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心理学の中でパーソナリティ分野が複数分野の橋渡しをしている

割引あり

心理学がいつ成立したのかには諸説あるかと思うのですが,ひとつは19世紀後半と言えるのではないでしょうか。そして,ある学問が成立すると,次々とそのなかで枝分かれしていくものなのですが,心理学でも同じように,発達心理学や社会心理学や学習心理学や認知心理学と,細分化されていきました。

すると,同じ心理学の中でも交流が少なくなっていく,という現象が生じます。


プロフィール

Googleの学問向けプラットフォームであるGoogle Scholar(グーグル・スカラー)には,研究者のプロフィールを作成する機能があります。私もページを作っています。

https://scholar.google.com/citations?user=l7cZiqgAAAAJ&hl=en

ここには,氏名,著者に名前が掲載されている論文など(自動的に収集されています),各文献がどれだけ引用されているか,プロフィールとして研究者自身が書いている学問分野やトピックが掲載されています。

今回紹介する論文は,このGoogle Scholarをデータ化して分析を試みたものです。

心理学分野

心理学は細分化されているのですが,おおよそ「この分野」というものがあります。しかし,この分野や名前の呼び方も流動性があります。そこで,Google Scholarのプロフィールを用いれば,それぞれの研究者が自分の分野をどのように呼んでいるのかを確認することができるというわけです。加えて,それぞれの研究者の文献や引用数もわかりますので,いわば心理学の中での「勢力図」を描くことができるようになります。

このような試みは,広い学問間で比較するよりも,ある学問の中で分野を検討した方がいろいろなことがみえてくるように思います。

はたして,心理学の中でどの分野が勢いがあって,どの分野が複数の分野をまたぐような役割を担っているのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(A comprehensive scan of psychological disciplines through self-identification on Google Scholar: Relative endorsement, topical coverage, and publication patterns)。

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