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グローバルとDXが人材市場活性化のカギ。ヒューマンリソシアが目指す新たな成長期。

 1995年、就職氷河期のまっただ中に人材サービス業界へ飛び込んだというヒューマンリソシア株式会社の御旅屋(おたや) 貢プレジデント。約30年に渡り、変化の大きな市場で事業を拡大してきました。いま、人口減少社会における新たな一手をどのように考えているのでしょうか?

——プレジデントに就任されて12年目を迎えます。就任当時は、どのようなお気持ちでしたか?
 
 実務面では大きな不安はありませんでした。入社当時はいまよりも事業規模が小さく、そのおかげでいろいろな業務を任され、経験を積むことができたので、その知見を活かせば、会社を引っぱっていくことは可能だろうと考えていました。
 一方でプレッシャーも感じていました。当時の社員数は約700人。その家族までを背負う責任感は相当なものでした。けれど立ち止まっている場合ではなかった。業務改善命令により、業績は最高益半分近くにまで落ち込んでいました。まずはその落ち込み分を取り戻し、さらに上を目指そうと覚悟を決めました。
 
——近年、人材サービスを取り巻く状況も大きく変わってきました。どのような戦略をお考えですか?
 
 団塊ジュニアである私の世代と、今年生まれた世代を比べると、1学年の人口は半減しました。加速する人口減によって、労働者人口は減りつつあります。だからと言って、労働力に対する企業のニーズまで減っているわけではない。むしろ高まっていると言えるでしょう。
 2070年には、日本の人口が8700万人まで減ると予測するデータがあります。このまま少子化対策が効果を発揮しなければ、経済活動はどんどん縮小し、国力も落ちるばかりです。では、どうすればよいのか。人材サービス会社が担う役割として私たちが考えているのは、生産性をアップすることで労働力の減少をカバーする方法です。それには大きく分けて二つの柱があります。まずは「海外人材」、そして「DX」です。今後はそこに注力していきたいと考えています。

——具体的にはどのような方法ですか?
 
 ボーダレス化が進む社会において、IT企業を中心にますます海外人材の需要が高まっています。そうした中で、日本の企業では日本語を使える海外人材を求める声が絶えません。そこで私たちは、海外の大学などで採用した人材に、日本語教育の機会を提供しています。グループ会社であるヒューマンアカデミーで培った日本語教育のノウハウを活かし、日本企業で活躍できるGIT(グローバルITタレント)を養成するのです。
 現在、提携している海外の大学は約30校。すでに50カ国以上から、1,000人余りの人材を採用し、日本国内のさまざまな企業で仕事に就いています。ミャンマー、インド、タイなどのアジア諸国だけでなく、東欧の国々など多様な地域で優秀な人材の確保に努めています。現地のエージェント任せにせず、私どもの社員が面接活動を行い採用しているため、お互いのミスマッチも起こりません。必要なIT人材の確保という側面のみでなく、海外人材を活用いただくことで、顧客企業のグローバル化やダイバーシティ推進にも寄与していきたいと考えています。

——DXについてはいかがでしょう?
 
 当社では、RPAツール「WinActor®」(※)の導入および利活用支援を行っています。NTTデータ社の販売特約店として、NTTデータ社の販売パートナー300社超の中から、4年連続で「販売力部門」第1位を獲得しています。ツールを売っておしまいにせず、その利活用をお客様と一緒に考えてきた結果だと自負しています。
 業務改善ツールである「WinActor」は事業のDX化に大きく貢献できるものの、どのように導入して運用するのか、どういう体制を作ればいいのかなどは、あたりまえですが現場の人間が考えなければいけません。しかしそのスキルを身に付けている人材は、多くの会社で不足しているのが現状です。そこで私たちは、導入前に研修を開いたり、マンパワーを必要とする導入時期にはエンジニアを派遣したり、あるいは導入後の定着のためにトレーニングセンターで人材を育成したりと、さまざまなアプローチでお客様の利活用を支援してきました。
 単なる労働力として人材を派遣するのではなく、DX化の支援を行えるコンサルタントとして、これからも幅広い業界に対して提供していきたいと考えています。

——今後の課題について教えてください。
 
 いろいろありますが、ビジネスを停滞させないことでしょうか。ナンバー1になれたとしても、そこにとどまっていてはいけない。社会はどんどん変化していくので、そこに対応できるよう日常的に自分自身を成長させることが大事だと考えています。私自身もそうですし、新人からベテランまで全社員にそうあってほしいと願っています。
 市場の変化をキャッチして、ビジネスの戦略を組み立てることはとても面白いものです。自分の考えたことがうまくいくとお客様に喜んでいただける。そうなれば私たちも嬉しい。そんなふうに社会に貢献することが、ヒューマングループの綱領である「為世為人」の実現につながっていくのではないでしょうか。
 
——これからの時代を担う若い世代へメッセージをお願いします。
 
 いまを最善だと思わないでほしい。いまは、将来から見れば通過点でしかありません。若い皆さん自身も、会社の事業も、「想い」をもっていれば、もっともっと成長できるのです。現状にとどまらず、さらにできることはないかと常に考えてほしい。
  人材サービスのビジネスは成長期から成熟期に入り、このまま緩やかに衰退していくと言う人もいますが、私はそう思いません。先ほども申し上げたとおり、グローバル化とDX化の推進によって、新たな成長期に入っていくのではないかと考えています。人口減というピンチは、ビジネスの視点で見ればチャンスの芽でもあります。このような大きなチャンスを逃さず、自ら、会社の成長に向けて新しいことにチャレンジしていきましょう。



<プロフィール>ヒューマンリソシア株式会社代表取締役    御旅屋 貢 1972年、埼玉県生まれ。1995年4月、ヒューマン・タッチ株式会社(現:ヒューマンリソシア株式会社)入社。入社後は一貫して営業畑を歩み、東京本社支社長、西日本事業部長、首都圏営業本部長などを歴任。2012年4月、代表取締役に就任。 

<ヒューマンリソシア株式会社・会社概要>
総合人材サービス会社として、人材派遣、人材紹介、業務受託サービスを全国26拠点で展開しています。1988年創業以来、教育事業をバックボーンに多彩なサービスを展開するグループの総合力を活かし、「人材」に関する幅広いサービスを提供しています。



※2023年6月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。

※WinActor®は、NTTアドバンステクノロジ株式会社の登録商標です。


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