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「〇〇のガラパゴス」

皆様こんにちは。
本田拓郎(Takuro Honda)と申します。
この記事へお越しくださいまして、ありがとうございます。

 このnoteでは、今現在観光業に就いている私が、私の目線で、「観光・旅行・歴史・文化・教育」について、知識や新たな発見の提供、その他自論を展開し、古代ギリシャでいう「アゴラ」のような場所を目指します。私が勉強していることを皆様とも一緒に学ぶというスタイルで、記事を創っていきます。

 世界で最初に世界遺産に登録された12件の中に、エクアドルの「ガラパゴス諸島」があります。でも、世界に目を向けると、「〇〇のガラパゴス」と呼ばれる場所がわんさかあります。今日はそれらを紹介し、どういった特徴が見られるのか、学んでいきましょう。表紙の写真は、ガラパゴス諸島に生息し、私が一番好きな鳥類である、「アオアシカツオドリ」です。

拙い文章力と乏しい考察力ではありますが、
最後までお付き合い、お願いいたします。

1.ガラパゴス諸島はどんな世界遺産なのか

 まずはじめに、本家本元である、エクアドルの「ガラパゴス諸島」について見ていきましょう。

 1978年に、世界で最初に登録された12件の世界遺産の1つとして有名ですね。それよりもなによりも、ガラパゴスゾウガメやウミイグアナといった、ここでしか見られない生物が生息しており、イギリスの博物学者で『種の起源』を著したチャールズ・ダーウィンが訪れたことで知られていますね。

 余談ですが、ガラパゴス諸島の名前の由来は、ゾウガメを意味するスペイン語の”galapago”とのことです。

 あと、このガラパゴス諸島、何がバケモノかというと、世界自然遺産に適用される全ての登録基準を満たしているということです。優れた自然美に認められる(ⅶ)、地球の歴史の主要段階を示す(ⅷ)、独自の生態系を有する(ⅸ)、生物多様性が見られる(ⅹ)の4つ全てを満たしています。これを満たしているのは、世界自然遺産の中でも19件のみ

 つまるところ、この地球における自然的価値を示す模範であるということです。一時、観光客が増加し、外来種の流入が問題視され、危機遺産リスト入りしていました。今は、危機遺産リストから除外されているものの、未だ観光問題、密漁など、取り組むべき課題は山積しています。この美しい自然を守るのも、壊すのも、人間だなんて、皮肉なもんですね。

2.「東洋のガラパゴス」小笠原諸島

 では、ここからは世界中にある「〇〇のガラパゴス」を見ていきましょう。

 まずは、日本から、「東洋のガラパゴス」の渾名を持つ、小笠原諸島。日本列島からは隔絶された環境にあるこの島々で独自の進化を遂げた動植物が生息していることが評価されました。

 その背景にあるのが、適応放散。適応放散とは、起源を同一にする動物群が、種々の異なる環境に適応し、生理的または形態的に分化することを意味します。簡単に言うと、環境に合わせて種が分かれて進化していくということ。

 そしてもう1つ。小笠原諸島は、地殻のプレートが沈み込むことで島が形成されていることです。これを「海洋性島弧」と言います。ガラパゴス諸島や、ハワイ島など、他の島嶼自然遺産は、海底火山の噴火によって島が形成れた「火山島」です。島の成り立ちが異なるんですね。

 これら2点から、小笠原諸島では結構面白いことが起こっていて、なんと、日本列島で広く見られる植物(例えば、ブナとかシイとか)は存在していないんですね。こういった植物に関しては、かなり高い固有種率を示しています。

 ミナミハンドウイルカやマッコウクジラなどの海洋生物が近海に生息していることも確認されています。

 しかし、ガラパゴス諸島同様、世界遺産登録に伴う観光客の増加で、外来種の流入が懸念されています。何種か根絶を達成したものもありますが、今後も新たな外来種の流入防止が課題として挙げられています。

3.「ロシアのガラパゴス」バイカル湖

 続いて紹介するのは、「ロシアのガラパゴス」と呼ばれるバイカル湖です。もう、めちゃくちゃ知名度の高い湖ですよね。

 なんてったって、世界で最も深い湖であり、世界で最も透明度の高い湖であり、世界で最も古い湖なわけですからね。湖界の三冠王ですね。

 その中でも、世界で最も透明度の高い湖であることについては、バイカル湖の湖底で発生する地震によって、化学物質や鉱物が生じることで、湖水を浄化しているため、非常に透明度が高いというカラクリなんです。

 この美しい環境は、水生生物1500種以上が生息する、豊かな生物相を創り出しました。そのうち80%が固有種という、何とも高い固有種率。代表的な生物は、バイカルアザラシです。この地球上で唯一、淡水に生息するアザラシです。

 そしてこのバイカル湖、ガラパゴス諸島同様、世界自然遺産に適用される全ての登録基準を満たしています。こりゃ「ロシアのガラパゴス」を名乗っても異論はないですね。

 さらに面白いのはここから。今年3月17日にロシアの研究チームは、バイカル湖に、ニュートリノ望遠鏡を沈めたことを発表しました。

世界最深であること、透明度の高こと、高い水質を保てること、冬季は氷で覆われるなど、宇宙から飛来したニュートリノを観測するのには、理にかなったロケーションのようです。世界遺産を学術のために利用するなんて素晴らしいことだと思うんですけど、私の物理学への理解が、バイカル湖くらい深ければ、原理とかちゃんと説明出来てたんですけどね。力不足で申し訳ないです...

4.「インド洋のガラパゴス」ソコトラ諸島

 さて、最後にご紹介するのは、イエメン保有の世界遺産で、「インド洋のガラパゴス」と称されるソコトラ諸島です。

 この島は、大陸移動によって切り離されたことで造られ、それ以来島内で独自の生態系を形成してきました。そのため、動植物の多様性、固有種の高さが際立っており、世界自然遺産には、登録基準(ⅹ)のみで登録されています。生息する植物は37%、爬虫類は90%、陸産貝類は95%と、驚異的な数値を記録しています。

 ソコトラ諸島のシンボルは、竜血樹(リュウケツジュ)です。シナバルと呼ばれる赤い樹脂をながし、「竜と象が戦ったあとの血だまりから生えた」という伝説からその名が付きました。その樹脂は薬品や染料として古くから用いられ、海上交易の中継地点として、人が多く集まっていた歴史も残ります。

 しかし、近年の地球温暖化の影響で、島の乾燥が急激に進行しており、地表面は干上がっています。そのため、竜血樹含め、多くの種が絶滅危惧種に指定されているという問題も抱えています。

5.自然遺産と人間

 さて、ここまでガラパゴス諸島を含め、4つの自然遺産を紹介してきました。それぞれ異なる特徴を持ち、素敵な場所であることは間違いないです。

 しかし、自然遺産は文化遺産と比較して、非常にナイーブです。以前も述べましたが、一度破壊すると修復ができません。

 ガラパゴス諸島と小笠原諸島は、「観光客の増加」で、ソコトラ諸島は、「地球温暖化」で、悲鳴を上げました。その原因を作ったのは、人間です。特に、私は旅行会社に勤務しているため、「観光客の増加」に伴う環境破壊について少し言及したいと思います。

 私の考えとしては、「世界遺産」と「旅行」や「観光」は、イコールで結ばれないと思うんですよね。「世界遺産だから見に行く」はちょっと違う気がするんですよね。世界遺産は、人間が、地球が生み出した貴重なものなので、「世界遺産から学びに行く」が正しい解釈だと思うんです。

 旅行会社は、ツアーを作るとき、販売をするときは、そこで何を見て、学ぶべきかを伝える必要があると思うんですよね。「世界遺産なので是非、見に行ってください」だけでは意味がなくって、「世界遺産なので、何か学んできてください」が正しい表現だと思います。

 あと、メディアは、安易に何でもかんでも「〇〇の△△」を多用しないでほしい。わかりやすいし、注目度は高まるけど、その分価値が下がると思うんですよね。これは世界遺産に限らず、人間に対しても。サッカー選手に「〇〇のメッシ」多すぎると思いませんか?本物のメッシはどう思ってるんでしょうかね。

 ちょっと脱線してしまいましたが、旅行する側も、旅行させる側も、もっと世界遺産についての認識を高めることで、今は互いに素の関係である「世界遺産」と「観光」に、少しでも共通部分をつくることが出来ると思います。私がその一端を担うことが出来れば良いなと思います。

今回も最後まで読んでくださいまして、誠にありがとうございます。
また次回お会いしましょう。

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