後も十分起こりえます。
本当にオルカンやS&P500だけの投資を続けることができるのか、
今一度考えてみてください。

長期投資のリスクと現実

人は投資の良いところだけを見がちです。
「株はいつも長期で右肩上がりなのだから、
大きな損が一時的に出ても大丈夫だ」
「20年の長期スパンでみれば、
株は損しないことが過去のデータからわかっている」
「株の方が、他の資産よりも複利で利益を出すことができる」

しかし、こういうケースは想定していますか?

「経済が停滞し不況になり、仕事もないのに、資産も減った」
「老後の資金として増やそうとしていたのに、
いざリタイア生活になった時に金融ショックが襲ってきた」
「資産が大きく減っていて、さらに減る可能性があるのに、
積み立てでさらに資金を入金しなければならない」
「資産が積みあがったのはいいが、
資産が1か月で月収程度上げ下げするのがつらい」

オルカン、S&P500による株資産へのインデックス投資だけが
投資対象ではありません。
投資には柔軟性があり、自分に合った投資方法を十分検討できます。

ポートフォリオの重要性

特に知っておきたいのはポートフォリオという概念です。
ポートフォリオとは資金を金融商品に分散して配分し、
資金を守る形で運用するというものです。

例えば、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式へ資金をほぼ4分割して投資する方法があります。
これはGPIFという日本人の年金を運用するプロの機関投資家が
ベースとしているものです。
投資信託を調べれば、
1個人にも同じことが簡単にできることがわかるでしょう。

昨今、日本でもインフレ(物価高)が始まり、
その対策をしたいというニーズがあります。
しかし、株ほど資金をリスクにさらしたくないということもあるでしょう。
その場合、現金を90%ゴールドを10%持つポートフォリオが考えられます。
円換算のゴールドは年20%の変動を持ちますが、
資産の10%とすることで、
資産全体では0.1×20=2%の変動に抑えることができます。
この変動分が、年2%程度のインフレへの対策とすることができます。
(必ずしもインフレ分を補うゴールドの上昇があるとは限りません)

おわりに

日本国民レベルで、長期投資をするということについては、
まだ黎明期とも言えます。
出回っている情報も楽観的なものが多いでしょう。
しかし、「投資は自己責任である」というルールは、
昔からの鉄の掟です。

こうなるはずじゃなかったというケースは、
なかなか顧みられることがありません。
投資では、急に追い込まれて困窮するケースが本当に多いのです。
ぜひ、投資の失敗例についても情報を集めてみてください。

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