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ビジネスを考える

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2019年8月の記事一覧

『価格』のカスタマイゼーション~サービスの価格をユーザー自身で決める時代~

 日経電子版の記事【「サービスを受けた利用者が値決め」の新事業が登場】は、短くさりげない記事ですが、そこでリポートされる「あと値決め」のシステムには、私達の消費生活における『価格体験』を大きく変えるポテンシャルがありそうです。  記事で紹介される「あと値決め」とは、「事前に決められた最低価格に満足度に応じた料金を上乗せする」仕組みです―― ▶「あと値決め」= 「事前に決めた最低価格」+「満足度に応じた料金」(1)満足度が低い⇨通常料金よりも安くなる。 (2)満足度が高い

『インスタ映え』の次に来る『会話の種』~AbemaTVの躍進~

 日経電子版の記事【AbemaTVをゼロから3年で大ヒットさせた36歳制作局長 U40の匠】は、開局以来順調に利用者を増やし、1週間当たりの利用者数が1000万人を超す週が出るまでに育ったAbemaTVの仕掛けに肉薄する好リポートだと思います。    そもそも、ユーザーが情報に接するデバイスが、TVからパソコン、スマホへと移ろっていく中、テレビをインターネットで提供するインターネットテレビのあり方に注目が集まるのは当然ですが、そこには、①スマホでテレビを観る視聴習慣が定着

脅かされる文明の基盤~常態化する異常気象との闘いに遅れないために~

 日経電子版の記事【異常気象という新常態 経営リスク「見える化」 投資尺度に】は、温暖化などの異常気象が引き起こす自然災害の頻発などによって、企業が、常態化する異常気象への備えを真剣かつ広範に検討し、事業への影響の見える化と対策の立案・実行をする時代が来たことを教えてくれます。  この記事を読んで真っ先に思い浮かべたのは、少し前に出た同じ日経電子版の記事【インドの成長 水不足が阻む】です。    この記事では、スマホなどの生産拠点として製造業の中心都市となるはずだったイ

CSRが最大の売りとなる時代

 日経電子版の記事【売りは「脱プラごみ」 炭酸水メーカーの過激な宣伝術】は、ユーザーが炭酸ガスシリンダーで炭酸水を作るタイプのソーダメーカーのマーケティングに関するリポートです。    もし、自分がこのメーカーのマーケティングを任されたら、一体何を訴求するでしょうか?――ちょっと考えただけでも、4つの視点がありそうです―― ▶マーケティングで何を訴求するか?(1)『品質』・・・出来立てで美味しい! (2)『コスト』・・・500mlのペットボトルで買うのと比べた圧倒的な

社員の貴重なナレッジを共有する

 日経電子版の記事【日本のEC支える楽天OB 1年で鍛える4つのメソッド】は、楽天における人材育成の4つのメソッドを紹介したものですが、改めて企業の進化の原動力というものを考えさせてくれます。    そもそも、一つの企業には多数の社員が在籍して、その個々の社員が日々自身の業務を通して、失敗・成功含めた体験、ナレッジを蓄積していきます。その時、個々の社員の持つナレッジが、その社員ないし周囲の狭い範囲だけに囲い込まれてしまっているのと、広く全社に情報共有されているのとでは、企

AI教師のポテンシャル

 日経電子版の記事【中国、AIがピアノ教師】は、とてもさりげない記事ですが、改めて『AI教師』という存在、そのポテンシャルについて考えさせてくれます。    教育の現場を大雑把に2つのタイプに分類するなら、様々な分類があるでしょうが、その一つに『集団授業』と『個人授業』があると思います。それぞれの主なメリット・デメリットを整理してみると―― ▶『集団授業』と『個人授業』(1)『集団授業』   ① メリット    ● 教師一人(のコスト)で多数の生徒に対応できる。    

キャッシュレスか現金か?~強固な現金の利便性~

 日経電子版の記事【消極的な「現金主義」、キャッシュレスにも付加価値追及 ゼロ金利世代は今(2)】は、意外にもデジタルネイティブに現金派が多い実態を浮き彫りにしています。  そこで、改めて、記事などからキャッシュレスのデメリットと現金のメリットを整理してみると―― ▶キャッシュレスか、現金か?(1)意外に多いキャッシュレスのデメリット   ① 選択肢が多過ぎて選べない。   ② 登録が面倒。   ③ 不正事案などの発生が心配。   ④ 使える店と使えない店があり不便。  

インフラツーリズム~知ってるようで知らないものの『驚異』~

 日経電子版の記事【ダム放水や「軍艦島」上陸 インフラ観光】は、インフラツーリズムのポテンシャルを論じた好リポートだと思います。  もちろんその知名度に温度差はあるかも知れませんが、記事に登場するダムや「第二海堡(かいほう)」、「首都圏外郭放水路」などに共通して言えることは、『知識として知ってはいるが(名前くらいは聞いたことがあるが)実際のところは何も知らない』という現代に特有の現象だと考えられます。……インフラとは違いますが、例えば、「何故パソコンの画面上のボタンをクリッ

UXを読み取る

 日経電子版の記事【キングジム、「パカリ」と開くペンケース】は、とてもさりげない記事ですが、UX(ユーザーエクスペリエンス)の何たるかを改めて教えてくれるような記事です。  人がごく普通のファスナー式のペンケースを使う様を観察すると、ファスナーを開いた後、必ず「ケースの中をゴソゴソして目当てのペンを探し出す」という行為が続くのではないでしょうか……。ごくありきたりのペンケースでは、まるでそれが当たり前であるかのように、「ペンを探す」という面倒をユーザーにかけてしまっている訳

PDCAサイクル、まずは顧客接点から

 日経電子版の記事【栃木県のマルニ商事 オリジナル額縁を短納期で】で紹介される事例は、まさに事業承継⇨事業拡大のケーススタディーにうってつけではないでしょうか。  まず、記事から一連の施策を整理してみると―― ▶打ち続ける施策~PDCAを回す~(1)『ホームページの開設』・・・商圏外からの来店客など、ネットの                威力に開眼。  ⇩ 【課題】ユーザーは、ネットで価格を比べられる。  ⇩ (2)『小売専業から自社生産も』   ① オリジナル商品・オ

インスタグラマーがブランドになる時~キレイを撮るから、キレイを創るへ踏み出す一歩~

 日経電子版の記事【小ロットの製品作りを支援 「マイクロD2C」が急伸】は、フォロワーが数千から数万人の『マイクロインフルエンサー』と『D2C(Direct to Consumer)』の親和性をリポートした好記事です。  そもそも、私達がキレイなモノ、心に刺さるモノ、アートと関わる第一歩は、そのキレイなモノに接して記憶する、記録する、『撮る』といった行為ではないでしょうか。そして、その体験が次第に能動化して、自ら『創る』段階に達するのが、次の大きな一歩だと考えられます。

『アート投資』と『株式投資』

 日経電子版の記事【広がる現代アート投資 「プチパトロン」楽しみ一石三鳥】は、ごく短い記事ですが、アートとの深~い付き合い方、『アート投資』について、改めて考えるきっかけを与えてくれます。  そもそも、『アート投資』とはよく言ったもので、同じ投資である『株式投資』に通ずるところがあると思います。それは、投資の体験価値である『発見体験』⇨『購入体験』⇨『所有体験』⇨『売却体験』です―― ▶『株式投資』と『アート投資』の体験価値(1)『発見体験』   ●『株式投資』の場合・・

『雲(クラウド)』か『端(エッジ)』か、それが問題だ……

 日経電子版の記事【新興勢「端」に懸ける 好調クラウドに限界説】は、クラウドコンピューティングとエッジコンピューティングの対比を考えさせてくれる好リポートだと思います。     記事では、ITの歴史における『集中』と『分散』の交代劇を踏まえた上で、今後重要性の増すエッジコンピューティングについて論じられます。 ▶ITの歴史における『集中』と『分散』の交代劇(1)『集中型』・・・・・・メインフレーム(汎用機)  ⇩ (2)『分散型』・・・・・・パソコン  ⇩ (3)『集中

UXは資金でも施設でもなく、知恵比べ!

 日経電子版の記事【セイウチがビンタ 「ショボい」水族館、アイデア集客 古い・貧乏…弱点を武器に観客魅了】は、所謂「ショボ水」が独自のアイデアで来館者を集める逆転劇のリポートです。  日本は、国民1人当たりの水族館の数が世界一とのことで、独自の魚文化が息づく、四方を海で囲まれた島国ならでは、と納得のいくデータです。……ですが、水族館側の立場から見ると、そこには激しい競争が存在する訳で、集客のための差別化は喫緊の課題であるはずです。記事から、そんな水族館の施策をピックアップし