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#9 ゆく年くる年な雰囲気ゼロ。のボリビア

2021年12月29日 miércoles
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今日から年末年始のお休み。を取ると決めて、「明日から休みを取ります」と経営マネージャーに告げてオフィスを出た昨日。みんないつまで働くんだろう、というくらい、普通に出勤していてびっくりする。働き者だ。
ワインを飲みすぎたクリスマスの夕食会の後、今週オフィスで会った同僚に「あの日何時まで飲んでたの?」と聞いたら「22時には帰ったよ。義理の母がここに着いたばっかりで次の日、食事の予定があったから。次の日大丈夫だった?」と聞かれ、「ちょっと調子悪かったよ。」と言うと、「ハハハハ!」と。いやいや、あなたに飲まされたんや!!!
彼は、陽気でいたずら好きの子どものような性格の、グラフィックデザインコースの先生で、歳が近いこともあり、よく私にちょっかいを出してくる。この職場での暦も長いようで、2020年の2月に出会った頃は「日本人のデザイナーがなんぼのもんじゃ」的な軽い敵意を感じていたものの、いまは冗談を言える仲になっている。(と勝手に思っている。)

今日は、コロンビア人の同僚が、コロンビアのクリスマスのお菓子をふるまってくれるということで、私も日本食の昼ごはんをふるまうことにした。「おにぎりと味噌汁でいい?」と聞くと「味噌汁が食べたい!!!」と返事があったので、それらを用意する。
朝にメルカド ロドリゲスまで買い物へ出かけた。だし巻玉子も作ろうと、ネギと卵、あと、味噌汁用の豆腐、それに煎じて飲むと白髪がなくなった!とエリカさんの話していたコカの葉もついでに購入。

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メルカドへ行けば、それなりにお正月の準備の買い物をしている人たち。(と勝手に、師走の色眼鏡でその風景を受け取る私。)
でも、やはり年越しの雰囲気を感じ取れないのは、25日を過ぎた今でもクリスマスツリーやサンタがうろうろしている、という環境もある気がする。

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これは昨日の様子。12月28日でも、堂々とサンタが歩いており、家族連れが写真を撮ったりしていた。

今日はいい天気で暖かく、メルカドも歩きやすい。ごちゃっとした市場の中に光がさす景色がうつくしい。

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レモンをふたつだけ欲しい、と声をかけたチョリータさんに「1ぺシート」と言われたので1ボリ渡すと、3つくれた。うれしい。

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買い物を終え、家でお昼ご飯の用意。圧力鍋で日本米を炊き、久しぶりに味噌汁を作る。市場で買ってきたばかりの豆腐はしっかり固め。一丁ほどで8ボリ(=135円)。

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フライパンのすみを使って作る出汁巻玉子も、それなりにできた。まったくふわふわにはなっていないが、しかたない。

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久しぶりに見る、日本の普通のご飯に、少し気分が上がる。

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それにしてもここまできて、「味噌汁を食べたい!」とか、「大豆から味噌を作りたい!」という人に、ちらほら出会うので、びっくりする。

5年ぶりに食べる、という味噌汁に感動する同僚。ここまで喜んでくれたら、つくった甲斐がある。食べながら、仕事(今やろうとしているプロジェクト)の話、音楽の話、言葉(の地域差)の話など、話題は尽きず。最後に、持ってきてくれたコロンビアのコーヒーと、お菓子を食べる。

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甘いのがあまり得意でないという私に、苦めのコーヒーを用意してくれた。 コーヒーを淹れて保温ボトルで持ってきてくれるあたりの気遣いが、日本好きの外国人によく見られる特徴、というか、なんというか。


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2021年12月30日 jueves
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今日はすごくいい天気で、夏の陽気。朝から眩しいくらいの日差しで、ラテンの国に来たー、という感じがする。やっと。
偶然見つけたオーガニック食材店で買ってきた牛乳を飲み、(濃厚でおいしい!)クリスマスの残りのパネトンを食べる。空に雲がほとんど見当たらなかったので、洗濯物を外に干し、気分転換にテレフェリコに乗ってZona Sur[ソナ スール]まで出かけることにした。天気がいいだけで、こんなに気分が晴れやかになるので、びっくりする。人間って単純だな、とおもう。

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テレフェリコの駅ですごい行列に遭遇。ここ数日、広場などでワクチン接種の行列が見られる。急ピッチでワクチン接種を進めている様子がうかがえる。2022年1月1日から商業施設など入る際にワクチン接種済み証明か、PCRの陰性証明の提出が義務義務付けられるからか。こんな感じで外でワクチン接種が行われている。それにしても、プロパガンダ、というか、「私もワクチン打ちました!」とメディアに子どもまで出してきて、ワクチン!ワクチン!!という宣伝は、見ていてこわくなる。

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テレフェリコに乗り、しばらく空からの景色を楽しむ。ソナ スールに着くとまず、銀行へ行き、そのあと韓国食材店に寄った。ごま油とみりん、年越し用にそばを購入。そして、通りをぶらぶら。夏の陽気と、賑やかな街の様子に、やっぱり年末の感じがしない。
歩いていると、狭い路地にぎゅっと食堂が並んでお昼を食べている人がいるのを発見し、入ってみることに。ジュースと一皿で12ボリ(=約200円)。

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メインのご飯より横についてきたチヂミみたいなやつがおいしかった。
そして、この暑さに乗じて、ビールが飲みたくなり、ちょうどイングリッシュパブを見つけたので入る。

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久しぶりのパブでの時間を堪能。しかしここには、タップビールがなかったのが残念。天気がいいうちに家に戻ろう、とパブを出て、バスで帰ることにした。バス停まで歩き、ベンチに座る。しばらく待たないといけない覚悟はできている。天気が良く暖かいのでいつまでも待てる気もする。前を通るミニブスが「乗っていけよ」と言わんばかりにクラクションを鳴らして通り過ぎるのを無視して、のんびり待つ。

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家に戻り洗濯物を取り込んで、買ってきたものをバッグから出していると、友人からのメッセージに気づく。「年末の買い物に行くけど、ついてきてくれる?」と。「今からなら行ける」と返事し、近所の広場で待ち合わせた。仕事終わりの彼女を待っていると「アツコ!」と声をかけられて、ふと見ると同僚の男性ふたりが立っていた。「今日も仕事?」と聞くと「19時まで」と言うふたり。「ボリビア人の女友達を待っている」と言う私に「ちょうど2対2だ、一緒に出かけよう!」と調子いいことを言う彼ら。少し噛み合わない会話をした後、「さ、オフィスに戻ろう!」と私も連れて行こうとするふたり。「no, no, no!また来年!」と言って別れた。
そうこうしているうちに、友人がやってきた。ミニブスに乗って、目的の市場まで。何を買うのかと思いきや、新年を祝う飾りの品々。

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みんなこんなに買いに来るのね、、、というくらい、被り物やデコレーションが売っている。しかも結構いい値段で。新年はパーティで派手に祝うのがボリビア式なのか?まあ、家族によって、まちまちらしいけども。
買い物も終わり、セントロの方に歩いて降りる。サンフランシス教会の前には大きなクリスマスツリー。友人によるとツリーはLos Reyes[ロス・レジェス]までは飾ってあるらしい。スペインに伝わるロス・レジェス。1月5日(だったか)の夜に3人の賢者がプレゼントを持ってきてくれる、というもの。サンタクロースよりもこちらの方が習慣としては根深いのか、スペイン領であった南米諸国にも、それが伝わっているよう。
季節の節目の祝い方、過ごし方はそれぞれ違っておもしろい。日本で過ごす年末の雰囲気はまったくないけども、ボリビアでの年越し感は、少し感じてきたような気がする。

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ATSUKINO(アツキーノ)

2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。
現在は南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動中。デザイン教育環境の改善にあたっている。
http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/

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