『天使の翼』第11章(95)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
SSIPのパトロール・エアカーは、急峻な山肌をある時は谷に沿って、またある時は尾根伝いに、かすめるように飛んでいく。山は、森林限界などないように、徐々にその植生を変えながらも、どこまでも優勢な緑に覆われていた。常緑樹の、光の加減ではほとんど黒に近い濃い緑から、新緑の淡い黄色まで……
わたし達三人は、シャルルを真ん中に挟んで後部座席に、ナビゲーター席と操縦席には、それぞれ、クラレンス少佐――彼は、乗車する時にローラの手を取りながら改めてそう自己紹介した――とその副官がついていた。わたし達の乗車する指揮官機の前を一機、後方からは十機が、車間距離をかなりとった縦隊となって高速滑空している。黒光りする車体の連なる様は、物々しい眺めだ。
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