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『天使の翼』第11章(81)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
起動したものか戸惑って彼の顔を見ると、頷き返してくる。
わたしは、端末の画面に身分証を表示して差し出した。わたしは、SSIPの隊員達に、多少権力に対して反抗的なところのあるものの、基本的に何の悪意もなく恐れてもいない、という芝居を続けなくては、と自分に言い聞かせた……指揮官は、わたしの端末を受け取る時、かすかにわたしの指先を意識するそぶりを見せた……彼は、たぶんわたしより二、三才年長だ……
――無論、わたしの身分証には、わたしが銀河帝国自由民であり、吟遊詩人である旨書き込まれている。そのことは、わたしの持つ雰囲気、傍らに立てかけられたギター、といった現象面ともなんら矛盾はないはずだ……指揮官は、端末の画面からわたしへと鋭い視線を投げたものの、内心は見せず、それ以上わたしには関心のない素振りで、シャルルの方を向いた。
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