見出し画像

「話し合い」は「分かり合い」、”相互理解の快感”が二人に親密感を授けてくれる。

「夫婦会議を楽しんでくださいね」

夫婦が対話をできるようになるためのツール、「世帯経営ノート」の使い方セミナーの中で開発者である長廣さんご夫婦はそう言ったのです。

ですが、ぼくはどういうことかさっぱりわからなかったんです。

夫婦の話し合いを楽しむ?

話し合っても意見がぶつかり、どうしていいかわからず、気まずい思いをすることがあるのに、「楽しむ」ってどういうこと?

夫や妻との話し合いはできるだけ避けたいという人は多いです。

喧嘩になったり、沈黙に耐えられなかったり、自分の意見を否定されたり、嫌な思いを何度も重ねると嫌になってしまいますよね。

だけど、最近になって(結婚11年目を超えて)やっと、「妻との話し合いを楽しむ」感覚が分かりつつあるんです。

そのヒントは”相互理解の快感”でした。

以前の記事で、川越にある喜多院というお寺を訪れた際に、妻と歴史に思いを馳せた話を書きました。

気持ちのいい春の昼下がり、ぼくらはお互いに興味のある歴史話に花を咲かせ、ある感覚を共有していました。

ぼくらが同じ感情を共有していることがわかるんです。
「今、ここ」をぼくらは共有している。
ぼくらの心の中に同じ感情が生まれている。
ぼくらの「自己」が拡大され、それらが混じり合い、一つになるのを感じる。

城めぐりが愛を深める?夫婦が愛情を取り戻す方法とは?

その時のぼくらは、お互いの考えていることが手に取るようにわかったんです。

相手の気持ちがわかるだけじゃなくて、相手がこちらの気持ちをわかってくれていることが伝わってきた。

その時、なんとも言えない心地よさを感じたんです。お互いの心が溶け合いひとつになるような感覚でした。

思えば、出会ったばかりの頃はしょっちゅうそんな感覚を感じていたものです。

夕焼けに照らされた鎌倉の江ノ電、心地よい涼しさに溢れていた長野県上高地の山頂、あてもなく歩いた何気ない散歩道。

どこにいても、ぼくらはお互いの感情を感じ取り、同じ思いを抱いていることを実感し、ぼくと妻の間に確かに存在する親密感を大切に育てていたのです。

3人の元気すぎる子どもたちに囲まれ、ぼくらが二人だけでしんみりと過ごす時間は減ったけれど、ふとした瞬間にそれは訪れるんです。

夫婦会議ノート(話し合いたい題材を自由に決めて、夫婦で対話をするためのノート)を使った時にもその感覚を抱いたんです。

この時、ぼくらは「長男のぐずり問題にどう対処するか?」という議題で話し合いをし、「妻が子どもと自分を同一視していたこと」に気がついたのです。

話し合いは拍子抜けするほど穏やかで、ぼくらは達成感を感じて対話を終えることができました。

その時のことをぼくはこう書いています。

ぼくとしては、モヤモヤを言語化し、次へのステップにつなげることができたので、それがとてもよかったですし、なんというか、ちょっと楽しかったんですね。

ぼくら二人を覆っていたモヤモヤがくっきりと形になり、その正体を捉えられたこと、そして、明日からのぼくらの日常がより良いものになるであろうという実感を感じられたんです。

妻が「子どもと自分の同一視」に気がついた話

「悩みが晴れ、より良い日々を送れるという期待」が「楽しかった」と感じた理由だと思っていたのですが、それだけではなかったようです。

おそらくここでも、ぼくらは”相互理解”を感じていたんです。

話し合いの中でぼくらは自然と手を取り合いながら、自己理解の階段を一歩一歩登っていったんです。

一人だけが先走るわけでもなく、一人だけが理解の及ばない思考に達するのではなく、一緒にステップを踏みながら”相互理解”という最上階に辿り着くことができたんです。

「分かり合えている」という感覚は喜びだけではなく、お互いへのリスペクトも作り出すため、その後の関係性にいい影響を与えるんです。

「結婚生活を成功させる七つの原則」で有名な心理学者ジョン・ゴッドマンは著書でこう書いています。

私の治療プログラムは、「幸福な結婚は、夫婦の深い友情から成り立つ」という簡単明瞭な真実を中心において作ってある。ここでいう友情とは、「夫婦が共同生活者として、互いに尊敬と喜びを分かち合うこと」を意味する。こうして夫婦は互いを親密に知り、互いに相手の好きなもの、嫌いなもの、性癖、人生に対する希望や夢を十分に理解し合い、日常生活でその理解の具現化に努力するようプログラムされている。

結婚生活を成功させる七つの原則

「夫婦の話し合い」という言葉には緊張感が含まれていますよね。

怒られるんじゃないかな……。否定されるんじゃないかな……。

そんな恐怖を感じますよね。

でも、「話し合い」って「分かり合い」とも言い換えられると思うんです。

お互いの意見をぶつけ合って、相手を屈服させるのではなく、自分の気持ちと相手の気持ちを分かり合うための手段が「話し合い」なんです。

「話し合い」によって「分かり合う」ことができ、「分かり合う」ことによってリスペクトと喜びが生まれ、そのリスペクトと相互理解の快感がふたりに強い「親密感」を与えてくれる。

ぼく、夫婦の話し合いって緊張感にあふれたもので「あるべき」と考えていたんです。

でも、それはもっと爽やかなものだったんです。

お互いに理解し合える快感が、二人の距離を縮めてくれる。

あなたも勇気を出して、「相互理解」という最上階に登ってみませんか?

きっと、今までとは違う景色が広がっているはずです。

(少しでも面白いと思っていただけたら、いいねやコメント、フォローをしていただけると嬉しいです!)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?