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Rider's Story ブルー・マンデー

割引あり

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
 武田宗徳 オートバイブックス 収録作品


  上り坂のトンネルを抜けるとすぐ右コーナー。得意のカーブを大胆に攻める。そしてすぐ左。
 静岡市側から焼津へ向かう大崩海岸を疾走する。ここを走るのは早朝がいい。夜は真っ暗で先が見えず思いきり走れないし、昼間は車が頻繁に通るからだ。
 左の木々の隙間に、朝日に照らされた海が視界に入る。
 
 ゆるいS字を抜けて、大崩海岸最大の直角コーナーに突入しようとしたとき、カーブの向こうから、反対車線をとてつもないスピードで「何か」が過ぎ去っていった。
 反射的にスピードを落とし振り返ったが、もう姿は無く音だけが残っていた。音はおそらくオートバイのマフラーからだろう。俺と同じ、2ストの音だった。 

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