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実質1株で売買可能な新制度とは~投資を学ぶ環境が整う~

 日経電子版の記事【実質1株で売買可能に 東証、新制度検討】でリポートされている『実質1株で売買可能』という制度は、様々な意味で有意義なものだと思います。



 1株から買えるのですから、文字通り最低投資金額が100分の1になり、『資金的』なハードルが著しく低減するのはもとよりですが、それよりも大きな効果は『心理的』なものだと考えられます。

 投資をしていて常々感じるのは、『買う』という決断には、『論理的決断』と『心理的決断』の2つの要素があるという事です。論理的にこれは「買いだ」と考えられても、心理的に「買いだ」と思えなければ、決断に踏み切れないのです。つまり、「損をするのではないか」という恐怖心です。

▶『決断』
=論理的決断(考える行為)+心理的決断(思う行為)

 恐れは必要な感情ですが、特に初心者の場合は、過度な恐れによって、せっかくの(往々にして正しい)『論理的決断』が無駄となってしまい(=『買う』という決断ができない)、いつまでたっても『投資』という経験を積み重ねられない、という事にもなりかねません。

 つまり、『実質1株で売買可能』となれば、著しくリスクが低減して、『心理的決断』が下しやすくなり、『買う』という行為を繰り返すことで、投資の経験を積むことが出来るようになります。『実質1株で売買可能』な制度は、広く『投資』というものを学ぶ環境を整えることに繋がるのです。



 そして、『投資』を学ぶという行為には、単に投資のテクニックを習得する(儲ける)ということに止まらない様々な意義があると思います。3つだけ挙げるとするなら――

▶『投資』を学ぶ意義

(1)『世の中を知る』・・・投資をするには、新聞はもとより様々な形で
   情報を収集して、世の中、つまり、経済・政治・ビジネス・
   マーケット・テクノロジー・国際関係等(日経電子版のカテゴリー
   順に並べてみました!)について知る努力をしなくてはなりません。
   投資をする事で、自然かつ敏感に世の中のことを勉強できるのです。

(2)『自分を知る』・・・投資を通して、成功したり、失敗することで、
   自分の性格(良い所、弱い所)を知り、いい方向へと持っていく
   努力ができます
。例えば、理屈では『買い』と分かっていたのに、
   怖がって見送ったら、予想通り大化けした、などという経験を
   すると、ひどい自己嫌悪になったりしますが、それを乗り越える
   ことで、場合によってはリスクを取ることの必要性が学べます。

(3)『将来を知る』・・・『世の中を知り』『自分を知る』ことで、特に
   若い人は、自分の将来、やりたい事について考えるベース(基盤)を
   作ることが出来る
のではないでしょうか。


 このように、『実質1株で売買可能』な制度によって、最低投資金額が100分の1になり、資金的・心理的なハードルが下がって、投資家層が拡大する事は、単に株式市場のみならず、広く世の中を活性化することに繋がると考えられるのです。

▶『実質1株で売買可能』な制度の効果

『実質1株で売買可能』

最低投資金額が100分の1
⇩     ⇩
資金的ハードルの低減   心理的ハードルの低減
⇩     ⇩
投資家層の拡大
⇩      ⇩
投資を通した人間の成長  株式市場の活況
⇩      ⇩
広く世の中が活性化する



(追記:現状でも単元未満株の取引サービスがありますが、約定価格が取引日の終値となるなどの特徴があります。新しい制度では、手数料なども含めどのようになるのか知りたいところです。)


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