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レジリエンスは性格なのかスキルなのか

割引あり

さて今回は,レジリエンスとは何なのかということについて書かれたレビュー論文を見ていきましょう。


今から50年以上前の1971年,Wernerたちは,ハワイのカウアイ島の子どもたちを対象とした縦断的な調査の結果を報告しました。調査の対象者は1955年に生まれた子どもたちで,みな困難な状況下で出生していました。報告の中では,このような困難な状況の中で生まれ育った子どもたちであっても,約3分の1については,周囲から有能で自信にあふれており,自らを律することができる大人になったと評価されているとされていたのです。

当時は,困難な状況に生まれ育てば,その後も何らかの問題が続くのが当然だと考えられていました。しかし,その常識に疑問が呈されたのです。ここから,レジリエンスという新しい研究領域が生まれていきました。

社会の中で

レジリエンスの高さは,次のような問題とマイナスの関連を示すことがこれまでに報告されています。

◎うつ病
◎不安障害
◎心的外傷後ストレス障害
◎摂食障害
◎薬物依存

これらの問題は,人々の生活の質(Quality of Life; QOL)や幸福感,ウェルビーイングにも大きなコストをもたらします。レジリエンスは,個人の生活だけでなく,社会全体の公衆衛生上の問題にとっても重要なのではないかと考えられるということです。

では,引き続いてこの論文の内容を見ていきたいと思います(Perspectives on resilience: Personality Trait or Skill?)。

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