にがりを飲みますか?
「どんな病気もこれだけで治る」
病気ではなくても、ダイエットや健康、勉強ができるようになるなど「これさえやれば」という広告はよく見聞きするものです。
今回は「どうしてこんなことを信じてしまうのだろう」の背後にあることを考えてみたいと思います。
目次
数字のルール
ここに
2 - 4 - 6
という数字の並びがあります。この数字の並びはどのようなルールに基づいているかわかりますか?また,自分が想定したルールが正しいかどうかを確かめるための,3つ組み数字の例を考えてみてください。
このように尋ねられると,たとえば次のように考えることが多いのではないかと思います。
「偶数の増える数だな。ということは,
8-10-12
を例として挙げればいいだろうな」
そして自分の仮説が正しいかどうかを確かめるために「8-10-12」を挙げ,「その数列はルールに合致しています」という答えを得て,「ああ,やっぱり偶数の増える数だ」と自分の正しさを感じて安心するのです。
ところがゲームの主催者はもう一言
「数列のルールは『偶数の増える数』ではありません」
とも言います。
あなたは次に「偶数の増える数ではないとしたら,きっと『2ずつ増える数』だろう」と考えることでしょう。そう思ったあなたは,
5-7-9
という数列でそれを確かめよう」と考えることでしょう。
ゲームの主催者は「5-7-9という数列はルールに合致しています」と答えます。あなたは「やった!やっぱり自分の仮説は合っていたんだ」と不安は消え,自信を取り戻します。
ところがゲームの主催者は、再度こう言うのです。
「数列のルールは,『2ずつ増える数』ではありません」。
え?それでは......
「10-12-14は?」「ルールに合致しています」
「101-103-105は?」「ルールに合致しています」
「996-998-1000は?」「ルールに合致しています」
......なのに,ルールは『偶数の増える数』でもないし,『2ずつ増える数でもない』というのです。
あなたはここで途方に暮れてしまうかもしれません。
自分が考えて考えを確かめようと出した例はルールに合っているのに,そのルールは正しくないと言われてしまうからです。
ルールは何か
実はここでのルールは,「(とにかく)増える数」なのです。
偶数であろうが,奇数であろうが,1つずつであろうが,とにかく「増える数」であれば「ルールに合致する」という答えが得られるのです。
でも,「偶数の増える数」も「2ずつ増える数」も,「増える数」というルールそのものではないのです。
さて,大変なことに気づいてしまいました。
「10-12-14」とか,「101-103-105」とか,「1001-1003-1005」とか,いくら2ずつ増える数を例にあげても,「ルールに合致」してしまいます。
でもそこで満足していては,いつまで経っても「増える数」というルールにはたどり着けないのです。
では,どうしたら良いのでしょうか?
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