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『天使の翼』第11章(107)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしの脳裏に突飛な『空想』が浮かんだのはその時だ。――デビルの精を加工すると、聖薬の代替品ができる。…………まさか!…………でも、現実に大公国が軍事行動を起こそうとしている可能性がある以上、大量の聖薬あるいは聖薬と同じ効果のあるものの存在が疑われる。これは、わたしとシャルルの旅の目的そのものだ。
 「まいったな!」
 とうとう、少佐は、前のシートから後ろを振り返るようにして嘆息した。
 「――シャルルさんは、私から何もかも聞き出すおつもりか?SSIPの尋問官にしたいくらいですぞ」
 「だって、もう私達の好奇心は破裂してしまっているのよ!早く教えて!」
 そう言ってローラは、シートの背もたれに置かれた少佐の手を握った。
――わたしには、少佐が手を引っ込めるまでに、一瞬の間があったような気がした……

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