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ディープインパクトとオルフェーヴルの不定期万冊 第11回 小林恭二『首の信長』

 劉邦「確かに『信長の首』だとありきたりなタイトルだな」
 夏侯嬰「この人(?)たちが紹介する本は色々と怪しいですね」

袁譚・袁煕・袁尚「タイトルホルダー君、助けて」

 オルフェーヴル「ぶっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃー!」
 ディープインパクト「オルちゃん、ひどい笑い声だね」
 オルフェ「ディ、ディープ先輩! この本、良い意味でひどいですよ!」
 ディープ「『良い意味でひどい』って、矛盾してない?」
 オルフェ「いや、『良い意味での裏切り』とか言いますよね?」
 ディープ「うーん、感心出来ない表現ではあるけど、今回は何?」
 オルフェ「小林恭二さんの歴史小説短編集『首の信長』(集英社)ですが、表題作は織田信長が首を斬られまくって、その首がえげつない扱いをされているんですよ」
 ディープ「その状況は物騒過ぎるよ」
 オルフェ「他にもえげつない話が盛り沢山です。司馬遼太郎さんや宮城谷昌光さんの歴史小説のアンチテーゼですし、塚本靑史さんとは全く違う方向性での偶像破壊的な作風です。現代小説の作家さんで例えるなら、戸梶圭太さんに通じる無茶苦茶な作風ですよ」
 ディープ「そういえば、戸梶圭太さんも偶像破壊的な時代小説短編集を出していたね(講談社『アウトオブチャンバラ』)」
 オルフェ「俺、戸梶さんに三国志小説を書いてもらいたいですよ。例えば、李傕と郭汜の極悪コンビを主人公にすると面白そうですし、袁術や遼東の豚野郎一家(公孫度、公孫康、公孫恭、公孫淵)の話も面白そうです」
 ディープ「…確かに、歴史小説を『人生の教科書』として読むという価値観に対して違和感を抱くような読者には受けそうだね。個人的には、あまり読みたくないけどね」
 オルフェ「他ならぬ小林さんの『首の信長』自体が、正統派の歴史小説ファンの方々が敬遠しそうな作風ですね。最初の話は幕末ファンのヒンシュクを買いそうですし、その次は某カルト教団ネタがあってヤバいですし、他にも色々と毒性が強いので、宮城谷昌光先生のファンの方々にはオススメ出来ませんね」
 ディープ「宮城谷さんにとっては、悪い意味で異世界そのものだろうね」
 オルフェ「この本にある『新源氏物語』は比較的シリアスな作風ですけど、光源氏の方の本家のパロディーではなく、清和源氏、つまりは頼朝や義経の一族の話ですけど、かなりエグい残虐描写がありますので、要注意です。物理的・肉体的フィジカルな意味では一番おぞましい内容ですので、これは個人的にはオススメ出来ませんね」
 ディープ「確かに洒落にならないね。語り手の設定からしてまずいし」

【聖飢魔II - 織田信長】


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