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『天使の翼』第11章(86)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたし達の驚いた顔を誤解したらしく、彼は、慌てて付け加えた。
 「パトロンと言っても、もちろん、たまに宮廷に呼んで歌を聴くといった程度のことらしい。お抱えとか、そういうレベルではないんだ……」
 いつの間にか、わたし達が質問する側になっている。ローラの存在のおかげ、そして、シャルルの誘導……彼が正直にケインのことを打ち明けたことが発端となって、話の波紋が広がっていった……小さな真実の重みが、大きな嘘を隠す……それと、ここでこんな会話をしていられるということは、今回のSSIPの捜索、重要事案ではあるが、それほどの緊急事案ではないということか?……
 (では、何故、一緒にアクィレイアに行くのだろう?)
 「アクィレイアに行くということは、例の帝国宰相の葬儀ですか?」
 シャルルが、聞いてくれた。
 「そうです。デラ殿下は、大公殿下の名代として行かれたのです――」
 気を取り直したのか、さすがに、指揮官の口からそれ以上の言葉はなかった。

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