『天使の翼』第11章(79)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
暗く開いたドアーの空間には誰も姿を現さず、わたし達――と言っても、シャルルは含まれないかも知れない――が茫然として見守る中、まず、棒の先につながった鏡が差し入れられた。直径10標準センチ位の丸い鏡は、まるでそれ自体一つの生き物であるかのように、くるくると面を翻した。その顔には、それ自身の表情はなく、わたし達、そしてわたし達のコンパートメントの中が映っている……
そして――
「全員その場を動くな」
そう言って――先刻の声の主だ――一人の男が、二人の部下を伴って無遠慮にコ