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愛着スタイルはどれくらい安定するのか

愛着スタイルは,人間関係パターンの基本スタイルのようなものだと言えるでしょうか。愛着というのは,特定の相手との間に結ばれる情緒的な絆だと言われるものです。

もともとは養育者との間に築かれる人間関係がもとになります(ただし,子育てだけが要因なのではなく,子どもの要因と親の要因などさまざまが関係しそうです)。子どもが養育してくれる相手に接近した状態を維持しようとするのが愛着行動で,その行動のパターンが愛着スタイルと呼ばれるものになります。


スタイル

愛着にはいくつかの類型があります。

安定型:養育者に安定した愛着を示し,不安やストレスが生じた後でも相手と一緒にいることで安定した状態を示す。
回避型:養育者に関心を示さず,離れても不安を抱かないように見える。
アンビバレント型:養育者の近くにいて一体化しており,離れてから再会すると接触を求める一方で抵抗するような行動を見せる。

この3類型を発展させたものが,4つの愛着スタイルの類型です。自分自身の作業モデル(人間関係のパターンのようなもの)と,他者に対して抱く作業モデルとの組み合わせによって4つの類型になります。自己モデルが不十分な状態は相手と関係をもつことへの不安,他者モデルが不十分な状態は相手と親密な関係を抱くことを回避する傾向として現れます。

安定型:不安も回避も低く,相手と親密な関係を営むことができる
とらわれ型:不安が高く回避が低く,相手と一緒にいないと不安なアンビバレント型に対応する
拒絶型:不安が低く回避が高く,相手に関心を示さない回避型に対応する
恐れ型:不安も回避も高く,関係を抱くことに対してネガティブな状態にあり,回避型の一部に対応する

3類型のうち,回避型が2つに分かれたという理解で良いでしょうか。

愛着は安定するのか

愛着スタイルは,幼少期の養育者との関係の中で培われて,そのモデルが子どもの中に取り込まれる中で形成されるということが仮定されます。ということは,そんなにスタイルがコロコロと変わってしまう,ということは想定されていないはずです。

では実際に,どれくらい子どもの頃の愛着スタイルは安定しているということが言えるのでしょうか。メタ分析でこの問題を検討した研究委があります。この論文を見てみましょう(Early childhood attachment stability and change: a meta-analysis)。

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