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《連続投稿553日目》GDPが捕捉できない価値が急増している

 日経電子版の記事【GDPには含まれない消費(十字路)】では、コロナ危機の先行きが読み切れない中、実体経済と株価の乖離が問題視される状況で、確かにバフェット指数=株式の時価総額÷GDPが上昇している訳ですが、必ずしも株価が過大なだけとは言い切れず、GDPが実体経済を把握していない=過小評価している点が指摘されています。



 GDP神話とまではいかずとも、ともすればGDPと言えば正確に実体経済を反映しているモノと思われがちかも知れませんが、実際には、GDPも一つの指標である以上(一定期間内に国内で、モノ・サービスの生産・提供を通して新たに生み出された付加価値の額)、そこには限界がありそうです。

▶ GDP
 =モノの付加価値+サービスの付加価値



 このGDPの簡潔明瞭な方程式を見て直ちに気付くのは、記事でも指摘されているように、サービスの付加価値でないものはGDPに加算されない、含まれない、把握していないという点です。

 つまり、家事は、サービスではないので、いかに渾身の一品を料理しようとも、部屋中をピカピカに磨き上げようとも、その分は貨幣的には、GDPには評価されないのです。



 コロナ危機によっておうち時間が増え、そこでの自家消費が増えて、在宅での体験価値がどんなに豊かになろうとも、その分はGDPには反映されない

 ちょっと不思議な感覚で、私達の感じる豊かさ、生活実感とGDPは全然イコールではない、極論すれば生活実感とGDPには相関関係はないと言えそうです。

▶ 生活実感
 ≒GDP+体験価値を加味したもの
 ≒モノの付加価値+サービスの付加価値+体験価値



 この体験価値というものに着目するなら、記事でも指摘されている無償のネットサービスやサブスクによってお得になった(値下がり)サービスは、GDPで額面通りに評価される以上の体験価値を私達にもたらしている訳で、ここでもまた、GDPと生活実感、経済の実態との乖離が生じている、と言えそうです。

 つまり、こんな体験ができるなら消費者が払ってもよいと考える額と実際に払った額の差が大きく発生している訳で、そこを高い精度で把握しないと、経済の実態は把握できないと考えられます。



 家事やサブスク・ネットサービス・シェアリングエコノミーといった、改めて評価しなくてはならないと認識されつつあり、また、新しく台頭したサービス等は、正しくGDPに反映されておらず、GDPが捕捉できない価値が急増している状況は、GDPと生活実感、経済の実態との乖離を発生させており、早急な見直しや、新たな指標が必要なのかも知れません。




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