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夏の光とスウェーデン・マルメ Leica Summicron 50mm f2 2nd #映像試論


#映像試論
映像を「とる」行為をデザインやリサーチ実践の一環と捉え、「みる」ということの意味と在り方を考える記録です。

家族がデンマークにやってきたので、コペンハーゲン発の電車に乗って海を越え、対岸のスウェーデンへ。南部の都市マルメ(Malmö)は晴れ。屋外はやや日差しが強いものの、室内には穏やかな光が差し込み、北欧らしい白を基調とした空間が美しく映えていた。

人類学の調査ではとてつもない時間を費やして街を歩くのだけど、その影響か、普段出かける時も公共交通機関にはあまり頼らず、できる限り自分の足で街を練り歩く。車が入れないような裏道も、観光客が訪れないような小さな飲食店も、歩くことで初めて出会えたりする。

そんな時には、できる限り身軽で出かけたい。愛用するGRも良いけれど、できれば50mmの標準画角で、適度にボケ感も楽しみながら都市を見つめて切り取りたい。Summicron 50mm f2の第2世代(海外では第3世代)は、後続の第3世代に次いで軽い、たった200gの標準レンズ。純正フードの12585Hのフォルムも気持ちよく、身体に斜め掛けしてボディを背中側に向けて歩く上でも安心感がある。

強い光が当たるとエッジが赤く出る収差や、現行ズミクロンと比較すると柔らかい映りは、北欧の夏を切り取る良いパートナーになる。

たまにカメラユーザーを見かけると
自然光を受け取る壁とステンドグラスが良いバランスを保っている
粗挽きのカルダモンロールが美味しい
壁画が見られる場所は、フラッシュ禁止


スウェーデンといえばミートボール

このズミクロン、薄暗い室内でも素晴らしい描写をしてくれる。歴史を感じる、少し敷居の高そうな伝統料理店。年季の入ったテーブルやスタンド、店員が行き来する事務スペース、使い古されたカトラリーなど、50年前のレンズとは思えないコントラストと解像度で捉えられる。

やや日光を強めに入れると、ふわりとした柔らかいベールを纏う

第4世代の現行ズミクロン(non-APO)との使い分けを模索している1970年台のこのレンズ。ちなみに個人的に最も気に入っている特徴として、特定の環境下で赤いフレアが盛大に出るところがある。

※以下の写真はデンマーク・オーフスにて撮影

逆光であればどこでも出るわけではなく、光の角度をうまく調整する必要がある。ブライトフレームでは見られないので、ビューファインダーを使うことで独特の光と遊ぶことができる。


コペンハーゲンから電車30分ほど。徒歩圏内に歴史的建造物とモダンな施設が集まった小さな街。小さなレンズを持って気軽に歩ける可愛らしい世界だった。

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