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「攻撃的自己表現」をやめられない夫たち。

「夫がいつも上から目線なんです」

「うちの夫はお説教ばかりで話を聞いてくれないんです」

説教ばかりで口うるさい夫、人の話に耳を傾けず言いたいことだけを言う夫。

そんな高圧的な夫に困っている女性の話をいくつも聞きました。

自分が正しいと思い込んでいる、小さく哀れな独裁者。

ぼくら夫には耳が痛い話ですが、妻たちの目にはそのように映っています。

家庭内のちっぽけな独裁者は、妻だけでなく子供からもうとまれるようになりますが、自分は嫌われていることにまったく気がつきません。

妻の婚外恋愛、別居、離婚という内部クーデターが勃発するまでは。

なぜ、多くの男性は小さな独裁者となってしまうのでしょうか?

そこには、「攻撃的自己表現」しかできない、哀れな男の習性が隠されていました。

自覚のない攻撃的自己表現

はっきり言わないと何を伝えたいのかわからない。自分の意見を通すためには、強い態度に出る必要がある。

時にはそういったことが必要とされる場面があると思います。

仕事では、弱気な態度や曖昧な表現をしていては相手からなめられ、こちらの条件を通すことができないこともありますよね。

良くも悪くも、声が大きい人の意見は通りやすいものです。

また職場での立場が上がるにつれ、周囲が反対意見を言いにくくなり、間違った選択をした際に指摘される機会が減っていきます。

ぼくも攻撃的な上司に意見を通すために、より影響力のある人間を利用した根回しの経験が何度もあります。

相手の感情に配慮しない「強気な態度」は、職場では当たり前のように存在し、そういった人が出世しやすいことも事実です。

そして、職場でのルールを知らず知らずのうちに、家庭に持ち込んでしまうのです。

妻の話をさえぎり、無視をする。

妻の話を聞いているように見せかけて、感情に配慮した言動は行わない。

部下にするかのように、妻に説教する。

多くの男性は、こういった態度を取っている自覚がありません。むしろ「良いこと」をしていると思っている人さえいます。

特に時間がない場合や、気を張っている場合、気持ちに余裕がなくなることで、心が緊急事態モードになり、「小さな独裁者」が発動されやすいです。

ぼくにも経験があります。

戦場のように気を抜けない職場でなら、上から下への強い戒律は効果的ですが、それを平和な家庭にまで適用してしまうことで、夫婦間に戦争が勃発してしまうのです。

攻撃的自己表現が続くとどうなるのか?

以前の職場に、強い主張を常に繰り返す人がいました。

部下や上司の言うことに耳を貸さず、自分の信じる道を突き進み、感情よりも論理を優先する男性でした。

いくつもの業績を上げ、管理職にまで出世しましたが、ある日の早朝、自室で頭から血を流して倒れているところを、彼の妻に発見されたのです。

原因は深夜の泥酔でした。

彼は、深夜2時頃までウィスキーを飲みながら仕事をする習慣があり、その日は飲み過ぎたせいか、椅子から転げ落ち、頭を打ち、気を失っていたのです。

幸い、命に別状はありませんでしたが、毎日深酒をしないと仕事ができないというのは、何かがおかしかったのだと思います。

彼は平日17時になると、オフィスの冷蔵庫から缶ビールを取り出し、ビールを飲みながら毎日仕事をしていました。そして、自宅に帰ったら塩を舐めながらウィスキーを飲み、仕事をするのです。

自分でも気がついていなかったでしょうが、小さなストレスが溜まった末のアルコール中毒だったのだと思います。同時に仕事中毒でもあったと思います。

このように他者の意見に耳を貸さない「攻撃的自己表現」を重ねていると、身心に悪い影響が現れるようになります。

それから、ぼくに夫婦関係の相談をされた男性の多くは、妻からの愛情を失ってしまった方が多かったです。

別れを切り出された。別居を望まれている。不倫されている。

多くの原因は、夫の妻に対する「攻撃的自己表現」にありました。

夫としては、良かれと思い妻にアドバイスをしたり、道理を教えているつもりなのですが、妻には「大切にされていない実感」ばかりが降り積もり、寂しさが原因で、夫に対する信頼と愛着が失われていったのです。

攻撃的自己表現は、自分の身を崩し、妻からの愛情も失ってしまうのです。

なぜ、夫は「攻撃的自己表現」に走るのか?

「夫婦・カップルのためのアサーション」によると、人が攻撃的自己表現を行う原因は次の7つであると書かれています。

1. 優位に立ちたい気持ちが強すぎる
2. 幼児的甘えから抜け切れていない
3. 自信過剰の根底に不安を抱えている
4. 真面目で責任感が強すぎる
5. 自分の弱さを認められない。知られたくない
6. 忙しい
7. 疲れている

「自分が主導権を握りたい気持ち」が強すぎ、「自分を優先してくれて当たり前」と子どものように妻に甘え、妻の意見を受け入れることによる「自分自身の否定」を恐れている。

「こうあるべき」という思い込みが強過ぎ、孤独感や傷つきの体験、自信の喪失を認められず、自分を守るために攻撃的になる。

仕事のストレスにより妻の感情を考える余裕がなくなり、過度の疲労により神経過敏となり、妻の言動が脅威のように感じられ、攻撃的に反応をする。

まとめるとこうなりますが、多かれ少なかれ、男性には思い当たるものがあると思います。

ぼくは「5. 自分の弱さを認められない。知られたくない」と「6. 忙しい」が原因で、妻に攻撃的自己表現を取った覚えがあります。

妻から嫌われた男性に多かったのは「2. 幼児的甘えから抜け切れていない」と「5. 自分の弱さを認められない。知られたくない」です。

意外と自分では気がついていませんが、実は妻に対して親子のような関係を望んでいるのです。

「妻は自分(夫)のために動いてくれて当たり前だ。本人にとっても悪い選択ではないはず。妻はなにも言わないが、大きな不満はないはずだ」

そう思っていた男性は多かったです。

ですが、こういったケースの場合、夫は妻から尽くされることばかりを望み、与えることをしません。

親から愛を受け取る時、子は与えることを考えませんが、夫婦関係は違います。

夫婦関係は親子関係のように一方的なものではなく、お互いに与え合う相互関係だからです。

そこに気がつけないと、自分の攻撃的自己表現のなにが悪いのかに、なかなか気づくことができません。

また「自分の寂しさ、悲しみ、愚かさ、弱さ」を受け止められない男性も多かったです。

心に芽生えたネガティブな感情を認めることは弱いことだ。そんなものを受け止めてはいけない。

まるで、無意識にそう念じ続けているかのように。

職場や家庭で味わった寂しさ、妻とのやりとりで思い知ったおのれの愚かさと弱さ。

それらを受け止めることで成熟した人間になれるのですが、多くの人は見なかったことにします。

夫婦関係のおかげで知れる自分自身の身勝手さは、人として大きな成長のきっかけになれると思うのですが。

悲しみ、愚かさ、弱さ。

これらを受け止めることを、ぼくら男性は脅威に感じているのかもしれません。

ですが、その恐怖に打ち勝ち、情けない自分を見つめ直すことが、夫婦関係を変える第一歩になるんじゃないかなと、ぼくは考えています。

妻との関係を変えることができた男性に共通していたものは、不甲斐ない自分を見つめ直す勇気と謙虚さでした。


ーーあとがきーー

三男が溶連菌を保育園でゲットし、体調不良で先週保育園を休み、やっと昨日登園できたのですが、昨夜、38.5度の熱があり、またもやお休みかもしれません。

そして、8歳の長男もさっき喉が痛いと言っていたので、もしかしたら親であるぼくと妻も体調を崩し、危機的な1週間を過ごすかもです・・・。まいったまいった・・・

子どもはすぐに治るのですが、大人はなかなか風邪が治らないんですよね。

季節の変わり目なので、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭はお気をつけください。


ーーお知らせーー

この記事は「男性向け夫婦関係改善本」のための下書きです。

下の目次の(←ここ)とある箇所の記事です。記事を書き足していき、最後は一冊の本にします。

下線がある目次はすでに書いた記事へのリンクです。クリックすると記事に飛びます。

本が完成するまで記事を書き続けますので、応援していただけると嬉しいです。

また、ぼくの夫婦関係研究へのサポートも募集しています。

サポートはポッドキャスト「アツの夫婦関係学ラジオ」運営費用、取材費などに使わせていただき、毎月末にサポートメンバー向けに、活動報告記事をお送りさせていただいています。

ぼくと同じく「世の中から夫婦関係に悩む人をなくしたい」と思ってくださる方、アツを応援してもいいと思う方は、ぜひサポートをよろしくお願いします。


第一部:なぜ、あなたは妻から嫌われたのか?

◾️第一章:恋から愛への移行不具合

恋のメカニズム
○産後の妻の変化への無理解
産後の妻の変化1:オキシトシン分泌によるガルガル期突入
産後の妻の変化2:肉体と精神がズタボロになる産褥期
産後の妻の変化3:産後女性の性欲減少メカニズム
産後の妻の変化4:圧倒的な社会的孤立
産後の妻の変化5:失われたアインデンティティ
絆を構築する共同体験の欠如

◾️第二章:無から愛の生成不良

○「Who you are? 」ではなく「What you have ?」であなたが選ばれた場合

◾️第三章:夫への恨みの生成過程

○未完に終わった夫婦の発達課題
結婚前に獲得すべきだった「本当の親密さ」とは?
未確立な夫婦のアイデンティティ
親になること、夫婦になること
○非主張的自己表現の呪いから抜け出せない妻
○攻撃的自己表現をやめられない夫たち(←ここ)
○妻の不信感を募らせる、夫の非自己開示
○時限爆弾となる「夫への恨み」
○増加する”婚外恋愛”願望

◾️第四章:セックスに関する無理解

○産後にセックスに興味を失う理由
○生理周期に伴う性欲の変化
○性に関する夫婦の話し合いの不在

◾️第五章:現状把握と事態の受け入れ

○妻の恨みの根幹を知る
○思い込みにとらわれず質問を恐れない
○客観的に自分たちを見つめる

◾️第六章:妻から嫌われる3つのパターン

○家庭より仕事を優先してきた
○家族の幸せより自己実現を優先させてきた
○妻への思いやりより自己の欲望を優先させてきた

第二部:では、どうするか?

◾️第一章:皿洗いをする前にやるべきこと

○夫婦の絆の土台となる”親密性”
○「受け止めてもらえる」安心感を妻に与える
○柔らかな感情の掘り起こし

◾️第ニ章:愛着の形成が二人の絆を作る

○柔らかな感情の共有
○相互理解という快感
○夫婦に恋愛は必要ない
○ドーパミンではなく、オキシトシンが愛を作る

◾️第三章:自分も相手も大切にするアサーティブコミュニケーション

→詳細考え中

◾️第四章:セルフコンパッションで関係改善の努力を継続

→詳細考え中

◾️第五章:セックスは愛の最終形態

○セックスは手段、目的は親密性への触れ合い
○性の話し合いを恐れない

第三部:フェニックスマンの特徴

○夫婦関係を改善できる男性の特徴とは?


それでは、また!







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