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諸星新会長の”オーガスタ詣で”

 先月日本ゴルフツアー機構(JGTO)の新会長に就任した諸星裕氏。
 早速マスターズが開催される、オーガスタナショナルゴルフクラブに行きました。
 目的は「世界のゴルフ界が現状どうなっているか」の情報収集と、現在のJGTOが世界でどんな立ち位置なのかを調べるため。
 マスターズは選手だけでなく、世界のゴルフ関係者達が集う場でもあり、いろいろな情報が集まったり、そこで事が決まるということもある重要な場所でもあるのです。

 松山英樹が2021年大会以来、2着目のグリーンジャケットに袖を通せるかに注目が集まる今年のマスターズ(4月11~14日、米国ジョージア州オーガスタナショナルGC)。しかし日本のゴルフ関係者にはもう一つ、注目をすべき大事なテーマがある。
 それは3月19日に誕生した日本ゴルフツアー機構(JGTO)新会長が各国の代表者にアプローチをする「トップセールス」。8年続いた青木功体制の後を受けて新会長に就任した諸星裕(もろほし・ゆたか)氏(77歳)がすでに現地に乗り込んでいる。
「JGTOが今、世界の中でどのぐらいの発言権を持っているのかが分からないので、とりあえずはオーガスタから2週間ぐらいですか。(世界から)いろんな人たちが集まると思いますので、そこに乗り込んでいって、まずジェイ・モナハン(PGAツアーコミッショナー)さんとお話をし、もう1回すべてやり直すんです」と、諸星新会長は最初の大仕事のプランを明かしている。
 渡米前、「基本的には(在住が長いため)僕も半分アメリカ人ですし、久しぶりに会ってもワイワイやれて、ノリはいいんじゃないか、と思います。だから強いもの(関係)を構築し直す部分がある。それがないと本当にダメだと思っているんで」と、力強く話した。
(中略)
 さらに、「環太平洋ゴルフサミット」の構想も明かしている。「日本からインド、オーストラリアまで合わせると、世界の人口の3分の1になる」と、太平洋を取り巻く国々と、強固な関係性を築いていくことを目標の一つに挙げている。

AlbaNet(Yahooニュース)

1.設立当初は情報収集は出来ていた、それがいつの間にか…

 JGTO設立当初は専務理事、そしてメジャー競技でも競技委員を務め、現在は日本ゴルフ協会(JGA)の専務理事を務める山中博史さんが、あらゆる世界のゴルフ情報を収集し、意見を発信していました。
 競技委員としてメジャー競技に行った際、競技委員の役割と世界の各ゴルフ団体との対談を行って、JGTOが世界から”離れていかないよう”努力をしてきました。
 日本人選手のメジャー出場枠削減の話や、世界ランクのポイントが日本は甘いんじゃないかと言われると「また日本に対し”意地悪”してきた」とユーモアを交えて報告をしていたのが印象的です。
 しかし山中さんがJGTOを去ってからは、こういった情報がなかなか入ってこなくなり、「国際関係は誰が担当しているの?」「JGTOは世界のゴルフ情報を収集し、アップデートしているの?」と感じました。
 諸星さんもこの点について危惧していることでしょう。

2.現状の厳しさを理解しているのか

 厳しい言い方になりますが、JGTOは世界のゴルフ団体から完全に取り残されていると思います
 昨年から前年の賞金ランク上位3選手を対象に、DPワールドツアーの出場権を与えるという制度を定めていますが、今年は前年賞金王の中島啓太が出場はできるものの、2位の蟬川泰果と3位の金谷拓実はこれまで1試合も出場できていないこと。
 またPGAツアー予選会・Qスクールも、ここを通れば来シーズンから出場できるファイナルの出場資格も、昔はある時点(10月末~11月初旬)での賞金ランク上位10選手のうち、出場する意思のある3選手が出場できていたのが、復活した昨年は賞金ランク1位の選手のみとなったこと。
 そして今年から全英オープンの日本人選手にとって関係のある出場資格が少なくとも2つは削減されたこと。
 他にもいろいろありますが、いずれにしてもJGTOにとって厳しい状況は間違いありません。

3.新たな人脈を築けるか

 諸星会長は早速PGAツアーコミッショナーのモナハン氏や、こちらも今月から新任したDPワールドツアー責任者のキニング氏など、世界のゴルフ主要団体責任者との対談を計画しています。
 世界のゴルフ界でJGTOが現在、どのような立ち位置なのかを理解し(厳しいことになることは覚悟しています)、そして今後どう対策を講じて対等な関係になれるのか。
 新任早々、諸星会長の手腕が試されることになりました。

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