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ポートフォリオどう作る?デザイナーじゃない私のポートフォリオ<合格サンプル有>

デザインスクール受験ではポートフォリオと呼ばれる作品集の提出が求められます。
「ポートフォリオと言われてもデザイナーじゃない私は何を提出すれば…」ビジネスパーソンとして働いているとポートフォリオはハードルが高いものではないでしょうか。
安心してください。私は銀行員です。銀行の商品というのは目に見えません。つまり写真やアートなどビジュアルで見せられるものがなくてもなんとかなります!今までの業務経験を文章でしっかり伝えられればいいのです。

この記事では受験用ポートフォリオとはどんなものか、具体的な取組手順、実際に提出したポートフォリオトピックをお話しします。私が各校から合格を頂いたポートフォリオは有料になりますが、最後に公開しています!

大学院に出すポートフォリオとは

ポートフォリオとは一言で言うと、デザイナーの実力を見せる作品集のことです。形式はwebsiteが一般的ではないでしょうか。
大学院で求められるポートフォリオの形式は基本的にPDFです。一部では動画やホームページの提出が求められます。ビジネスパーソンとして大切なことはどのようなプロジェクトに取組み、何をどのように考えて、どう行動したかを見せることが大切です。

就活用のポートフォリオの作り方はインターネットを探すとあるかもしれませんが、就活用と受験用では内容が少し異なります。就活用では即戦力を示すため経験を述べ、受験用は伸びる人間であることを示すという点で大きく異なります。
これは別途提出されるCV(履歴書)にも通じる点です。

具体的なSTEPs

STEP 1 ポートフォリオの指示を確認する
Personal Statement (PS) と同様ですが聞かれていることを細かく確認します。
例えば以下はCopenhagen Institute of Interaction Design (CIID)のポートフォリオに関する指示です。箇条書きで整理している学校もありますがまとめて書かれている場合もあります。

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どちらの場合もなんとなく指示されていることを理解するのではなく1センテンスごと注意深く見て、1語たりとも見逃さないように指示を確認することが大切です。

例えば上記の指示を見ると、Webで作って、自身の経験を語る、というのが大まかな指示です。しかし、Demonstrate experience / provide evidence / indicate specific roleと書かれています。これら全てしっかり含めなくてはいけません。

他の学校ではIndividualかCollaborativeか述べよとサラッと書いてあり見逃しそうになったことがあります。言われたことは最低限しっかり述べるように気をつけました。

またSizeについて述べよ、という指示が時々あります。見せるものがないのだからサイズなんて述べなくていいか…と簡単にスキップせずに、私は出せる数字を出しました。研修参加者の人数、売上げ、プロジェクトメンバーの人数など、規模感を表すようにしました。一見無理そうな指示も可能な限り応えるようにします。

上記、当たり前の工程かもしれませんが、私は時間がなく焦っており、もともとせっかちな性格のため細かいことをよく見落としていました。

STEP 2 ポートフォリオに載せるプロジェクトを選ぶ
実際に自分が取組んできた仕事といっても何を書けばいいのか。私は以下の基準で選びました。

1. 自分が最も頑張った、会社に貢献できたと思った仕事
2. 好きだった、楽しかった仕事
3. できるだけCreativeな仕事
4. 何か見せられるものがある仕事(写真、ポスターがあるなど)

もし幅広い業務に携わっているのだとすればバランスよく選んで見せるといいと思います。似た仕事を4つ、5つ挙げるよりも、複数の部署の仕事を書くと自分の能力をバランスよく見せることができると思います。

STEP 3 文章を作成する
文章作成はPSと共通している点が多いのでよろしければ以下の記事もご参照ください。

伝えたいこと(キーメッセージ)を箇条書きし、そこから文章化します。
忙しい試験官にちゃんと読んでもらうために言いたいことはとにかく初めに書く。ワンパラグラフワンメッセージをぜひ心がけて見てください。

学校によって少しずつ異なりますが、指示に合わせて以下の文章構成で各プロジェクトを文章化しました。

・Title / プロジェクトのタイトル
・Outline / プロジェクトの概要
・Contribution / 自身の貢献
・Issues / 問題
・Process / 課題解決までの過程、取り組んだこと
・Solution / 解決策
・Outcome / 結果

具体的にどのような内容を書いたか

よりイメージを持っていただくために、私がどの仕事を自分のポートフォリオに載せたのかご紹介します。基本的に以下の1~5のトピックを用いました。

1. 大規模フォーラムの企画・運営
2. 新しい研修の立ち上げ
3. Robotic Process Automation (RPA)のプログラム作成と推進
4. 在宅勤務推奨
5. 海外大手金融機関とのビジネス
6. 学生時代の被災地支援のボランティア
7. 自分の好きなアーティスト

簡単に私の仕事を紹介すると、私は銀行でグローバルとダイバーシティの人材育成と海外の金融機関をお客様とする営業を主に担っていました。

1と2は自分が一番楽しんで取り組んだ仕事であり、力を入れた仕事でした。また常に新しいことを考え、企画して、実行するという仕事であり、クリエイティブさを表現できる内容だったのでポートフォリオの冒頭に置きました。またこの2つだけは見せられるものがありました。研修宣伝のために作ったポスターです。当然ですが私が作ったポスターではなく、デザイナーの方と相談しながら作ったポスターです。しかし、どのようにデザイナーの方とコミュニケーションをして作成したかを語ることができました。

3はRPA推進の話です。ロボットにできる業務をロボットにやってもらうというプログラムですが、プログラミングを勉強しなければできないもので、業務効率化のために私が率先して本業をこなしながら取組んだことを伝えました。全く知らないプログラミングも意欲的に学ぶ、つまり新しいことに挑戦する姿勢を見せるために本件を選びました。

4では反対意見も多い中でプロジェクトを進める様子、情報収集のためのリサーチ力を示しました。

5ではとある国 最大手の銀行を担当していたときのビジネスの話です。規模感があり責任感のある仕事を担っていたことを見せました。役員や相手の社長、多くの部署との調整といったステークホルダーの調整力を語りました。

6は社会デザインの強い学校へのポートフォリオに含めました。

7は好きなアーティストについて語れという学校からの指示でした。私はフランスの料理学校のプログラムを卒業していたこともあり、フランスのシェフをアーティストとして紹介しました。

Q&A

想定問答集を以下にまとめてみました。
ポートフォリオは1度作ったらすべての学校に同じものが使えますか?
Personal Statementもそうですがポートフォリオも学校に合わせて作り変えました。提出するプロジェクトの入替、プロジェクト数の変更、プロジェクトごとの記載内容も少しずつ学校の質問に合わせて修正しています。完全コピーの使い回しはしていません。

どんなソフトウェアで作られましたか?
私の場合は文章が主でしたので、ワードで基本的に作成しました。研修の宣伝ポスターの言語は日本語でしたので英語訳版をパワポで作りました。デザインはプロの方が手掛けていたので完璧には無理ですが、なるべく見た目がそのままになるように頑張って真似て作りました。
最後にワードとパワポをPDFに結合して提出しました。すべてのプロジェクトを1つのPDFにまとめて提出した学校もあればプロジェクト毎に分けなければいけない学校もあります。

別の受験生で、会社の商品や写真などある程度見せられるものがある方は全てパワポで作成されていました。その場合も同じぐらいの文章量でした。
また資料をデザインできる自信がある、という方は適切な装飾をつけてもいいかもしれません。私の場合は全くデザインはつけていません。

顧客名は出したほうがいいでしょうか?
私の場合は情報管理が厳しいため、顧客名は出さないように気をつけました。よく知られている名前で、お勤めの会社のルール上問題がなければ言及することも効果的だと思います。

仕事以外で作った作品は含めていいか
私は取組んでいるものが特になかったので含めていません。しかし趣味で取組んだ見せたい作品があれば最後のほうに含めることも可能だと思います。他のプロジェクト同様、その作品に取組んでいる際に考えていること、完成版に至るまでの過程を見せ、デザインを意欲的に学ぶ姿勢があることを伝えられれば効果は高いと思います。

ポートフォリオを作る時のポイント

ビジネスパーソンは貴重
皆さんはビジネスの経験を積まれています。デザインスクールにはたくさんのデザイン経験者が集まりますがビジネス経験者は貴重です。

デザイナーの方とデザインで競おうとしなくていいと思います。これまでのビジネスの経験をしっかり見せることがとても大切だと思います。

見せられるような物を作る仕事をしてなくてもいい
見せるものについては一見業務主体のものでなく、関係なさそうなものであっても使える可能性はあるかもしれません。私の場合、ポスター作り自体が仕事ではありませんでしたがデザイナーの方との協働を見せる形で用いました。

<受験までに時間がある方>ポートフォリオを書く練習をする
受験までに時間がある方に限られますが、自分の至らないところ、伸ばせる力に気付くために早めにポートフォリオを書いてみることをお勧めします。受験資料は自分の良いことしか書きません。しかし、書いている最中に、「本当はこれがうまくできなかったな。。。」と書けない内容があることに気づきます。気づいたことがを、受験までに目の前の仕事で実践してみてください。私はできませんでしたが、受験までにさらに自分を磨くことでより良いポートフォリオが書けるようになると思います。

ポートフォリオ作成に役立つツール(おまけ)

私はポートフォリオ作成で以下のツールを利用しました。

I love PDF : PDF結合、分割などができるWebsite
・Preview : Macユーザーの方であればPDFをPreviewのソフトウエアで開くと
 簡単にPDFの結合、順番入替が可能です。
・VLLO :動画編集アプリ (携帯用)
Wix : Website
Photo AC : フリー写真素材

何かイメージや写真が必要になった時はご存知かもしれませんが「フリー ●●」と検索すると無料で利用できるサイトが出てくると思います。基本的に利用する必要はなかったですが利用する場面では引用サイトしてリンクを貼っておくと良いと思います。

デザインスクール受験に向けてポートフォリオの作り方について教えてください!とご連絡いただいていた皆様、大変遅くなってしまってごめんなさい。お忙しい方にもなるべく端的に分かりやすいようにまとめてみたつもりです。

私のポートフォリオは完璧だとは思いません。ビジネスパーソンでこのレベルで提出し、合格をいただいたという最低限のレベルは満たしていると思います。これから私がデザイナーとして勉強していく上で、みなさんがより良いポートフォリオを作れるように、追加情報があれば順次発信できたらいいなと考えています。

受験が本格化するシーズンですが、何か上記でわからない点、分かりにくい点がありましたらコメント、個別連絡(Twitterなど)お待ちしております。

もしお役に立てましたらスキ・サポートしていただけましたら大変嬉しいです。

最後に、イリノイ工科大学(IIT Institute of Design)とCIIDに提出したポートフォリオを公開します。
ビジネスパーソンのポートフォリオ合格サンプルは希少だと思いますのでよろしければご利用下さい。

今回選んだ2校のポートフォリオはプロジェクト数を多く含んでおり、全体感を見ていただけます。また学校毎にどのぐらい書き換えているのか見比べられるようになっています。Websiteの形式のものとPDF版の2種類となっており、さまざまな出題形式にも対策に可能です。

情報管理の都合上、私の会社名はABCDにし、顧客の国はCountry Aとしております。ポスターも可能な限りご覧いただくために、詳細は省いた、雰囲気を掴んでいただけるポスターを掲載しています。それ以外は丸ごと公開しております。
今回も読んでくださった方、ありがとうございます!

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