理由は、おばちゃまからもらった。
マッターホルンにいつか登ってみたい
という、なんとなくだし、でも確実に叶えるだろうなという夢がぼくにはある。
なんで?っていうと、ちょっとした理由があって。
夏の長期休暇で、礼文島と利尻島ツアーに参加したとき、同じくツアーに参加してたおばちゃまの言葉がぼくに息づいてるからだ。
ぼくも、おばちゃまも1人でツアーに参加していた。
赤、というよりオレンジがかった色に髪を染めた60代くらいの女性だった。なかなかパンチのきいた髪色なので、最初は変わった人かもと思って敬遠してたけど、話してみると、とてもいい人だった。旅が好きで、おちゃめでおだやかに笑う、ジブリ作品にでてきそうな優しいおばちゃまだった。
たまたまお昼で隣の席になって少し話すようになって、最近山にいくのが好きになってきているとぼくはおばちゃまに話した。
そしたら、おばちゃまも少し前までは山登りにいっていたらしく、彼女の話をしてくれた。
"マッターホルンに始めて登った時、今まで見たこともないオレンジのきれーーなお花が咲いていたの。感動しちゃってそれから山登りが好きになったの"
そんなことをいっていた。詳しい話は忘れてしまってマッターホルンのどこのルートのどの辺にいつ咲いてる花なのかはもうわからない。
でも、そのエピソードにぼくはやられた。やられてしまった。
あ、ぼくもいつかマッターホルンに登ろうとその時決めた。
どこの国に位置する山かすらも知らなかったし、なんなら今もどこだっけ?って調べた笑
ぼくは、そんなエピソードに弱いらしい。その人が意図しないでふいに経験してしまった、そんなストーリーに弱い。心を打たれてしまう。
理由はなんてことない。別に海外にも山なんていくらでもあるわけで、マッターホルンじゃなくてもいい理由もたくさんある。
でも、いいじゃんか。
旅先でたまたまあった、ある素敵なおばちゃまがいってた、ぼくにとっての特別な山なんだから。それだけ。それだけの理由でいい。
ぼくはマッターホルンに登る。きっと登るんだ。
めちゃめちゃ嬉しいです!