不器用で優しい。
語り手がコロコロ変わるこの小説は少し不器用だなと思った。ただ分かりやすいようにしっかりと特徴をもって文体を変えてくれている。その技法がとても優しいと思ってしまった。
それがこの小説の優しさ。読んでいて心温まる。十六歳が書いた文章だとは思えない作品だった。
この物語の中の登場人物はみんな誰かのことを考えているのにどこか不器用で伝え方が本当にぎこちないように思える。
どうかお前たちにはあなたたちには、幸せに生きてほしい。自分の思うように生きてほしいという感情で溢れている作品だと思う。
何かを失ってからしか、過ぎ去って後ろを振り返ってからしかわからない僕たちのどうしようもない癖みたいなもの。
直さなくてもいい、それでもすぐに前を向ける。
失ってばかりじゃない。失ってそれが残してくれたものに触れて初めて分かる感情だってあるはずだ。
周りが言わなくても自然とその失ったものが教えてくれる。
成しえなかった夢ってとても大きく映るけれどそれほどダメージを受ける必要もないしそれほど重要じゃないよと言われた気がした。
「星に願いを、そして手を。」 青羽悠
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