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漫画 君たちはどう生きるか 10代だった人が読んでみた

はい、Kindleで読んでみました。漫画版が出版されたのはもう3年近く前のようですが、この自粛期間中に初めて読みました。さくっと感想を書いてみたいと思います。

まず物語の始まりの方にあったノートの持ち主である「おじさん」から自らの過ちに悩み苦しむ主人公の「コペル君」に対して綴られたメッセージが刺さりました。

「死んでしまいたい」と思うほど自分を責めるのは、君が正しい生き方を強く求めているからだ。

これです。

コペル君がしてしまった過ちの内容は後半で明らかになるのですが、実に中学生らしく且つ気の優しく繊細な子供らしいものでした。そして同じ場面に遭遇して同じことを選択しても、それをあんなにまで悔やみ思い詰めるのは誰もができることではないと思います。そんな状態のコペル君に対しておじさんが宛てた言葉の一部がこれです。

体が痛みを感じるのは、体が正常な状態にないことを(頭脳に対して)知らせてくれることを意味する。心に感じる苦しみもそうなんだ、その苦しみはしなびれていない良心のある証拠なんだ、だから心の中で信じている正しい生き方をするために立ち直ろうよ。人間にはそういうことができるんだ。

かなり端折っていますが、大体そのようなことが書かれていました。コペル君に限らず若さゆえの過ちをしてしまったと思う全ての人にも同じことが言えるでしょう。最近流行りの「セフルコンパッション」にも通じるところがありますね(多分)。そういう教訓が世代を超えて共有されているのだと感じます。

ざっくりまとめますと、本書に込められたメッセージとはこのような人間性の話と、中学生向きのいわゆる「学問への誘い」とに分けられると思いました。

それと余談ですが、Amazoneのレビューを見ると「役に立った」上位の方の投稿で、やれ内容が薄いだの中身がないだのと書かれています。しかし元々10代に向けて書かれた本をさらに漫画化したって書物に一体何を期待されていたのでしょうか。『7つの習慣』みたく普遍的で濃密な人生訓が詰まっていないと不満なのでしたら『思考は現実化する』でも読めばいいのです。原作の『君たちはどう生きるか』は読んでいないので分かりませんが、少なくともこの漫画版はそもそも大の大人が人生の指針を求めて縋り付いていいような書物ではないと思います。もちろん誇大広告されていたのなら良いことではありませんが、それを真に受けるのもどうかと。。。ひとまずこれはエンタメ作品だと割り切った方がいいんじゃないかなと読んでみた上で思いました。さくっと読んでスカッとすればいいんです。

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