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avenir'e座談会〜斉藤沙紀×須賀真之×髙橋龍児〜

avenir'e活動一周年を記念して始動した座談会。
三組目は斉藤沙紀、須賀真之、髙橋龍児。
新派にも所属し、俳優部ツキイチ活動を始めるきっかけにもなった斉藤と、演出、脚本、翻訳と多岐に渡り活動し、自身が主宰の劇団も持つ須賀。そして、俳優部として家入と共に1st~4th create全ての公演に出演した髙橋。
三人が一年を振り返ることで捉える、avenir'eの現在地とこれからとは。

その都度ちゃんと対話をするのが大事だなって(髙橋)

髙橋龍児(以下、髙橋):お疲れ様です。

斉藤沙紀(以下、斉藤):お疲れ様です。

須賀真之(以下、須賀):お疲れ様です。

髙橋:お疲れ様ですー。座談会、ということで、えー私、俳優部の髙橋と、あとディレクター(演出)、脚本チーム所属の、

須賀:須賀です!

髙橋:はい。

斉藤:はい、と、俳優部の斉藤です。

髙橋:よろしくお願いしまーす。

須賀:この三人で(笑)

斉藤:よろしくお願いします。

須賀:よろしくお願いします。

斉藤:ラジオ始まったの?

須賀:ははははははは(笑)

斉藤:座談会だけど(笑)

終始和やかな雰囲気で進んだ座談会

髙橋:はい。avenir’eがなんとね、1周年を迎えたということで。もう一年経ちましたよ。

須賀:本当ですね。

髙橋:どうですか?一年を、一応通してみて。

須賀:全然違わないですか?去年の今と。

髙橋:そうですね。

斉藤:全然違いますね。

須賀:良い意味で。

髙橋:良い意味でね。変化がすごく実感できる一年だったなってのが、正直なところですね。
池内さんとの出会いも大きかったですけど、それまではこういう風に、いろんな財産の共有をしてくれる人があまり周りにいなかったので、そういった自分の変化の大きさは、微々たるものではあるかもしれないですけど、すごく変化のある1年だったなっていうのは本当に感じるとこですね。
まあ、それはまだちょっと、どうなんですかね?うーん…なんか自分は変化を感じてるけど、まだそれが全て発揮されてるわけじゃないけど、蓄積されていってるものとかはすごく多いなって、やっぱこの一年だけでも。もう一年ありますけど。

須賀:技術的な意味での変化?

髙橋:技術…。

須賀:演技というか。

髙橋:なんか、どう芝居に向き合っていくかみたいなとこって、僕は学校も行ってないですし、僕は別の劇団(「ブルドッキングヘッドロック」)にポンって入ってから、ある種ちょっと野放し状態でずっと来たので、演劇の「いろは」とかもないですし、台本をどう読んでいこう…とか。
じゃあ戯曲に対してこういうことが読むとわかりますね、っていう皆さんにとっては初歩的なものかもしれないけど、結構僕にとっては気づきというか。

須賀:基礎というか、木で言うと幹みたいな。

髙橋:すごい種を植えていただいて、それがちょっとずつなんか、ポコポコポコポコ、

須賀:芽が。

髙橋:芽が出てきてるなって感じはしますね。

須賀:すごい、すげえ変化ですね。

髙橋:いや、本当に、すごく入って良かったなってのがあります。

須賀:斉藤さんは?

斉藤:うーん…avenir’eに入って、私もものすごく変わりましたよ。
やっぱり「何かやってみよう」ってちょっと前は思ってても実行に移すとか、誰かに提案してみるなんて中々できなかったから、考えてるだけで終わってたのが、こういう風にみんなと出会って、すごい色んなスキルを持ってて。
なんだろう…「やってみよう」とか「興味あるんです」って言った時に「あ、面白そうだね」とか「じゃあやってみようか」って言ってくれる人たちが居るっていうのは、本当に幸せなことで、そういう場所…そうだね、すごく大事な場所だなと思ってます。

須賀:否定されがちですよね「なんかやってみたい」って、経験のある人達から。「いやそれはさあ…」みたいな感じで。

斉藤: あとやっぱそれぞれ、同じ団体とかじゃないと忙しいし、それぞれの生活とかがある、活動があるわけじゃないですか。
その中で、「あ、じゃあやってみようか」っていう風になるまで結構大変だなって思ってて。
だからそう、今回のね、ツキイチ(※俳優部ツキイチ活動)とかでもそうだし、いろいろ動いてる、ね、この座談会だってそうだし。
活動についても、みんなでやっていこうっていうのがすごいなって、それはもちろん、最初から出来てたわけじゃないじゃないですか。
やっぱり最初の頃ってなかなか、ね、そんなにすごい活発に提案が出てたかといったら、そうではなかったと思うし、みんなが探り合ってたのは間違いなかったですよね。

須賀:最初の方は。

斉藤:そう。良いシステムを用意してもらった上で、その中で「じゃあどうしていったらいいんだろう」っていうのは間違いなく、これ、私もすごくあって。
でも今、これだけの機動力を持って、人が集まって、システムが整っている中だったら何でも提案すれば面白い方向に行くんじゃないかなと思うから。
やっぱ、ほんとに考えて、動いてみようとか動かしてみようとか、みんなでなんかやってみようっていうのが大事だなっていうか、これからやっていきたいなと思いますね、すごく。

須賀:確かに。なんか、最初の一年は結構、そのシステム作りというか。なんかこう、みんなでこう、じゃあ基礎固めしよう、みたいな。各々の考えがぶつかったりすることも多かったのかな?って気は個人的にはしてて。
斉藤さんの中で、新派とavenir’eと、その経験はぶつかったりはしなかったですか?

斉藤:いや、ぶつからない、ですよ。ぶつからないし、じゃあ今までもらってきた、得てきたもので何を役に立てられるだろうかっていうのはすごく考えるし。
もっと、自分自身のためにもavenir’e という組織…組織のためにという言い方をするとちょっと押しつけがましい気はするけど、でもやっぱり私ここで面白いものを創ってると思ってて。

須賀:ハイハイ。

斉藤:すごい素敵な面白い人たちが…まあ、身内をあんまり褒めるのって良くないけどね。

須賀:フハハ(笑)

斉藤:けど、思ってて!

髙橋:大丈夫大丈夫。

斉藤:ありがとう(笑)

須賀:ハハハ、フフ(笑)

斉藤:思ってて。だからそう、もっとなんか、できること、役に立てること、面白くできることを探したいなと思います。

須賀:…すごいっすよね。

斉藤:須賀さんにとっての一年はどうでした?

須賀:僕も相当…揺れ動いたというか、演劇との付き合い方が変わった一年でしたね。
なんか、やる気はめちゃめちゃあったんだけど、これをどうやって実現していけばいいかって、出口が全くなかったのが、avenir’eもそうだし、僕は同時にいろんなことを始めたんですけど、そっちで形になってお客さんに届きつつあるっていう実感をすごく感じてて。
それは多分、僕に一個、そのavenir’eっていう肩書きが増えたからでもあるし、なんかその、信頼できる人たちと一緒にやれてるって、僕の自信でもあるし、なんかそれがめちゃめちゃ今楽しいんですよね。っていうのが、この一年で起きた変化です。

髙橋:須賀さんも自分の団体、
(「世人/dasman」)持ってるじゃないですか?
須賀さんにも創り方がある程度固まってたものがあるじゃないですか。

須賀:まあ。

髙橋:須賀さんは3rd create(『VALUE!』)でメインディレクターをやってくれたんですけど、その時に、これから稽古していくにあたって「でも僕はちょっと今までこういうやり方でやってきたから、今avenir’eのやり方でいくとこういう部分にズレが出てしまうかもしれない。」みたいな。
そういう、なんか、あったじゃないですか?

斉藤:へえ〜。

髙橋:「言葉も難しいだろうし。」

須賀:ありましたありました。

髙橋:そういう部分とかってどうですか?一年こう、色々avenir’eに関わってみて。

須賀:関わってみて…。なんか、これ半オフレコだと思うんですけど。
なんかやっぱり、その池内さんと大原さんがずっと先に立ってるっていう印象がずっとあって。
で、それに3rdの時とかは、なんか変な反抗心とかがあって(笑)
なんかその、全然その表立ってワーワー言いたいわけでは全くないんだけど、勿論すごく尊敬してるんですけど、なんだろ…なんかこう、同時に「負けてたまるか」って思っちゃう時があって(笑)

斉藤:あら。

髙橋:「それはないんじゃないすか…。」とかなんかその(笑)

斉藤:あら(笑)

須賀:クフフフフ(笑)

髙橋:ダーク須賀ですよ。

斉藤:めっちゃおもろい、めっちゃおもろい。

髙橋:卑屈スガが出ちゃって。

須賀:卑屈スガが出て(笑)

髙橋:でもね、なんか、まあ、悔しいってのがありましたよね、そんときはね。

須賀:なんかそう、3rdのときは。

髙橋:バーって言われて、最後。

須賀:めちゃめちゃ悔しかったですよね。
その…だけど、なんかその、今はなんか逆にそれも抜けてきてて…抜けてはいないけど、なんかその、いちアーティスト×アーティストだと思ってるから、完全に下になっては絶対いけないっていうのは、皆さんあると思うんですけど。
一方で学ぶところは学びつくしてやろう、みたいな(笑)10年20年先に生きてる、演劇業界でしかも稼いでる人たちだから、なんか…。

髙橋:そういう「先人の知恵」じゃないけど、そういう財産はもらっちゃおう、みたいな。

須賀:そうです、そうですね。

斉藤: え、これ髙橋さんそうだ、1stから4thまで全部参加してるじゃないですか?改めて、どうですか?

須賀:フフ(笑)

髙橋:いやーでもまあ、大変なことも勿論いっぱいありました。まあそれこそ、共通言語を創ってきた一年とかじゃないですか?感覚もそうだし、言葉とかもそうですけど。
でもやっぱりみんなそれぞれ違う畑で生きてきたっていう、どうしても全照準をavenir’eにまだ合わせきれない部分がみんなあるじゃないですか?
だからそうなった時に、うちでは例えば「魔法の言葉」(※稽古を止めて話し合う為の呪文)を公演ごとに作るんですけど。
でもやっぱりまだちょっと躊躇してしまったりとか「あ、これでもなんかちょっと、うーん…」みたいなやつとかも、まだ公演中あったりするから。
次の段階はそれがもう日常的に出ちゃう様な「あ、今の危険です」とか「今のどうなんですかね」みたいなのをフランクに話し合える様になればいいですね。
うちはメインディレクター(演出)が1st、2nd、3rd、4thって違うじゃないですか。だからなんか、もうちょっとその都度ちゃんと対話をするのが大事だなってのは最近思います。

斉藤:うんうんうん。

須賀:1stの時の対話の具合って、今と比べてみてどうっていうのはありますか?

髙橋:あー、哲学対話を使ってコミュニケーションをとるじゃないですか、avenir’eって。
それが結構染みついてきてるから、それも外で出ちゃうぐらいの。

須賀:ハハハ(笑)

斉藤:う〜ん!うんうん。

髙橋:そう。なんかそういうのはすごくいいなと思いつつ、なんか変に気を遣っちゃうみたいなところが取れればもっといいんだろうなとは思います。
結局、魔法の呪文も、シェアの時間も良くなるためのものじゃないですか?そういうのがもうちょっと取れてきたら、より二年目楽しいんだろうなって思いますけどね。
なんか変な誤解が生まれないっていうか、ね。

須賀:ね、ほんとに。僕は結構、avenir’eの中では年下の方なんですよね、実はね。なんかもう、好き勝手やらしてもらってる感があって(笑)
だから「先輩たちありがとうございます」って感じで(笑)いるんですけど。

髙橋:そうか、え?あ、健ちゃん(※俳優部の家入建都)の次?

斉藤:!そうじゃん?

須賀:そうですね。

斉藤:私の一つ下でしょう?

須賀:28です、今。だからここにいる人たちより下。

髙橋:下なんだ。

斉藤:下なんですよねえ。

髙橋:ここまあ全然カットでいいですけど、最初の顔合わせの時に須賀さんの年齢を見てなかったから「あ、年上の方なんだな」と思って接してて。

斉藤:私も。

髙橋:多分2ndぐらいで気づいたのかな。「ああ!年下の方だ。」

須賀:下ですっていう(笑)

髙橋:ね、面白いっすよねえ…。

「あ、私が何を考えてるか分かんないと人を不安にさせるな」(斉藤)

髙橋:でもなんか、まあ、そうっすねえ、良い事はもちろんいっぱいありますけど、まあ、課題もいっぱいあるんだろうな、あるなっていう感じがしますかね。

斉藤:うん。

須賀:でもその心理的な変な遠慮は、僕はなんかだから立場的にその、少なくて済んでる人だと思うんですよ、皆さんより。
結構、僕はavenir’eでは好き勝手やらせてもらってるっていうのがあるから、すごく助かってるんですけど。
(斉藤、髙橋へ)あり…そうだなって(笑)いや、あります?(笑)

髙橋:でもなんか、それをなんか、うーん、難しいなと思いますけど、難しいですけども、最近はもう「嫌われてもいいかな」とはちょっと思うようにはしてますけど、そういうこと言う時とか、魔法の呪文言う時は。
別にマイナスっていうか、良くなるために言ってるから、もうそこの、なんか変なストッパーみたいなやつを取ろうと思ってます。
だからまあまあ、でもまあ…ん?

須賀:フハハハ(笑)今後、今後的なあれ(笑)

髙橋:まあでもなんかね、そういうのが全部日常化したらすごく、良いんだろうなと、思いますけどね。

斉藤:課題…的なところと対話っていうところ含めていくと、私本当に最初の頃多分しゃべんなかったと思うんですよね。
哲学対話の「何も言わなくてもいい」っていうのはすごい楽で。

須賀:そうでしたね。

斉藤:そうですそうです。で、すごく遠慮とかをしてたわけじゃなくて、ただ自分が思ってることを外に出すっていう感覚を多分、あまり持ってなかったんだと思うんですよね。
意見を言った方が良さそうな場合は、なんか言う、けど…何だろうな、どっちでもいいよってな
った時に、それを別に人に言わなくてもいいかなって思ってた部分が多分あるんですけど、やっぱavenir’eのみんなってすごい思ってることを言うし。
で「あ、私が何を考えてるか分かんないと人を不安にさせるな」っていう部分がわかるようになってきて…のと、やっぱ前向きに動いていけるようになると、自分の思ってることを言葉にしたくなったりするんだな、とか。
それはもちろん、みんなが安心できる空気を作ってくれてるっていうか、そういう場になってるっていうのも大きいんですけど。うん。
なので、あとは課題だなと思うのは、やっぱり負担が人によって、というか、やっぱね、制作のみづほさん(※制作部の大原みづほ)は一年中忙しいし、うん、だってずっとクリエイションに関わってるメンバーはそれなりに大変…大変っていう言い方も変だけど。
私はほら、1stしか本公演としてはまともに関われてないから、どうしても外から2、3、4見てきて、なるべく稽古場行けたらなとかもあったけど、そんなにしょっちゅう顔を出せたわけでもないし、本番中ずっといられたわけでもないし。
もっとだから「稽古場の様子どうですか?」とか、なんか変に…そう!ここで、遠慮をして連絡取らなかったりしたけど、もっと「どうですか?」とか連絡を取れば良かったと思うし、やっぱ「邪魔なんじゃないか」って思っちゃったんですよね。稽古場に顔を出したりするのは。
でも多分そうじゃなかった。来て良かった。まあ、物理的に無理だった面はあったんですけど、別の現場があったから。

髙橋:もちろんもちろん。

斉藤:うん。でも、いやでもとにかく、何だろう…もっと積極的に顔を出して良かった、というか、突っ込んでいって良かったし、突っ込みたいんだよな、と思いました自分は、本当に。

須賀:僕は、結構何回も言ってるんですけど、斉藤さん見ると安心する。

斉藤:ハッハッハッハッ(笑)「実家のおかん」みたいなね。

須賀:(爆笑)

斉藤:否定して!(笑)

須賀:いやいや(笑)

斉藤:遅いんだよ、否定が!(笑)…(髙橋に)無言?

髙橋:あえ?(笑)もう「うんうんうん」って親戚のおじさんみたいになってたよ俺(笑)

斉藤:親戚のおじさんと実家のおかん(笑)

須賀:いやもう本当に、斉藤さん見ると安心するんですよね。

髙橋:うん。

斉藤:う、嬉しいけど(笑)

須賀:っていう(笑)

斉藤:安心しますか、ありがとうございます(笑)

髙橋:ねえ〜、なんか色んな人がいて面白いですよね。

斉藤:うん。

須賀:で、まあ、全然来ていいし言っていいし、許し許されるみたいな関係値が徐々に出来てるんだろうなって感じはしてます。

僕はやっぱり物語と会話劇が好きなんだなって最近思っていて(須賀)

髙橋:うん。…今やりながら、大切にしてることとか、あります?
僕は一応「変なプライドは捨てる」っていう事にしてます。芝居始めたのめっちゃ遅いんで、年齢で見られちゃうと「困っちゃうぜ」と思うし、でもなんかそこで萎縮され…なんかさ、上って見られてもなんか、だから、なるべく「同い年だよ〜」ぐらいの(笑)

須賀:ふふふ。

髙橋:「変な、無いよプライド〜」みたいな感じにはしてる。

須賀:めっちゃありがたいし助かってるんですけど、逆に無礼してないかな?みたいなのは(笑)

髙橋:いやいや全然、いいんですよ、無礼なんて。

須賀:ありますけどね(笑)

髙橋:あ、これここ、文字は「ピー」にしてもらって。

斉藤:うん。

髙橋:まあ、無礼はしてもいいんですけど、でもあとで「ピー」しますけど。

三人:(爆笑)

須賀:リアル、リアルでも「ピー」(笑)

髙橋: 全然全然、嘘です。でもなんかね、そういうの無い方が自由に動けるなとは思ってて、変な萎縮もしちゃうから。
自分を縛っちゃうっていうのに、演劇始めた時の最初の公演で失敗して気づいて。萎縮しないためにはっていうのを考えましたけど、最初ね。それはなんか持ち込まないように、かなあ。

須賀:プライド、やっかいですよねえ。でも、なんか無しだと、なんか…。

髙橋:なんか、価値観は捨てないけど、その変な突っ張りはない方がいいなとは。

二人:うん。

須賀:(斉藤に促す)

斉藤:大事に、してること?なんだろう、なんだろう…創作にあたる上で、活動とか?

髙橋:とか、まあ全然avenir’eでの動きもあるし。

須賀:なんか、「嘘つかない」とかでも(笑)

斉藤:(笑)

須賀:なんか、そういうのでも良いんじゃないですか(笑)

斉藤:うんうん。え、ちょっと待って、須賀さんあったらしゃべって。

須賀:大切にしてることですよね。じゃあ、思いついたらカットインしてくださいね。

斉藤:わかっ…ええ?

須賀:ハハハ(笑)大切にしてること…。

斉藤:(元気よく手を挙げ)えっとねえ!!!

須賀:はい(笑)

三人:(笑)

斉藤:ごめんごめんごめん(笑)

須賀:びっくりしたあ…(笑)

髙橋:カットインにやられるところでしたね(笑)

須賀:カットイン、でしかなかった(笑)

斉藤:あはははは(笑)

須賀:カットインでしかなかった(笑)
大切にしてる…なんか、あの、すげえ具体的になっちゃうんですけど、 僕はやっぱり物語と会話劇が好きなんだなって最近思っていて。
で、舞踏とかダンスとかの公演も観に行ったりするんですけど、やっぱり自分が本気で面白い、「これをやりたい」と思わないんですよね。
っていうのが最近ようやくわかって、なんか、他のとこに浮気してたんですけど、なんかちょっと舞踏…舞踏じゃないですけど「ちょっとミュージカルっぽくしよう」とか。
あとなんか「こことここの距離がちょっと近づくと、なんか見栄え的にどう」みたいなことを言いたくなってたんですけど、俺はそっちじゃない。
なんか「演出する時は会話に集中しよう」みたいなのを最近は思ってるっていうのを、avenir’eの、その大原さんと池内さんと話しながら、それが培われていった。

二人:ふ〜ん。

須賀:大切にしてることって言うとちょっとずるいかもしれないですけど、今はそれが自分にとって指針になってる。物語と会話で集中していこう、です。

髙橋:ブラボー。

須賀:アハハハ(笑)

髙橋:(拍手)

斉藤:ブラヴィーア(拍手)

須賀:いや(斉藤へ)で、なんですか(笑)

斉藤:あはははは。

髙橋:全然カットインしなかった(笑)

須賀:全然カットインしないじゃないですか(笑)

斉藤:あ、カットイン待ってた?(笑)なんかちょっと戸惑いを感じた、よ(笑)

須賀:「戸惑いを感じた」?(笑)(斉藤へ)…感じさせました?

斉藤:いや違う違う違う(笑)
いや、でも、あー、大切にしてることとか、avenir’eの作品の特徴にもつながるのかなと思うけど、やっぱり本気で、そこで、人が生きている、作品を創ってるなっていうか、まずそこを大事にしてるなっていうのは、私はavenir’eの作品で信
じてて、で、そういうものが面白いって私自身も信じてて。
だから芝居をする上でもだし、生きていく上でも、組織の中にいる上でもどれだけそこで自分が全力で生きられるかだなっていうのは思いますね。

須賀:あ〜。板の上でもそうだし、日常もそうだし。

斉藤:うんうんそう思います。

須賀:人がそこで生きているっていうこと。

斉藤:日常の全てがお芝居につながるし、お芝居で得たものも日常で…なんだろう?対人関係というか人と接する上で、やっぱり色々大事だし、とは思いますね。

須賀:斉藤さんが言うとすごい説得力がありますよね。なんか、あのー、生きてる人ですよね。
その、これは全然他意なく、すごい、なんか、自分の人生を生きてるなって思います。

斉藤:思いますか?

須賀:思います。なんか、僕とかって社会に組み込まれて歯車やってたこともあるし、なんかそういうのが、一方で性に合ってる、みたいなところも感じつつなんですけど、(斉藤を示し)なんかそうじゃない、気がして(笑)

斉藤:ふははっ。待って待って、それはあれか。社会から外れてるみたいなことか。

須賀:それをめちゃめちゃオブラートに包んだ言い方です(笑)

斉藤:おーーー。じゃあオブラートに包まないとそういうことだね?社会から外れて驀進してるって事だね?私は(笑)

髙橋:今日須賀さんが消されます(笑)

一同:(爆笑)

斉藤:avenir’e から1名メンバーが減ります(笑)

須賀:ハハハハハハ(笑)

髙橋:メンバー退団のお知らせです(笑)

須賀:あの、でもこれは、舞台の上の生き方と、なんだろ…日常の生き方が、やっぱ地続きになってる人って素敵だと思うんですよ。
その、演技論じゃないですけど。なんか、自分の感覚使って芝居してる人のことも好きだし(斉藤を示し)なんかそんな感じがするっていう。
その匂いとか、香り、風を感じる。

斉藤:自分の感覚…あ、自分の感覚強め?

須賀:そうですね、まあ。

斉藤:ああ、強いですね。

須賀:(笑)それも悪い意味じゃなく、その、なんだろうな。板の上で自分自身として立ててるっていう。

斉藤:ああ、そう、かも。そうですね。最終的にそこですね。多分、私のやりたいこととか、やってること、やろうとしてることは。

須賀:だからなんかすごい自信が、感じるんですよ。それがすごい。

斉藤:あー、自信、ではないけど、最終的に、迷ったら「そこで生きてる私が演劇だ」って信じることにはしてます。はい。あー、言っちゃった。

一同:(拍手)

斉藤:いえーい(笑)…恥ずかしい。いや、ね、もう、ね。

観劇をより体験にしたい(斉藤)
ちゃんとみんな面白いと思ってもらうぞ(須賀)
根本は学びの気持ちが大きい(髙橋)


斉藤:ちょっと聞きたいこと、またあるんですけど、須賀さんに。
須賀さんは世人っていう自分のグループというか活動もしててavenir’eもあって、前に「この作品を世人でやるか、avenir’eでやるか迷うんですよね。」って言ってたじゃないですか?
どういう違いがあるというか、何だろう?どういう判断?

須賀:難しいですね。なんか演劇って、その、えっと、誰とやるかにすごく依存するものだなと思っていて。
で、その人間関係が作品に乗ると思うんですよね。なので、僕がやってる世人って団体は大学のコミュニティなんですよね。僕の大学の時の友人とか後輩とかが中心になってやってるんで、交わされる言葉の種類とかも、その、何だろう?そっちになってるというか、で、作品にそれが乗ると思うんです。
一方でavenir’eはすごくオープンで公共的なパブリックな感じ。だからどっちかというと…言語化が難しいな。なんかえーっと、ちょっと時間が…。

斉藤:あ、じゃあちょっと時間取ります。じゃあ考えててもらって、私、髙橋さんにも聞きたい。

髙橋:おおおぉ。

斉藤:あっはっは。大丈夫?あの、怯えさせてます?私(笑)

髙橋:うああ!あああぁぁァ!

斉藤:今日あの、もう1名メンバーが減ります。

一同:(笑)

斉藤:俳優部から(笑)

髙橋:さあここから独りの座談会(笑)

斉藤:はははは(笑)

髙橋:なんですか?

斉藤:髙橋さんは、今後avenir’eでやってみたいなって考えてる事とかありますか?

髙橋:あー。今ももう一つ入ってる劇団がありますけど、自主公演っていうか、若手公演ができそうでできなかったんですよ。

須賀:コロナで?

髙橋:単純にお金の問題で。若手公演、主宰は「しようかな?」って言ったら「いや、今それやめましょうよ。」って言われて無くなった時があって。
で、俳優部側で創作したものでね。なんかできたらと思う。作品は、脚本とかは別に頼むかもしれないし、なんかね、自主企画みたいなの最終的にできたら面白いかなとは思います。

斉藤:うんうんうん思います私も。

髙橋:なんか、自主的に動いてほしい、みたいなのがあるじゃないですか。

斉藤:うん。

須賀:ハイハイハイハイ。

髙橋: とか。でもまあ、根本は学びの気持ちが大きいから、なんか面白い人いっぱいいるし、良いとことかも吸収できたらいいなっていう思いが、ね。あるんですけど(笑)

須賀:自主公演。やりましょうよ、自主企画ね。

斉藤:ね。

髙橋:なんかいつか。

斉藤:(須賀へ)思いついたんですか?

須賀:思いつきました。

斉藤:あっ。ごめんなさい「思いついてないだろ」っていう体で訊いちゃった。

須賀:フハハハ(笑)でもやっぱり世人は自主性というかね、その、やっぱり個人。なんか枠がある個人だなと思います。で、avenir’eはもっとその枠が広いというか。
世人は「これが俺の好きなことや!」って、ある種「理解されなくてもいい」ってちょっと思ってるところがある。
理解よりも「こんなこと思ってもいなかった」みたいな意外性を重視している。
でも一方でavenir’eでやる時は、「ちゃんとみんな面白いと思ってもらうぞ」と思いながらやってます。
だからなんか、背水の陣感が…まあ、どっちにもあるな。結局どっちにもあるけど、なんかその第一歩、企画の初手はその違いがある気がします。

斉藤:じゃじゃじゃ、例えばavenir’eで今後やりたい事とかは?

須賀:は、なんか自分の脚本もやりたいんですけど、古典とか海外戯曲、既成脚本の翻訳からやって。

斉藤:翻訳、なさいますもんね。

須賀:やるので。なんか現代戯曲でもいいし、古典でもいいし、骨太な、しっかり重厚な作品をavenir’eでやってみるっていうのも、

斉藤:あー!面白いと思う、うん。

須賀:なんか、活動に合ってるんじゃないかっていう気がして。

斉藤:うんうんやってみたいですね、avenir’eで古典。

髙橋:ね。僕、岸田國士とか、正直シェイクスピアとかも全然知らなかったんで。今もあんま知らないですけど。岸田(2nd create『紙風船』)やったとき面白いなって思って。

須賀:ハイハイ。

斉藤:うんうん。

髙橋:ありじゃないすか?

須賀:でも自主企画だってやりたいとかありましたよね。

髙橋:え、だからもう、眼科画廊でみんなワイヤーアクションです。

須賀:フハハハハハハ(笑)ワイヤー!

髙橋:無駄なワイヤーアクションで、そう、それが観たいですね。スモーク焚いてワイヤーアクションです。
プロジェクションマッピングして(笑)セリフは「ヤー!」と「タァ!」しか言わない。「ヤァ!」「タァ-!」で一時間。

斉藤:一気に今までのお客さんが離れていくかもしれない(笑)

髙橋:はははは(笑)

須賀:「こういうこともやるんだ」みたいな。

斉藤:avenir’eの多様性ですよ、それが。

髙橋:そうそうそう多様性。

須賀:多様性かもしれない。斉藤さんはなんか?

斉藤:あー、私のやりたいことは、今までにもやってきたことではあるけれども、やっぱりお客さんと一緒に創っていきたいというか、観劇をより体験にしたい。
例えば旅行とかみたいな感覚。体験としてお客さんの心に残ったらいいな。より楽しんでもらえたらいいな。そういうものを創れたらいいなっていうふうには思ってます。うん。

髙橋:ねー。

須賀:作品単体じゃなくて、演劇公演としてなんかもっとこう、

斉藤:うんうんそう。作品としてもそう、お客さん参加型のものを作れる可能性はもっとあると思うし、公演としてお客さんが何らかの形で関与できるようにもできると思うし。
もっと演劇とお客さんの距離が近づく取り組みもできると思っているので、そういうことも考えていきたいなとは思ってますね。

須賀:ドラマトゥルク的なところ。

斉藤:そうですね。

須賀:なるほど。

髙橋:なんか広がりがめっちゃ生まれてくると良いですよね。

須賀:新メンバーも入りますしね。

斉藤:そうですね。 楽しみですね。

髙橋:…なんかしゃべり足りない事とか、思いの丈、などなど募集しておりますが、どう、大丈夫ですか?

斉藤:大丈夫ですか?

須賀:ちょっとしゃべり過ぎてないかなって反省してるから(笑)

髙橋:ああー、わかります。恥ずかしくなっちゃいますよね。

須賀:恥ずかしくなっちゃいます(笑)

髙橋:後々ね。

須賀:後々(笑)

斉藤:それを言うと一番でかい声で叫んでたのが私ですけど大丈夫ですか?

須賀:フハハハ(笑)

髙橋:沙紀ちゃんとこだけずーっと(ボイスレコーダーの音量表示が)赤いもんね。バアァーって。

斉藤:うるさい(笑)違う、でも叫ばせたのは誰?

二人:…。

斉藤:はい、ありがとうございました。

髙橋:ありがとうございましたー(笑)

須賀:フハハハハ(笑)

左:髙橋龍児(たかはし りゅうじ)
ブルドッキングヘッドロック 所属
1988年10月10日生まれ 岩手県出身
特技:柔道・動画制作
2016年ブルドッキングヘッドロックへ入団、現在に至る。

真ん中:斉藤沙紀(さいとう さき)
劇団新派 所属
1994年8月28日生まれ 神奈川県出身
日本舞踊萩井流名取 
2017年 劇団新派の俳優波乃久里子に師事。
2019年 新派劇団員となり今日に至る。

右:須賀真之(すが まさゆき)
世人/dasman
1995年生まれ 東京都出身
2017年にニューヨークの演劇専門学校HBstudioに留学し、劇作・演出術を学ぶ。
帰国後に主宰劇団、世人/dasmanを旗揚げ。
現在は横浜を拠点に演出家として活動中。

編集、録音/斉藤沙紀
構成/柴田美波
撮影/家入健都、江藤みなみ


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