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ネットワーク分析からわかる衝動性の中心的な部分

「あの人は衝動的に行動した」という表現がありますが,そもそも「衝動性」というのは,どのようなものなのでしょうか。

心理学では,衝動性とは「個人または他者に対する否定的な結果を考えることなく,さまざまな刺激に対して即座にかつ無計画に反応する傾向」のことを指します。この内容を見ていくと,いくつかの要素があることに気づきます。

◎否定的な結果を考えない:よくない結果につながる可能性を気にしないことです
◎さまざまな刺激に対する:個人の外からの刺激も,内側からの刺激(欲求や不満,快や不快など)も含まれます
◎即座に無計画に反応する:あれこれと熟考せず,後先考えずに反応してしまうことを指します


衝動性の多様性

衝動性の定義は上のようなものなのですが,その中身は一様ではありません。先ほども内容を見たように,否定的な結果を考えない傾向や,外部の刺激に強く反応する傾向や,すぐに反応する傾向などは,必ず「一緒に」生じるものというわけでもないからです。それぞれの特徴に特化した心理学的な特性があって,組み合わさったものが「衝動性」であるかもしれません。

そこで,ネットワーク分析という手法を使って,衝動性の構造を検討した研究を見て見たいと思います。ネットワーク分析は,変数と変数との関係をつながりで表現します。衝動性の内部が,どのようなネットワークで表現されるのでしょうか。

では,こちらの論文を見てみましょう(The network structure of impulsive personality and temporal discounting)。

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