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『ユダヤジョーク集』を読んで思い出した松本人志氏と呉智英氏

「うまい!」と思わず口にしてしまう小話集だ。興味があったらぜひ読んでいただきたい。もちろん私は、この出版社の回し者ではない。

『ユダヤジョーク集』実業実業之日社

しかし、うまいけれどまったく笑えない。なぜだろう?
そこで松本人志氏を思い出した。あれは誰だったか失念したが、ダウンタウンの番組に男性タレントが出たときのこと。
そのタレントがうまいことを言ったのだけれど、まったく笑えない。うまいはうまいが笑えない。そこで松本人志氏が一言。
「○○さん、うまい! でも全然面白くない」

文化の違いは確かにあるけれど、実のところ「ジョーク」の持っているニュアンスが少し違うと思っている。
日本人としては、腹を抱えてゲラゲラと笑えるのがジョークだ。対して、ユダヤジョークやエスニックジョークは「うまい!」と言える話をジョークとしている。
つまり、ジョーク=「うまい!」なんだ。
ホワイトハウス記者晩餐会でコメディアンが大統領や記者をイジるのはよく知られている。このときのする話が「ジョーク」の代表格みたいなものなんだと思う。

国によってニュアンスが変わる言葉なんていくらでもある。
韓国人が韓国を「東方礼儀之国」と称することがある。ネトウヨあたりは「何が礼儀の国だ!」と腹を立てるだろうが、まあ放っておこう。
評論家の呉智英先生に言わせると、日韓で「礼儀」の持つ意味が異なるから、色々と食い違うらしい。
お隣の国でもニュアンスが違うのだから、「ジョーク」の持つニュアンスは各国違って当然だ。


さて、最後に「うまい!」話を。

泥棒の多いペルーでの話。
ある父娘が車に乗って、何でも売っている蚤の市、つまりフリーマーケットにやって来た。彼らはおもちゃやカー用品を買って、食事をして、いざ車に戻るとタイヤが盗まれていた。
これでは走れない。帰れない。しかしここは何でも売っている蚤の市。タイヤを手に入れるのなんて容易いこと。
父娘はタイヤ屋を探し、見つけた。すると店頭には見覚えのあるタイヤが置かれている。
父親が訊く。
「これはどこで仕入れているんですか?」
店主が答える。
「蚤の市の駐車場だよ」

ちゃんちゃん。


志井永子

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