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あのとき17歳「予想通りじゃないからこそ僕らの世界は広がってゆく」

もし17歳の自分に戻れるならば、皆さんは戻りたいでしょうか?

audiobook.jpメンバーが青春の日々を語るリレーコラム「あのとき17歳」

2013年に17歳だったハガさんからバトンを頂きまして、
第5回、アンカーを務めさせていただきます2012年に17歳だったIzakiです。

どうぞ宜しくお願いいたします。

リレー連載振り返り

せっかくのアンカーですので各メンバーの青春時代を上から目線で振り返ってみたいと思います。
ちょっと眩しすぎてしんどいかもしれませんが、心を強く持ちたいと思います。


01「推しは推せ、推せるうちに」by おそらさん

 17歳。初彼氏。洋楽。チャットモンチー。

 あかん。まぶしい。しんどい。


02「そうとは知らずに蒔いたタネ、そんな花が咲いたのか」by バシさん

 ハガキ職人って憧れます。
 Twitterで芸能人に粘着する匿名の有象無象には理知と信念をもって
 プロとコミュニケーションを図る職人さん達を見習ってほしいものです。


03「夏の日、エログロナンセンス」by 羽田さん

 第1回、第2回の爽やかさを黒々と塗り替えてきました。
 先輩に対して大変申し訳ないのですが、拗らせがすごい。コジコジです。


04「劇場とマダムと味噌煮込みうどん」by ハガさん

「金欠で芝居を見に行けない時は、芝居人でもある小説家の本を読み漁ることで誤魔化していました。」

 このフレーズがお気に入りです。
 『吉里吉里人』が好きな女子高生、良いと思います。

2012年、それはスカイツリーが完成した年

偉そうにコメントを述べさせていただきましたが、
肝心な私の17歳はどうだったのかというと、結構軍隊みたいな感じでした。

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こんな格好良い感じならよかったのですが・・・

・毎朝7時くらいから「0限目」の授業があるので早起き必須
・頭髪検査はもちろん、「制帽」と「風呂敷」の携帯が必須
・高校独自の謎の体操がある
・校歌以外にも高校独自の謎の歌がいっぱいある
ホールに閉じ込められて暗闇の中ひたすら大声を出し続けることが求められるユニークなイベントがある

高校までの教育機関というものは「伝統」の名のもと世の中の常識から遮断された閉鎖空間内で独自の文化がガラパゴス的醸成を見せることが多々ありまして第三者目線では大変興味深いところですが、当事者はたまったもんではありません。

さ、三年だ…三年耐えるぞ…頑張るぞ…

と頑張った三年間でした。

低音至上主義の敬虔なる求道者として

部活は吹奏楽部にしました。
理由はジャズが好きだからです。
でも吹奏楽はどちらかといえばクラシック音楽メインで、あまりジャズはしませんでした。リサーチ不足は罪です。

(同じ過ちを中学でも犯し、マジシャンになりたくて「手芸クラブ」に入ってしまいました。「手芸」というワードは手品より手品っぽくて大変紛らわしいので使用を全面的に禁止してほしいものです)

しかし入ってみればなかなかに面白く、高校から始めた下手くそなりに一生懸命頑張る日々でした。
担当楽器は「バス・クラリネット」という、クラリネットの低音Ver.です。

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温かみのある低音が魅力です。

「コントラバス・クラリネット」という進化系を吹いたこともあります。
ただのクラリネットがヒトカゲならこちらはさしずめリザードンといったところでしょうか。

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地鳴りのような音がします。

「思ってたのと違う」が僕らの世界を広げる

さて、ジャズをやる気満々で(それも花形のトランペットかサックスを吹く気満々で)乗り込んだ吹奏楽部。その思いに反して全然違うジャンルの音楽を全然違う楽器とともに演奏することになったわけですが、結果的に、これで良かったなと思っております。

というのも、「思ってたのと違う」のおかげで、これまで知らない世界に出会えたからです。

たとえば、バス・クラリネットの音色の参考になるというアドバイスを受けて、チェロの演奏を聴くようになりました。ヨー・ヨー・マという台湾のチェリストによるバッハ無伴奏チェロ組曲(確か伊坂幸太郎『死神の精度』に出てきた気がします)や名作『ニュー・シネマ・パラダイス』のテーマ、ピアソラのタンゴ等は今でもたまに聴き返してしまいます。

また、コンクールで他校の演奏を聴く中で、バーンスタインやレスピーギといった世界の名作曲家たちを知れたのも大きな収穫でした。
筋金入りのクラシック・ファンの方々には足元にも及ばないとはいえ、ジャズばかり聴いてきた17歳がその音楽嗜好を広げるのにとても良いきっかけとなりました。

世の中にはまだまだ、私の知らない素晴らしい音楽がたくさんあります。
音楽以外にも、私の知らない素晴らしいものがたくさんあります。

最初から「こうだ」と決めつけていれば出会えなかったであろうものが、浅はかさや失敗によって偶然現れる。
最初はちょっとガッカリしたとしても、いずれその偶然に感謝するときがくるに違いない。

これからもそういうスタンスを大切にし、失敗を楽しみ、新たな世界との偶然の出会いを歓迎できる人生を歩んでゆきたいと思います。

ーー

さて、次週からはまた新しいリレーコラムが始まります。
テーマは国民的知名度を誇るあのメディアです。乞うご期待!

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