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早く寝るように言うと本当に早く寝るのか

割引あり

アメリカの睡眠財団や睡眠医学会では,6歳から13歳の子どもたちは,最適なパフォーマンスや健康のために,一晩あたり9時間から11時間の睡眠をとることが推奨されているそうです。皆さんの身近にいる子どもたちは,どれくらいの睡眠をとっているでしょうか。10時間寝ていますか?


睡眠時間

大人にとっても睡眠時間の確保は重要なのですが,子どもたちにとってはさらに重要なことです。

推奨される睡眠時間を満たすことは,子どもたちの注意力の維持,行動上の改善,学習成果の向上,記憶力の向上,生活の質の向上,心身の健康の改善など,多くの結果に結びつきます。

ただし,単に長く寝ればいいというものでもありません。睡眠には適切なタイミング,睡眠の質のよさ,規則性,睡眠中の問題がないことなどに注意する必要もあります。ほとんどの子どもたちは学校に通う必要がありますので,起床時の睡眠をコントロールすることは難しいと言えます。となると,やはり重要なのは就寝時刻を早めることですね。

就寝時刻

「早く寝なさい」というセリフは,家庭の中で親が子どもに対してよく使うものです。実際のこの言葉によって,ちゃんと就寝時刻は早まっているでしょうか。

実は,家庭の中だと,毎日の忙しい生活の中で,記録がしっかりととれていないことの方が多いのではないかと思うのです。何時に寝て何時に起きるのか,近年では記録を取ることができるようになってきていますので,睡眠記録を取ることができるデバイスの活用は有効かもしれません。


介入

実際に,早く寝ることを推奨する介入は,効果があるのでしょうか。10歳前後の子どもたちを対象に,睡眠時間を延ばす介入の効果を検討した研究があります。

最初の1週間の睡眠時間を測定し,次の1週間で1時間早く寝ること,また1週間は介入なしの期間をとり,さらに1時間就寝時間を遅くするという介入を行うという検討をした研究です。実際に,「1時間睡眠を伸ばす」という介入によって,睡眠時間は介入どおりに延びるのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Predictors for achieving optimal sleep in healthy children: Exploring sleep patterns in a sleep extension trial)。

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