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ビジネスを考える

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2019年1月の記事一覧

イノベーションの坩堝(るつぼ)

 日経電子版の記事【1つ生むのも大変なイノベーション それを増産する イノベーションを増産せよ(上)】、【パナソニック、イノベーション増産狙う新拠点の内部 イノベーションを増産せよ(下)】は、改めて、『イノベーションを生み出す環境』、というものを考えさせてくれます。イノベーションというのは、最終的には人間の『ひらめき(アイデア)』かも知れませんが、それを待つのではなく、『ひらめき』の生じやすい環境というものは、人工的に整備することが出来るのでしょうか?  そもそも、消費者の

社会課題とボランティア~『学校朝食』で子供に笑顔~

 「朝食を取らずに登校する子供の増加」――この古くて新しい社会課題に、ボランティアをはじめとした取り組みの輪が広がっているという。日経電子版の記事【「学校で朝ご飯」広がる ボランティアや企業協力】は、改めて、身近な社会課題に取り組むボランティアの存在意義を教えてくれるように思います。  そもそも、朝食の重要性については、必ずしも満場一致とは言えないようですが、少なくとも子供にとっての朝食の重要性は大きいのではないでしょうか。脳のエネルギー源であるブドウ糖を学業の前に補給して

コマースゲートウェイ~送客システムが束ねるネットとリアルの融合~

 ネットとリアルを行き来し、使い分ける消費者に寄り添うような、ストレスフリーで利便性のある『ネットとリアルの融合』とは何なのか?――一口に『ネットとリアルの融合』と言っても、その組み合わせは浅いものから深いものまで無数のモデルがあり得ます。日経電子版の記事【LINE、ショッピングでネットとリアルを融合】で紹介されるモデルは、『ネットとリアルの融合』モデルの中でも有望なものの一つではないでしょうか。  消費者にとって、自分の欲しいものをどこで買えば良いか、どこに行けば買えるか

パーソナライズされるコンビニ~コンビニ再成長のカギは何か?~

 日経電子版の記事【老いるコンビニ 新たな成長握るデータ力】、【新宿に「エスニック」ローソン 在住外国人狙う】は、成長に陰りの見えてきたコンビニの苦闘と課題が整理された好リポートだと感じました。  コンビニと言えば『近くて便利』というキャッチフレーズ、コンセプトが有名ですが、2018年まで3年連続で客数の減少するコンビニの現状は、『近くて便利』というコンセプトが他の業態によって浸食されている状況を表している、と考えられます。 カスタマー(顧客)の大移動『便利』 スーパー・

観光のスマート化~パーソナライズされた旅行でストレスフリーに~

 やっと捻出できた貴重な時間を使って行く観光、本来楽しいはずの旅行が『ストレス』になるとしたら、それはどんな状況だろう?過去の経験などを思い巡らすと、『ストレス』の三つの横顔が浮かび上がってきます―― ①『混雑』・・・あまり閑散としていても寂しいが、渋滞なども含めた  『混雑』は、貴重な時間を浪費し、観光そのものに割く時間が減って  しまう。行けたはずの観光スポットに行けなくなったり、一つの観光  スポットに割く時間が減ったりする量的なロスだけでなく、ゆったり、  くつろい

これは大企業病だ!~積み上がる手元資金、増えない研究開発費~

 日経電子版の記事【データ分析 世界企業の攻防(下) 日米欧、カネ余り鮮明 日本、研究開発で見劣り】を読んでつくづく実感したことがあります――日本に大企業病が蔓延しているのではないか――。  第4次産業革命の時代に、本来企業のあるべき姿は、「イノベーションのアイデアが社内に溢れ、やりたい事がいっぱいで、研究開発費が足りない!」、ではなかろうか?なのに手元資金だけが冬眠状態というのは、どうしたことか……。  記事には「バブル崩壊後に過剰な借金に苦しんだ記憶は根強い安全志向と

リーンスタートアップ~大企業病を予防するIT企業の取り組み~

 最近の日経電子版の記事【楽天「プロジェクト6」を待っていた落とし穴 ネット興亡記(7)】、【LINEがカンパニー制 7分野、意思決定を迅速化】を読むと、先進的なIT企業ほど大企業病に陥らないための努力を怠っていない、との印象を強く持ちます。本来大企業病の弊害を憂えるべき企業が、自身の大企業病に何ら手を打てないでいるのは、皮肉な事です。 (1)企業にとって大切なもの 大企業病について考えるに当たっては、まず、現代の企業にとって何が一番大切か、という事を押さえておく必要があり

『可視化する消費行動』と広告~体験を可視化する広告~

 日経電子版の記事【パスチャー、インスタ分析で消費者心理まる見え】は、インスタグラムなどのSNS上の膨大なデータを独自システムで心理分析し、広告に活用するという手法を紹介しています。言わばインスタグラマーを心理学するわけですが、とても興味深い内容を含んでいると思いました。  記事では、インスタグラマーに2タイプある事が紹介されます―― ●トレンドセッター・・・新商品の機能に関心・・・商品単体の写真を投稿 (フォロワー数少なめ)       ⇒【発売初期のブームの火付け役】

何を目標にするかで変わる結果~一見もっともらしい目標が要注意~

 日経電子版の記事【「客数より宿泊数に重点を」 沖縄ツーリスト・東会長】は、沖縄観光の現状と未来に関して、根本を押さえた鋭い指摘がなされていると思いました。そんな中で今回注目したのは、次の件です―― 「そろそろ目標を頭数から延べ宿泊者数に変えた方がいい。沖縄の観光客数はハワイに迫るが、観光収入は3倍の差がある。延べ宿泊者数が約6千万人泊のハワイに対し、沖縄は2100万人泊だからだ。観光収入を増やす手段として延べ宿泊者数を重視すべきだ」  この指摘は、一般論として『目標』の

進化するUI~知性を持った機械の時代~

 日経電子版の記事【ゲームの歴史に学ぶもの】は、一見地味な記事ですが、とても重要な内容が含まれているように感じました。それは、末尾の次の件です―― 前出の西角さんも「良いゲームとは」と問われ「単純なもの」と答えている。                                操作は簡単、でも複雑な動きをコントロールできる――。今後の人工知能(AI)を軸とした技術革新や新製品開発でもヒントになりそうだ。  ――簡単な操作で複雑な動きをコントロールする、つまり、簡単にシ

ネット動画CMの描くUX~考えて買うか、共感して買うか~

 日経電子版の記事【ネットCM止めさせるな! 冒頭でつかめ】によれば、右肩上がりに市場の拡大しているインターネット広告の中でも、特に視聴型広告であるネット動画CMの伸びが著しいとあります―― 電通などが18年3月に発表した調査によると、17年のインターネット広告費のうち動画広告は全体の約1割を占め1155億円。18年は17年比約40%増の1612億円に拡大すると予測していた。  そのような躍進のキーとなったネット動画CMの強みとは何なのか、記事などから整理すると――  

『第一主義』のパラドックス~注目のダボス会議~

 今年も世界経済フォーラム(WEF)主催の年次総会、ダボス会議の季節がやってきました。今年のテーマは「第4次産業革命時代におけるグローバル構造の形成」とのことで、AIやIoTといったイノベーションアクセラレータによって地球規模の課題に取り組み、新しい国際協調の枠組みを模索しようとしています。  日経電子版の記事【ダボス会議(22~25日) 国際協調立て直しへ討議】によれば、そんな中で注目されているのが、『自国第一主義』を標榜するブラジルのボルソナロ大統領の演説です。初日に行

『例外』の効用

 少し前の日経電子版の記事【オンワード社長「ZOZOと根本の考え違う」 出品停止】です。  オンワードがゾゾタウンへの出品停止をしたというもので、一読した第一印象は、考え方に鋭い対立、反発があったのかな……いずれにしても、悩ましい決断だったんだろうな、というものでした。  ZOZOの会員制新サービス「ZOZOARIGATOメンバーシップ」は、単にゾゾタウンでの買物が常時割引価格になるというものではなく、「割引価格の一部または全額を、ゾゾが指定する支援団体に寄付したり、購入

デジタルトランスフォーメーションの要点とは何か?

 消費の対象がモノからコトへと比重を移していく、商品(モノ・サービス)に今までにない全く新しい価値が求められる、現在進行形の第4次産業革命の時代に、最終的な商品のユーザーの体験=UX(ユーザーエクスペリエンス)を見極め(最大化)、価値創出(イノベーション)を達成するには、AIとデータを車の両輪としたデジタルトランスフォーメーション(DX)が不可欠な事は言うまでもありません。  ……ですが、実際には、どうやってDXを推進していけばいいのか、逆に、ある企業がどの程度DXにアプロ