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『天使の翼』第12章(53)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 しばしの沈黙の後、デビルが、その巨大な瞳をパチリと瞬きして見せた。
 『あなたとは仲良くやれそう……お礼がしたい』
 わたしは、思わず彼女の瞼の上をさすっていた。
 『私と一緒に飛んでみたいと思ったことはない?』
 「えっ!」
 わたしは、驚いた。……そんな夢を見たことがある……。デビルは、人の心に入ってこれる……人間でも、そうそう勘のいい人はいないのに……
 わたしは、この時ばかりは、離れ離れになってしまったシャルルのことはもとより、大切な使命のことも念頭になかった。そして、この事態が、また、わたしを目的へと前進させる大きな契機となったのだ。

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