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飛蚊症患者たちの心理面

飛蚊症という症状は,視野の中に蜘蛛の巣,斑点,糸,ものの断片のようなものが見えることを指します。本質的に,視力を損なうものではありませんし,視野狭窄のような問題が生じるわけでもありません。眼科に行って検査をしても,「急に増えたりしたらまた検査をしますので来てくださいね」なんて言われるような症状です。

とはいえ患者は多く,イギリスの調査によると,眼科医1人につき月に14人の患者の検査をしているということです。年齢を重ねたり,重度の近視になると飛蚊症になることが多く,飛蚊症で悩んでいる人というのは思った以上に多いのです。私自身もそうですから。

治らない

飛蚊症は経過観察をしていくのが基本で,「治らない」「つき合っていく」ものだともよく書かれています。でも……正直言って,煩わしいのは間違いありません。

また,日常的に見えてしまうものですので,最初にこの症状が出てくると,とても不安になったりもするものです。心理学的にも大きな影響をもたらしそうです。

今回紹介する論文は,イタリアの眼科に通う患者さんたちに,飛蚊症についてインタビューをしたという研究です。患者さんたちはどんなことを話すのでしょうか。ここから心理学の研究にもつながると面白いかもしれません。では,こちらの論文を見てみましょう(A Psychological Perspective of Eye Floaters)。

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