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【散文詩】さらさら【掌編】

生まれ変わったら、遠い砂の国で、永い時を生きる砂像になりましょう。

心中する前にそう言ったのに僕だけが生き残ってしまった。二人で生きた国を離れ、僕は異国で砂像を作る仕事を始めた。さらさら、さらさら。少しずつ崩れる永遠を作り続ける。あなたが生まれ、あなたが笑う、あなたが壊れ、あなたがいなくなる。さらさら、さらさら。面影が少しずつ、砂に紛れてゆく。

風に吹かれ時を見失ったら、異国の砂丘になりましょう。粒度の細かい砂たちは熱もなく、ただいとおしいばかりです。さらさら、さらさら。さよなら、あなた。


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